7月9日:東南アジア民族の形成:日本の縄文人も含む(7月6日号Science掲載論文)
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7月9日:東南アジア民族の形成:日本の縄文人も含む(7月6日号Science掲載論文)

2018年7月9日
古代人のゲノム解析が進み、アフリカから、ヨーロッパ、さらにはオセアニア、アメリカでの各民族の形成過程が、ゲノムから明らかにされつつあるが、少なくとも一般紙に発表される論文レベルでは、東南アジアから我が国にかけての民族形成過程について調べた論文をなかなか目にすることはない。

ところがようやく、7月6日号のScienceに東南アジアから我が国の縄文人までカバーした古代人ゲノムの研究が発表され、これまでのフラストレーションが少し解消した。タイトルは、「The prehistoric peopling of Southeast Asia(先史時代の東南アジアの民族形成)」だ。研究の主体はケンブリッジ大学だが、我が国の研究者もさまざまな形で参加しており、そのおかげで縄文人についての記述が多く、初めて日本民族形成のイメージをつかむことができた。

この研究ではマレーシア、タイ、ベトナム、ラオス、インドネシア、フィリピン、そして愛知県伊川津貝塚から、2ー8千年前の人骨を集め、そのDNAを解析している。東南アジアや我が国で、古代人ゲノム研究が進まない理由は、研究レベルの問題もあるが、もう一つは高温多湿地帯のためDNAの変性が激しいことがある。この研究では、この問題をMYbaitsと呼ばれる液体中で人間のDNAを精製する方法を用いて、低い精度ではあるがなんとか全ゲノムを解読し比較に用いている。

この結果、東南アジア出土の古代人ゲノムはgroup1ー6までの6グループに分けることができる。例えばgroup1にはマレーシアHoabinhiansで発見された東南アジア最古の人骨の末裔、マレー半島のÖngeやJehaiが分類され、Group2にはベトナムの新石器時代から青銅器時代の人骨が分類される。他のGroupの構成の詳細は省くが、このように分類した先史時代のゲノムと現代の各民族を比べることで、西から移動してきた現生人類が東南アジアに定住する過程を描くことが可能になる。

論文は50近くの図や表を擁する膨大な研究で、ここでは詳細を省いて以下の2点だけを紹介する。

1) この研究が行われた動機の一つは、各民族の定住を促した農業がどのように東南アジアに広まったかを明らかにすることだ。これまで、Hoabinhiansの狩猟採取民族が外部の影響なしに農業を発展させ、東南アジアに広めたとする説と、東アジアで農業を始めた民族が、徐々に東南アジアの狩猟採取民を征服して置き換わっていったという説が唱えられていた。今回、古代人ゲノムが解析され、それぞれの関係を調べることで、東南アジアの民族が、文化的に優位な民族が他の民族を置き換えるのではなく、混血を繰り返しながら文化を共有していったことが明らかになった。これは例えばヨーロッパの先住民が、Yamnaya民族に置き換わってしまって、インドヨーロッパ語文化圏が形成されたのとは全く違う。すなわち、異なる民族間でのある種の平和的融合を通して混血と定住が進み、各地域の民族が形成されたのが、東南アジアの特徴と言える。事実それぞれのグループにはインドやパプアニューギニア民族からの遺伝子流入も見られることから、この融合範囲はかなり広い。

2) 次は我々日本人にとって最も関わりのある問題、すなわち縄文人や現代日本民族の形成過程だ。驚くことに、縄文人はなんとマレーシアを中心に分布するGroup1に最も近い。ただ、Group1に分類していいかと言われるとかなり違っており、東アジア民族からの遺伝子流入の影響を大きく受けている。すなわち、マレーシアに誕生したGroup1の末裔が東南アジアを経て日本に到達するまでに、その途上の民族とおそらく平和的に混血を繰り返して日本に到達したのが縄文人になる。また、伊川津縄文人を2.5-3千年前とすると、その後の3000年のうちに更に東アジア人と混血して新しい日本人を形成したことだ。おそらく、弥生人の解析が進めばこの点は確認できるのではないだろうか。もちろん、伊川津貝塚からの一体だけで縄文人の由来についての結論を急ぐのは危険だが、人類起源の地アフリカからもっとも離れた島国に定住した日本民族が、様々な民族とゲノムでつながっていても何の不思議もない。

東南アジアの定住と民族形成が征服ではなく融合が基本だったことは、歴史時代多くの争いがあったとはいえ、アジアの精神性の基盤になったのかもしれない。タイの国立博物館を訪れた時、タイ民族が7種類の民族のゲノムが混じり合ってできていることを誇りにしているビデオ展示を見て、純血を重要視しない王国があると感心した。しかも、その民族の中には日本民族も含まれている。この論文を読んで、民族の純血を叫ぶのではなく、逆に他民族との深い関係を誇りにする日本人にでありたいと思うとともに、私たちが深く東南アジアとも繋がっていることを実感した。
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7月8日:声を出して話をする脳のメカニズム(6月28日号Cell掲載論文)

2018年7月8日
人類は、利他的な協調行動が可能で、経験を積極的に教えることのできるコミュニケーション能力を獲得できたことで、他の動物とは全く異なる進化が可能になった。この能力を私は言語と呼んでいいと思っているが、とはいえその能力が複雑な音節を用いる「話し言葉」になったのは、おそらく4−5万年前のことだろう。この過程を理解するためには、もちろん私たちが喉頭から口腔をどのように制御して複雑な音節を発音できるのかを知る必要がある。しかし、これは人間特有の機能であるため、研究は簡単ではない。これまで、脳外科手術時の刺激実験により、喉頭を支配する脳領域が人間でも特定されているが、複雑な音の変化をどう作り出しているのかまでは調べることができていない。

今日紹介するカリフォルニア大学サンフランシスコ校からの論文は、てんかん発作の始まる場所を知るために人間の脳内に設置した電極を用いて脳の活動を直接高い精度で記録する方法を用いてこの難題に挑戦した研究で6月28日号のCellに掲載された。タイトルは「The Control of Vocal Pitch in Human Laryngeal Motor Cortex(人間の喉頭運動皮質での声のピッチの制御)」だ。

この論文の著者全員は脳外科学部門に属しており、この部門の特権を最大限に生かした研究と言える。研究では、喉頭運動皮質(LMC)をカバーして電極を長期間設置した患者さんに、決められた言葉(この実験ではI never said she stole my money.)を話してもらい、この時の声と喉頭部位の筋肉の活動、そしてLMCとその周りの領域の神経活動を同時に記録し、特に言葉のピッチが変化した時(例えば先の文章でSheを強調してもらって「彼女が犯人とは言っていない」というニュアンスを出してもらう)、LMCに設置した各電極の活動と相関させる実験を12人の患者さんについて行なっている。脳内に設置された電極のおかげで顔や喉頭の動きの影響は全く受けず、また電極の密度が高いため、脳の小さな領域の活動を同時に数多く記録できる。

この実験でまず、ピッチを変える時に興奮する領域がLMCの背側(dLMC)に限局していることを発見する。これは左右の脳で同じだが、左脳では腹側(vLMC)で記録されることもある。重要なのは、興奮が強いほどピッチの高さが上がる点で、脳の活動が直接ピッチをコントロールできる構造になっているのがわかる。さらに面白いのは、発生したピッチの変化を耳を通して感知するのも同じ領域で、平均0.39秒後に同じ場所が興奮する。即ち感覚と運動の両方が同じ領域で支配されている。

次に音声学者の藤崎先生らによるモデルを用いてピッチの輪郭を速いアクセント部分と、遅いフレーズ部分、そしてこれらを音としてあわせる要素に分解し、それぞれに対応するLMC領域を調べると、アクセント部分とフレーズ部分は異なる領域で支配されていることが明らかになった。

次に、この結果が、言葉を話すときに限られるのかを調べるため、今度はメロディーをつけて歌う課題を設定して測定を行うと、同じように発声前とそれを聞く過程で同じ領域が興奮し、話し言葉に限らず、歌を歌うときにも同じ脳の活動が見られることが明らかになった。

これだけでも十分面白いのだが、この研究ではなんと留置電極を用いた実験から明らかになった領域を、脳外科手術時に刺激する実験を82人について行い、全身麻酔の場合、dLMCへの刺激の強さに応じた強さの喉頭筋肉の活動が誘導できること、また局所麻酔による手術時の実験で、dLMCを刺激した時だけ、実際の声を出させることまで示している。

もちろん、言葉を話すという複雑な運動調節を理解するにはまだまだ研究が必要だろうが、それでも大きな進歩だと思う。この成功は何と言っても電極密度の高い記録を行える患者さんのおかげだが、これに我が国の藤崎先生の言語の数理モデルが大きく貢献していたことも嬉しい話だ。
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7月7日:アスピリンがアルツハイマー病に効くメカニズム(Journal of Neuroscience掲載論文)

2018年7月7日
薬剤を開発する場合、できるだけ分子標的を絞り、他の分子への作用が無いような化合物を選ぼうとする。これは副作用を懸念するからだ。しかし、副作用は読んで字のごとく、意図しない作用があるということで、悪い作用と決まったわけではない。思いもかけない良い作用が見つかることもある。特に、医療で利用されるようになってからの歴史が長い薬剤に思いもかけない良い副作用が発見されることが多い。この代表が、アスピリン、スタチン、メトフォルミンで、これまで知られなかった効果の発見に関する論文が現在も発表され続けている。

このような副作用は、同じ薬剤が異なる標的分子に作用する場合と、一つの標的分子が様々な現象で機能している場合に分かれる。アスピリンについては、シクロオキシゲナーゼを阻害して炎症物質プロスタグランジンの生産を止め、炎症を抑えることがわかっており、アスピリンの多様な効果は全てこの抗炎症作用に基づいていると考えられていた。これまでに報告されたアスピリンの効果だが、最も普通に使われる発熱鎮痛剤としてだけでなく、現在では血栓防止、動脈硬化防止と心臓血管病予防、一部のガンの予防効果も大規模調査で確かめられている。これに加えて最近では、パーキンソン病やアルツハイマー病など脳の変性疾患にも効果があるという臨床研究が出始めている。ただ、ほとんどの場合、背景に炎症が存在する場合が多く、結局はアスピリンの抗炎症作用が効果のメカニズムだろうと(少なくとも私は)考えていた。

ところが今日紹介するシカゴのラッシュ医科大学からの論文はアスピリンがPPARαという転写因子に働いてリソゾームの作用を高めアルツハイマー病を予防するというアスピリンの新しい作用メカニズムを示唆する研究でJournal of Neuroscienceオンライン版に掲載された。タイトルは「Aspirin induces Lysosomal biogenesis and attenuates Amyloid plaque pathology in a mouse model of Alzheimer’s disease via PPARα(アスピリンはPPARαを介してリソゾームの生成を誘導し、マウスのアルツハイマー病モデルでアミロイドプラークを減少させる)だ。

これまでアスピリンがアルツハイマー病に効果があるという疫学調査が発表されており、この研究ではこの効果がアミロイドプラークを処理するリソゾームの能力が高まるためではないかと最初から仮説を立てて研究している。

まずアストロサイトをマウス脳から分離して、アスピリンがリソゾームの合成を誘導するのではないかと調べ、期待通りリソゾームの数が5倍以上に上昇し、この合成に関わる分子が軒並み高まっていることを発見する。すなわち、組織の炎症を経ないで、直接アスピリンがアストロサイトのリソゾームの合成をあげ、細胞の老廃物処理能力が高まっていることを明らかにする。

リソゾーム合成経路はよくわかっており、合成が高まっていることが確認できれば、あとはリソゾーム合成に関わる分子をたどればいい。最終的にPPARαと呼ばれる内因性の脂肪酸と反応してリソゾーム合成を高めるマスター遺伝子TFEBの発現を高め、結果としてリソゾームの合成が高まることを明らかにしている。この研究ではアスピリンがPPARαに直接結合して作用している可能性を強く示唆しているが、構造学的な最終証明には今後の研究が必要だと思う。もしこれが正しければ、アスピリンが動脈硬化予防に役立つ機構に、炎症予防だけでなく、この経路が関与している可能性がある。

アスピリンがPPARαを介してリソゾーム合成を高めることがわかったので、最後にアミロイドプラークの除去にもこの機構が関わっていないか、アミロイドが蓄積するマウスモデルを用いて調べている。結論は、アスピリンはアミロイドプラークが細胞内で合成しにくくするとともに、細胞外のアミロイドプラークを除去する能力を高め、アルツハイマー病モデルマウスのプラーク形成をPPARα依存的に抑えることを明らかにしている。

まとめると、シクロオキシゲネーストとは違う標的を介して、アスピリンはアミロイドプラーク形成を抑え、またその除去能力をたかめ、アルツハイマー病を予防するという結果だ。しかし、このメカニズムが正しいと、ほかの神経変性性疾患にも当然効果があると思う。一方で、オートファジーが高まると、一部の癌には良くない効果も予想される。このスパッと話をまとめられない点こそが、アスピリンが万能薬として使える理由かもしれない。私自身は、神戸に移ってからは低容量アスピリンをずっと服用している。
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7月6日 行動の順序決める脳回路(6月28日号Cell掲載論文)

2018年7月6日
パーキンソン病の方と話していて、症状を説明しようするときいつも口ごもるのは、線条体の回路がなかなか完全に理解できないからだ。結局わかりやすい黒質から供給されるドーパミンの量の話で終わるが、実際にはドーパミンを超えた、線条体の持つ本来の回路の特性を知ることが重要だと実感している。

教科書的には、線条体は大脳皮質からの入力を調整して視床へシグナルを送って行動の実行を調整している。このシグナルには、direct pathwayとindirect pathwayの役割の異なる2種類の経路があり、direct pathwayは行動を促進し、indirect pathwayは行動を抑制すると習う。しかし、学習から行動までがこんな簡単な話で終わるわけはない。

今日紹介するソーク研究所からの論文は、この回路の奥深さを教えてくれる研究で6月28日号のCellに掲載された。タイトルは「Optogenetic Editing Reveals the Hierarchical Organization of Learned Action Sequences(行動の順番の学習は階層的に組織化されていることが光遺伝学的介入からわかる)」だ。

動物の脳に備わった模倣能力を使うと様々な学習を行わせることができる。この研究では、マウスに左・左・右・右という順序で二つのレバーを押すと餌がもらえることを学習させている。最初はレバーを押せば餌が出ることをおぼえさせ、次に順番と回数が正しい時だけ餌がもらえることを学習させていく。マウスの場合、1ヶ月すると大体この順序を学習するようになる。実際には、右を押したあとで餌がもらえるので、右を押すという過程を学習するのは早いが、左から先に2回という順序に右を組み合わせるのが難しい。この過程は、線条体のグルタメート受容体依存的だが、この受容体が働かないと特に左と右の動作を組み合わすことが学習できなくなる。

この研究のquestionはこの学習で、ただ漫然と順番がそのまま頭に入ったのか、あるいは左左、右右という行動セットの組み合わせが階層的に組織化されて頭に入ったのかを調べることだ。

まず学習した行動をとるとき、directとindirect神経(d神経、i神経)がどう興奮するかを見ると、d神経が行動の初めと終わりに関わり、i神経が行動のパターンのスイッチに関わることを見出す。

そこで、次にそれぞれの神経を選択的に抑えた時、行動がどう変化するかを調べると、d神経をブロックすると行動の開始が遅れること、また両方ともパターンのスイッチには必要であることがわかり、それぞれの神経が異なる役割を持っていることが明らかになった。

最後に今度はi神経とd神経を別々に刺激した時行動がどう変わるかを調べると、左・左とレバーを押す最初の出だしでd神経を刺激するとレバー押しが一回増えたり、終わり側に刺激するとやはりレバーの回数が増える。逆にi神経は行動の開始時とスイッチ時に刺激するとレバー押しの回数が減る。

実験だけでは分かりにくいと思うので、著者らの解釈を紹介すると、行動の順序は階層的に学習され、全体のプランを始める時と、終わるときは両方の神経が興奮するが常にd神経優位に興奮が起こり、次の2回押すというエレメントになるとi神経の興奮だけが下がりそのままd神経興奮による行動が続く。ところがパターンのスウィッチをする段階では、i神経が興奮するとともにd神経が抑えられて行動が切り替わり、行動が始まるとi神経の興奮は低下してd神経の興奮が始まるが、最後にプランを終わるときにはまたi神経も興奮する、という話になる。

これでも頭が混乱するだけだと言われそうだが、線条体の二つの回路の奥の深さはよくわかると思う。例えばパーキンソン病では、これほど精緻な調整が必要な両方の回路のバランスが壊れることになる。特に行動のはじめは、d神経優位ながらi神経もしっかり興奮している必要があるため、このバランスを整えなおさないと行動が始まらない。その意味で、光で照らしたり、他の回路からプランをインプットすることで行動開始がうまくいくのもそのせいかもしれない。しかし、ますます患者さんに説明するのが難しくなっていくもどかしさを感じる。
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7月5日コアラのゲノム(Nature Genetics オンライン版掲載論文)

2018年7月5日
オーストラリアは珍しい動物の宝庫だが、最も愛されているのが、パンダに並んで愛くるしい動物がコアラだろう。オーストラリアにも何回か仕事で行ったが、残念ながらコアラの実物に巡り合う機会に恵まれなかった。今日紹介するオーストラリア博物館からの論文を読んで、すぐ近くの王寺動物園で飼育されているコアラで良いので是非見に行こうと思った。論文はコアラの全ゲノム解析についてでNature Geneticsオンライン版に掲載された。タイトルは「Adaptation and conservation insights from the koala genome(コアラのゲノムからわかる適応と保存)」だ。

これほど注目されている動物のゲノムがようやく解読されたのを知って驚いた。恐らく、配列を読んだ断片を正しく並べて染色体を構成し直す土台がうまく設定できなかったのだろう。幸い、最近では一分子シークエンサーと呼ばれるかなりの長さのDNAを一度に読んでしまうシークエンサーが利用できるようになり、ついにコアラのゲノムもかなりの正確さで読めるようになった。このことを示すために、元々正確な配列がきめにくいセントロメアの配列が解読できていることを示している(免疫沈降法でセントロメアを精製して配列を確認し、コアラのセントロメアの大部分がトランスポゾンから出来ていることを示している)。このようなトランスポゾンの分布など、コアラのゲノムを理解するには重要だが、これは専門家にまかせて、コアラの生態との関わりでこの研究から分かったことにしぼって説明しておく。

ユーカリの葉への適応 ユーカリはほかの植物と比べ多くのテルペン合成酵素を持っており毒性が強いため、動物の餌としては不適当だ。このおかげでコアラはユーカリを独占できるのだが、そのためにはテルペンを解毒する必要がある。コアラでは、ほかの哺乳動物や有袋類とくらべ解毒酵素Cyp2遺伝子群の重複が見られ、解毒のための主臓器、肝臓で高い発現が見られる。ただ逆に、解毒作用が強い結果、コアラでは抗炎症剤や抗生物質がすぐ分解され、効果が早く失われるのもこのCyp2遺伝子の進化によることが明らかになった。
更にコアラは体内の解毒システムだけでなく、安全な葉を選んで食べているようで、そのための臭いと味のセンサーを発達させていることも、嗅覚受容体や味覚受容体遺伝子から考察している。特に、苦みを感じる受容体の数が大きく増え、また水の量を感じるアクアポリン遺伝子にも重複が見られる。パンダと違い、甘みやうまみの受容体は残っている。ここからは私の想像だが、苦みを楽しみに変えるため、受容体をふやし、新しい味の感覚を身につけたのではないだろうか。

コアラの性交 
コアラはオスとの性交により排卵する。この習性に会わせて、雄の精液には、排卵を誘導すると共に、精液の成分で雌の生殖臓器の栓をして、精液が流れないようにしている。(とは言え、このような話しはゲノム研究の範囲のようには思えない)。 コアラの子育て
コアラの赤ちゃんは0.5gで生まれてくるため、これを育てるためのミルクを調合する仕組みを持っている。ただ、よく読んでみてもほかの有袋類とどう違うのかについては詳しく述べられていない。 コアラの免疫
病気で保護されるコアラの半数がクラミジア感染で、なぜこの特殊な菌にだけ感受性が高いのかについての原因が免疫に関わる遺伝子から分からないか調べているが、やはりゲノムからでは何とも言えないようだ。

コアラの歴史
これまでの研究でコアラは3−4千万年前、ウォンバットから主として分化したことがわかっている。ゲノムをみると、その後の盛衰が予測できる。これによると、35万年前から急速に種として個体数が増加するが、オーストラリアの他の動物種と同じで、4−5万年、および3−4万年前に急速に個体数が減る。オーストラリア大陸に人類が上陸したのが6万年前なので、やはり人間が個体数減少の一因かもしれない。
コアラは保護目的の人為的移動も含めてオーストラリアの東南海岸に分布しているが、比較的遺伝的多様性が保たれている。ただ、人為的移動によるコロニーでは多様性が失われているので、今後ゲノム解析に基づいて多様性を維持する保護策を講じる必要がある。

以上が論文の要約だが、ゲノムだけでなくコアラについてよく勉強できる論文ではないだろうか。
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7月4日 人間の寿命の限界はまだ見えない?(6月29日号Science掲載論文)

2018年7月4日
統計学的な話だが、次の1年を生きることができる確率は、年齢とともに低下していく。ところが、105歳を超えて生きたスーパー高齢者になると、このカーブが低下し、死亡率が頭打ちになることを示唆するデータが出されている。私も含めて105歳まで到達することはないほとんどの人にとっては関係ない話なのだが、人間の寿命の限界を突き止めたいという思っている研究者にとっては大事な問題だ。

今日紹介するローマのサピエンツァ大学からの論文はこの可能性についてイタリアでの調査を示すとともに、現在どんな取り組みが行われているのかも合わせて教えてくれる研究で6月29日号のScienceに掲載された。タイトルは「The plateau of human mortality: Demography of longevity pioneers(人間の死亡率は頭打ちになる:長寿パイオニアの人口統計学)」だ。

この問題の難しさは、正確な記録が取りづらいことで、年齢が不正確だったり、対象者の生存や死亡が正確に確認できていないことが最大の問題点で、現在15カ国が集まって、International database on longevity(IDL:長寿の国際データベース)が整備されつつあることが紹介されている。このデータベースの検討からも、110歳以降は、死亡率が114歳までは頭打ちになって一定になるという結果を導引き出せるが、同じデータベースを異なるモデルで解析すると、死亡率は上がり続けるという結果になるなど、まだまだこのデータベースは誰もが納得できる結論を導き出せるところまで整備されていないといえる。

この研究の著者らはもちろんIDLのメンバーではあるが、今回はイタリアで最近整備が終わった105歳以上の人たちのコホート研究を解析して、この問題に答えようとしている。この研究では、2009年から、2015年の6年間に105歳になった人たちを追跡している。従来の同じような研究と比べると、持続的に対象の生存を確認できている点で信頼性が高い。わが国でもそうだが、イタリアでは105歳以上のスーパー高齢者は自治体が特別の体制で把握している。この結果、3836人ものスーパー高齢者をかなりの確度で追跡できることができた。

結論は、105歳を超えると死亡率が間違いなく頭打ちになり、現在のところ明確に人類の寿命の限界を指摘できないという結果だ。この結論は以前(http://aasj.jp/news/watch/5880)紹介した、寿命には超えられない限界が必ずあるとするnatureの論文に反対するように思える。この結果の重要性は、人口統計学として、この結論を導いている点で、今後寿命も含めてスーパー高齢者とは何かがわかと期待される。とはいえ、スーパー高齢者が進化的選択指標になるはずはないことから、我々一般人とはちがうかなり特殊な集団を代表しているような気がする。
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7月3日:自然免疫の調節(6月26日Natureオンライン版掲載論文)

2018年7月3日
私たちが免疫学を習った頃は、ジェンナー、パストゥール、ベーリング、北里と、一度罹患すると抵抗性が生まれる「二度なし」現象を免疫現象として習っていた。ところが、免疫成立の条件を探るうちに、外来の微生物やウイルスに対する最初の抵抗性が免疫系への橋渡しとして重要性であることが認識され、自然免疫という概念が成立していった。実際、数多くのTLRを抱えて様々な因子に反応する能力を備え、また私たちがアジュバントとして知る通常の免疫増強効果もこのシステムにより担われるのを知ると、本当にうまくできていると思う。とはいえ、あくまでも第一線のディフェンスで、あまり複雑な調節はないと思っていた。

今日紹介するコロンビア大学からの論文は、自然免疫システムがただ反応するだけでなく、マイクロRNAにより複雑に調整されていることを示す研究で6月26日Natureにオンライン掲載された。タイトルは「Induction of innate immune memory via microRNA targeting of chromatin remodelling factors(マイクロRNAによるクロマチン再構成因子の調節により自然免疫の記憶が誘導される)」だ。

「自然免疫の記憶」というタイトルに惹かれて紹介しようと考えたが、実際はマクロファージの自然免疫系の反応性がTLR刺激により不応期に陥るメカニズムの研究で、いわゆる長期記憶とは違う。ただ生化学的シグナルのフィードバック過程と比べると持続時間が長いので、特別なメカニズムがあるはずだと研究していたようだ。

この研究では最初から、マクロファージがLPSなどで刺激された後、新たな刺激に反応しない現象はマイクロRNAが媒介すると決めて研究している。LPS刺激前後でmiRNAを比べmiR222のレベルがLPSで上昇し、これに合わせてマクロファージの反応性が低下することを明らかにする。miR222の機能をさらに調べるため、miR222をマクロファージに導入して刺激に対する反応低下の分子メカニズムを調べると、TNFのようにサイトカインが直接の標的になっている場合もあるが、ほとんどのサイトカインはクロマチンをオープンにするBAF複合体のコンポーネントBrg1の翻訳が抑えられ、STAT1/2を会する転写が抑制されることを発見する。

すなわち、シナプスの記憶と同じで、刺激がクロマチン制御により、より長い記憶に発展するというシナリオと同じだ。あとは、miR222をノックアウトしたマウスで、炎症性の敗血症ショックに対する反応性を調べ、バクテリア感染に対する抵抗性が低下するが、敗血症発作に対するショックは防ぐことを明らかにしている。すなわち、miR222は転写を介して炎症を抑える意味では、感染抵抗性を下げるが、それを犠牲にしても炎症がホストを障害しないように守る働きがあることを示している。

最後に人間についても、重篤な敗血症患者さんではmiR222が上昇し、その結果Brg1が低下することを示し、この現象が実際に起こっていることを示している。全部読み通すと、シナプスレベルの神経記憶とほとんど同じことに気づく。神経も免疫もさらに複雑な長期記憶を成立させるには、より大きなネットワークの参加が必要になるが、このレベルでは免疫系と神経系は全く違う道を選んだこともよくわかる。話としてはそれほど面白い論文ではなかったが、記憶について頭の整理ができた。
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7月2日:新しい染色体3D構造解析手法の開発(7月26日Cell掲載予定論文)

2018年7月2日
次世代シークエンサーの導入で可能になったの重要な分野が、核内で折りたたまれている染色体の3D構造をかなりの精度で決定できるようになったことだ。Hi-Cと呼ばれるテクニックを用いるのだが、この結果TADと呼ばれる遺伝子発現を一定の区域内に限局させるための3D構造が明らかになり、発生学やがん研究での遺伝子発現調節を理解するためには欠かせない方法に発展した。

この方法は隣接するゲノム領域を化学的に結合させ、その後DNAをバラバラにして、結合しているDNA同士をライゲートして一本のDNAにまとめ、その配列から隣り合う配列を特定する。ただ、正確な相互作用を把握するには、大量のシークエンスを蓄積する必要があり、少数の細胞では正確なマップを作ることは難しく、また遠く離れていたり、異なる染色体上のDNA間の結合を調べるのは、原理的に可能でもほとんどできていないといえる。

今日紹介するカリフォルニア工科大学からの論文は、このHi-Cなど従来の染色体の3D構築を調べる方法が持っている問題を見事に解決した方法を紹介する、おそらく将来へのインパクトの高い研究ではないかと思う。タイトルは「Higher-Order Inter-chromosomal Hubs Shape 3D Genome Organization in the Nucleus (高次レベルの染色体間のハブが核内でのゲノム3D構成を方向付ける)」で、7月26日発行予定のCellに掲載された。

この研究は彼らがSPRITEと呼ぶ方法の開発に尽きるので、ここでもこの方法について説明しよう。
1)まず細胞を壊さず核内で一定の距離以内に存在するゲノム領域を化学的に結合させる。
2)そのあと、核を取り出し内部の染色体をバラバラに分解する。
3)次に、分解した染色体を96穴のプレートに分配し、そこで異なるバーコードを結合させる。これにより、分解された断片は96種類に分類できる。

この方法のミソはここからで、

4)こうして96に分類した断片をまたあつめて、同じように96穴のプレートに分配し、2個目のバーコードをつける。これにより最初のラウンドで96通りに分類された断片が、2番目のバーコードでさらに96等分され96x96=9216に分類される。
5)この研究ではこの操作を5−6回繰り返し、なんと1兆種類に分類している。これは1兆倍に薄めたのと同じになるため、間違って結合していない断片に同じラベルをつけることはないと考えられる。

これまで開発された技術を用いた、素晴らしい着想だと思う。結果は、Hi-Cができることは全て可能なため、おそらくこの技術がより簡単に使えるようになると思う。さらに、Hi-Cでは見落とされた離れた領域の結合も検出することができ、またその領域に存在するRNAも同時に調べることができる。この結果、
1) 何本もの染色体が集まる場所を正確に特定できる、
2) 核小体のような核内に集まる異なる染色体上の領域も特定できる。
3) この結果核小体に集まる領域は遺伝子の少ない転写活性の少ない領域であることが確認できる。また転写の活発で遺伝子が集まる異なる染色体領域が集まっている核内領域も存在する。すなわち、転写活性に応じて核内にハブが形成されている。
4) rRNAとDNAの結合を同時に調べることで不活性なハブが核小体のrRNAと近接していることが確認できる。
5) 一方アクティブ・ハブに位置する領域ははスプライソゾームRNAと近接しており、nuclear speckleと呼ばれる構造と一致することがわかる。
などなど、様々なデータが示された、大力作で、これ以上説明するのはやめておく。しかし、これまで以上に核内での染色体の様子を記述できる技術であることは間違いない。

読んでみてAtac-seqの論文を読んだ時のように、このテクノロジーがブレークする予感がした。まず、熟練が必要ない。さらに、RNAだけでなく、将来はタンパクとの結合も調べることができるだろう。そして何よりも、必要な細胞数を減らし、おそらく単一細胞でもできるようになるだろう。

このような技術進歩を見ていると、それがお金のある研究者だけでなく、資金や人手のない若手研究者も自由に利用できる体制を作って、誰もが同じ土俵で競争できるようにすることが我が国の課題だと思う。
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7月1日:アンドロゲン受容体阻害剤による前立腺癌の治療(6月28日号The New England Journal of Medicine掲載論文)

2018年7月1日
私が医学部で学ぶよりはるか前から、前立腺癌の増殖が男性ホルモン・アンドロゲン依存的であることが知られており、治療には睾丸摘出が行われ、現在まで続いている。しかし、これほど苦労してアンドロゲンの量を減らしても、ガンはアンドロゲン受容体(AR)のシグナル効率を様々な方法で変化させ、低い濃度のアンドロゲンでも増殖できるよう進化する。去勢に抵抗性の前立腺癌の50%はAR遺伝子の増幅によってガンは去勢治療に抵抗性を獲得するが、最近の研究ではエンハンサーを変化させてARの発現を高めるガンが存在することもわかってきた。とすると、アンドロゲンを減らすのではなく、ARの機能を阻害すれば去勢に抵抗性の前立腺癌も治療可能になると考えられ、Enzalutamide(商品名イクスタンジ:EZTと省略する)が開発され、現在転移性の前立腺癌に使用されている。

今日紹介するノースウェスタン大学を中心とする国際治験研究は、転移は見つかっていないが去勢にも関わらず前立腺癌のマーカーPSAが急に上がって来る患者さんを対象にEZTの適用を拡大できないか調べる目的で行われた治験で6月28日号The New England Journal of Medicineに掲載された。タイトルは「Enzalutamide in Men with Nonmetastatic, Castration-Resistant Prostate Cancer(Enzalutamideによる非転移性、去勢抵抗性の前立腺癌の治療)」だ。

対象は病理学的にガンの組織学的多様化が起こっていないことがはっきりとした前立腺ガンの患者さんで、去勢にも関わらずPSAが上昇を続けているケースを選んで、無作為化二重盲検で患者さんを偽薬とEZTに分け、転移をどの程度抑えられるかについて調べている。また、PSAの上昇を止められるかについても調べている。

結果は上々で、偽薬群ではPSAは上昇し続け、14ヶ月で半数の患者さんに転移が見つかるが、EZTを投与したグループで半数の患者に転移が起こるまでに36ヶ月かかる。これに並行して、PSAの上昇も止められるという結果だ。副作用は全身倦怠感と高血圧が中心だが、循環器の強い副作用が5%に見られる。

以上、成績としては大きな期待を寄せることができるが、このデータを見て、やはり根治は難しいことがわかる。前立腺癌は進化しても多くの場合AR依存性はあるのだが、ARの量や分子構造が変化して、去勢だけでなく薬剤耐性が獲得されてしまう。詳しく紹介しないが、7月12日号のCellにAR遺伝子の発生時期に利用されるエンハンサーが様々な変異で急に使われるケースが数多く見られるため、この領域についての検査も必要だと強調する論文が掲載されていた(Takeda et al, Cell 174, in press, 2018: https://doi.org/10.1016/j.cell.2018.05.037)。また、一つのARのスプライシング変異の場合は、変異を診断した上で全ての細胞でアンドロゲンの産生を止めるAbirateroneを用いるとガンにより効果があることも以前示されている(Aantonarakis et al, The New England Journal of Medicine, 371:1028, 2014)。検査を徹底して、ガンを知りつつ治療を選ぶことが前立腺癌制圧の道だ。

そして、いたちごっことはいえ、前立腺癌の研究の進展が著しいことは実感する。昨年アフリカから帰った後PSAの上昇が指摘され肝を冷やした身としては、心強い。
カテゴリ:論文ウォッチ

6月30日:遺伝子改変細胞を用いた感染症の制御(7月12日号Cell掲載論文)

2018年6月30日
CAR-Tの成功は、私たちの細胞が持っている本来の機能を、ガンを殺すという点に集中するよう遺伝子改変をできた点にある。白血病の治療法が完成したレベルで、民間で1兆円を超えるMBA資金が動いたりする米国のフィーバーぶりは、このわかりやすさに資本が期待を寄せていることを示しているのだろう。

今日紹介するスイスチューリッヒ工科大学からの論文は、細胞を抗生物質の生産基地にして、難治性の感染症を治療しようとする試みで、わかりやすい一方、将来を見通せない凡人に実用性が本当にあるのかちょっと気になる論文だった。タイトルは「Immunomimetic Designer Cells Protect Mice from MRSA Infection(免疫反応を真似るようデザインした細胞はマウスをMRSAから守る)」で、7月12日号発行予定のCellに掲載された。

この研究は抗生物質耐性で治療が難しいメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の制圧が目的で、これを細菌が増えた時だけに抗菌物質を分泌するようにした細胞にやらせようとしている。

まずMRSAに対して反応するために、MRSA細胞壁に存在する様々な分子に反応して細胞内にシグナルを伝える自然免疫系TLRのシグナルを用いている。この実験では、TLR2とTLR6遺伝子を導入して、MRSAに反応する細胞株を樹立している。

次に、このシグナルに反応して分泌される抗菌物質としてリゾスタフィンと呼ばれるペプチドを選んでいる。リゾスタフィンは様々な抗生物質に耐性になった細菌にも効果が示すことが知られ、それ自身がペプチドであるため細胞内での発現調節がたやすい。

このようにしてMRSAに反応してリゾスタフィンを分泌する細胞を樹立しているが、現在のところ試験管内で増殖する細胞株なので、免疫系のアタックを受けないようにマイクロカプセルで隔離し、MRSAの感染予防および、すでに感染したマウスの治療に用いられるか調べている。結果は、すでに感染しているマウスを完全に治すことができると同時に、先にカプセルを注射しておくことで新しい感染の拡大を防げるという結果だ。

要するにデザイン通り、遺伝子改変細胞でMRSAを制御できたというめでたしめでたしの結果だ。しかし、読んだあと考えてみると、わざわざここまでする必要があるのかと考え込んでしまう。確かにMRSAは難治で多くの人が苦しんでいる。しかし、結局はリゾスタフィンを使わざるを得ないことを考えると、ドラッグデリバリーを工夫するだけでも良さそうな気がする。

とはいえ、同じようなアイデアをCAR-Tのようにして、新しいドラッグデリバリーに使うのはありかなとも思う。いずれにせよ、この分野は当分にぎやかだろう。
カテゴリ:論文ウォッチ
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