9月10日 AIと医療について考える II アクセンチュアレポート
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9月10日 AIと医療について考える II アクセンチュアレポート

2018年9月10日
前回見たように、AIは知識を社会の階層性から解放する点に大きな可能性がある。これは仮想通貨をはじめとするブロックチェーンも同じで、仮想通貨の場合極論すれば中央銀行を頂点として出来上がっている階層性が壊れることを意味する。なら皮膚科の医師は失業してしまうのではと心配されると思うが、医師の仕事は診断だけではない。相談から治療まで多くの過程を進めないと意味がないことから、これまで以上に生産的な診療が可能になると確信している。ただ、どうしても診断に偏りがちな医学教育で教えなければならない内容も、大きく変化していくと予想できる。

そこで今回は、医療現場でのAIについても考えてみたい。このために世界最大のコンサルテーション会社の一つアクセンチュアが昨年発表した短いレポートをまず紹介しよう(https://www.accenture.com/us-en/insight-artificial-intelligence-healthcare)。経営のためのコンサルテーション会社がどこにビジネスチャンスがあると考えているのか、興味深い。タイトルは「Artificial intelligence: healthcare’s new nervous system (AI:ヘルスケアの新しい神経系)」だ。そして、出だしから2021年にはヘルスケア部門のAIマーケットが7兆円近くに達すると煽っている。そして、彼らがAIの伸びる分野として以下のトップ10を挙げている。

1、 ロボット手術:手術中に起こっていることをモニターし、的確な診断を下し、外科医を手術に専念させるとともに、手術ごとに学習を繰り返し、外科医の意図する動きと、意図しない動きを区別して手術を行う。要するに、車の自動運転で、この方法が普及すると、殆どの病院に手術ロボットが売れる。
2、 バーチャル看護支援:スマフォなどを用いた、いわゆる遠隔医療を考えればいい。
3、 病院管理支援:説明はいらないだろう。他のサービス部門に必要とされるように、IoTに基づく管理が進む。
4、 不正の発見:具体的に何を意味するのかよくわからない。
5、 薬剤投与の間違いを減らす:これもIoTによる管理。
6、 各機器の連結によるデータの統合的把握
7、 臨床治験参加者の追跡
8、 事前診断:これは前回紹介した、患者さんのレベルでかなり診断が行われることと同じで、これを病院から見ると、来院の後押しをするとともに、適切な診療を迅速に行える。
9、 自動画像診断:意外に期待が低いので驚くが、医学領域では最も期待されている。様々な画像をコンピュータで正確に診断すること。
10、 サイバーセキュリテイー:これも医療に限った話ではない。

1、2、8、9を除くと、全て病院の管理システムの効率化と、人的ミスを減らすのにAIが期待されていることがわかる。言い換えると、経済界が医療をどのように見ているのかが良くわかる。医療を大きな経済分野と捉えて(実際アメリカでの医療費の総支出は3400兆円に達し、GDP比率で17%を越す産業と言える)、AIで生産性(もちろん患者さんが治ることも含まれると思うが)を上げようと考えると、これらの項目になるのだろう。。

ただ、私自身はAIを含むIT社会では、経済とは別に患者さんの側から医療を再編成できるチャンスがある点に意義があると思っている。また、行政にしても、健康にかかる費用を減らすことがAIの最も重要なテーマになると思う。是非いつか持論を展開したいとは思うが、今回はアクセンチュアの挙げるトップ10の中から、医療に直結している、遠隔医療、画像診断、そして時間があればロボット手術分野へのAI利用の現状について論文をもとに紹介したい。
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9月9日 AIと医療について考える I 皮膚病変とAI

2018年9月9日
ウェッブへのアクセスが確保できるかどうか少し不安な場所への旅行が近づいて、論文もダウンロードできないのではないかなどと心配し、穴が開かないように実は今日からアップする2日分は、前もって日本を離れる前に予約投稿をしていた。いまナミビア砂漠の端の街について見ると、携帯はつながらないのに、ホテルではWiFiが繋がる。ただ、明日、明後日はさらに砂漠の中に行くのでまだまだ安心はできない。ガラパゴスの時には全く繋がらなかった。そこで、計画どおり今日からは、いつものスタイルの論文紹介はお休みして、AIと医療について論文を読みながらかんがえてみたい。

せっかく特集的にまとめて書くとして何を題材に選ぼうかと考えていた時、中村祐輔さんがディレクターを務めるAIホスピタルプロジェクトについての記事を読んだので、AIについての自分自身の理解を深めるプロセスを書いたらいいのではと考えた。皆さんもご存知のように。AIは我が国でも最重点項目で、各省庁の大型予算が走っており、中村さんををヘッドとしたAIホスピタルプロジェクトはそのなかの一つだ。ただ、ミレニアムプロジェクトで人ゲノム研究の牽引役だった中村さんがAIに進出してきたということで注目度が高い。もちろん私も興味を持って、プロジェクトのポンチ絵を見たが、内容は中村さんの手になるというより、役所が作ったということがよくわかる内容で、これまでの基幹病院から開業医、そして患者さんという階層的目線をそのまま残している。この結果、個人がネットワークされる21世紀社会の構造に逆行している印象がある。勿論これは私のような世捨て人のコメントで、要はこのプロジェクトが新しい医療を実現するきっかけとして飛躍してくれればいいことで、外野の私にできるのは、このプロジェクトがどう我が国を変えるのかしっかり見とどけることだけだ。

とはいえ評価するためには、AIの可能性を正しく把握する必要がある。今回はまずAI全般の可能性について、このブログで今年の初めに紹介したScienceの総説をもう一度読み直すことから始めたい。

さてこの論文に書かれていたAIが最も得意とする領域は、以下のようにまとめられる。

1. はっきり定義できるインプットとアウトプットの間の関係の学習:医学情報がまさにこれにあたる。すなわち、データから病名を診断する過程は、インプットとアウトプットが明確に定義されている。ただ、予測や診断が可能になったからといって、因果関係を理解したことではない。
2. 多くの適切なデータが得られる学習:ニューラルネットによる機械学習(ML)ではデータが飽和して能力の限界に到達することはない。どんなデータも利用できるが、人間の手で対象をよく分析し、データをタグ付けし直すことで、ML の能力を高められる。
3. ゴールが明確で、定量的に評価できる学習:MLから考えると自明の話だが、例としては都市の交通量のコントロールなどがこれにあたる。ただこの時、データが期待しているゴールとの関連でラベルされるようにデータを調整するのが望ましい。
4. 常識や多様な知識が必要な段階的に論理を詰めていく過程の必要でない学習:迅速な反応が求められるタスクを選ぶのが重要。常識や多様な知識に基づいて、段階的に論理を進めるのは苦手。しかし囲碁やチェスは、その後の展開を正確にシミュレーションできるため、段階的論理過程に見えても、MLは得意。逆に、現実世界のシミュレーションは難しい。
5. 背景にある理由を説明する必要がない学習:診断にしても、囲碁にしても、MLは正解を出すことができるが、なぜそれを正解として選んだかの理由付けは出来ない(これこそが将来のAIの一つの条件、しかし人間だから理由が説明できるわけではない)。
6. 失敗が許容でき、実証性が必要のない学習:アルゴリズムの基本は統計学、推計学で、必ず間違いがあることは理解する必要がある。
7. 現象やインプット・アウトプットの関係が安定な学習:現在のアルゴリズムは、対象の振る舞いがある程度安定していることが必要で、状況が早く変化する現象には利用しにくい。
8. 熟練、技が必要ない学習:ロボットに使うとき、まだハードの方が、機械学習についていかないことを理解する(明日この問題は自動運転で取り上げる予定)

さてこの要件に合う医学への応用とは何かと考えてみると、私の頭に真っ先に浮かぶシーンは、一般の人が自分は病気ではないかと気にしはじめたときがそれに当たるように思う。もちろん元医師としては、まずかかりつけ医に診て貰うというべきだが、領域によればスマフォとAIでかなりの絞り込みが終わる可能性がある。その最適の例が、皮膚科領域だ。すなわち、皮膚病変をスマフォで撮影してAIで診断するシステムだ。

これはconvolution neural networkというAIのテクノロジーが一般で使いやすくなり、皮膚の病変を写真からかなり正確に診断できるようになってきたからだ。例えば昨年2月、スタンフォード大学から13万の臨床画像を用いた機械学習で、皮膚科の専門医レベルの診断が可能になることを示した論文がNatureに発表された(Esteva et al, Dermatologist-level classification of skin cancer with deep neural networks(深層ニューラルネットワークで皮膚科医レベルの皮膚ガン診断が可能になる), Nature 542:115, 2017)。

さらには今年3月には韓国仁済大学医学部から、マイクロソフトのconvolution neural networkプラットフォームを用いて皮膚にできる腫瘍を診断するスマフォのアプリを作成、機械学習させた結果、比べた16人の皮膚科医と同じレベルの診断制度が達成できたことがJournal of Investigative Dermatologyに報告された。(Han et al, Classification of the Clinical Images for Benign and Malignant Cutaneous Tumors Using a Deep Learning Algorithm(良性と悪性の皮膚腫瘍を区別するための深層学習による臨床画像の分類)Journal of Investigative Dermatology 138:1529, 2018)。この韓国の研究は、一般的に手に入る機械学習アプリをそのまま使ってシステムが組めることを示した点で重要だ。

このように、AIが進むということは、これまで階層性に閉じ込められていた医学知識が一般に開放されることを意味することを理解する必要がある(次回に続く)
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9月8日:アレルギー炎症により誘導される上皮の変化(8月22日号Nature掲載論文)

2018年9月8日
炎症過程を見ていると、炎症が刺激に対する白血球やリンパ球だけの反応ではなく、その場所に存在する線維芽細胞が血液細胞からの刺激に反応して新しい細胞へと変化した時、急速に発展し、また遷延化することがよくわかる。これは炎症のストローマ細胞と呼べるのだろうが、基本的には発生過程でよく見かける仕組みが流用されていると考えられる。しかし、人間の炎症の現場で血球以外の細胞系列がどのように関わっているのかを調べるのは簡単ではなかった。

ところが今日紹介するマサチューセッツ工科大学からの論文は、バーコードを用いたsingle cell transcriptomeを用いることで、アレルギー組織での上皮の変化の様態について見事に示した研究で8月22日号のNatureに掲載された。タイトルは「Allergic inflammatory memory in human respiratory epithelial progenitor cells(人間の呼吸上皮前駆細胞に認められるアレルギー性炎症の記憶)」だ。

それにしても、single cell transcriptome解析の力は絶大だ。発生研究やガン研究についてだけでなく、アレルギーでもこれまで難しかった細胞の解析が可能になっているのを見ると、当分この方法での研究がトップジャーナルの紙面を賑わすだろう。要するに、予断を排して起こっていることを虚心坦懐に眺めることができる。

この研究では、様々なステージの鼻アレルギー患者さんの手術サンプル、あるいはを鼻粘膜を掻き取ってきたサンプルに含まれる個々の細胞のmRNAの発現を調べ、特にこれまで研究が難しかった上皮について何が起こっているのかを調べている。最初に示された18000個あまりの細胞の解析では、その発現プロファイルからほぼ完全に細胞の種類を特定できる。当然炎症の主役の血液系細胞はもとより、ストローマ細胞や上皮も同時に解析できる。著者らはこの解析の威力を示すために、プロスタグランジンD2合成系がマスト細胞だけに発現していることを示しているが、どの細胞の解析結果も新しいことが満載で、結果の解析と解釈にはまだまだ時間がかかると思う。論文ではアレルギー性炎症が進展するにつれて,インターフェロンタイプから、IL-4/IL13を中心にした炎症へと変化すること、そしてこの刺激の変化に対して、血液以外の細胞の状態も変化することが詳しく述べられている。ただ、全て紹介するのはあまりにも膨大なので、今日は詳細を省いて上皮についての結果だけを紹介する。

鼻粘膜上皮には分泌細胞や繊毛細胞を含む多様な細胞が存在し、これらはsingle cell transcriptomeを用いてほぼ全て特定できる。そして炎症が進むと、上皮細胞のうち繊毛細胞や腺細胞のような分化細胞が失われ、基底細胞が増殖することで、全体として上皮細胞の多様性が減少し、分化が途中で抑制された状態になる。この変化には、アレルギー性炎症の主役IL4/13シグナルの持続刺激だけではなく、不思議なことにWntシグナル刺激で誘導されるプロファイルも存在している。著者らは、Wntが炎症局所で誘導されるのではなく、IL-4/13の刺激によりベータカテニンが誘導されるためと考えている。また、試験管内で炎症が進んでポリープを形成している患者さんの上皮をIL4/13で刺激すると、正常の上皮と比べてきわめて限られた分子だけが誘導されることから、上皮の多様性が著しく制限されていることが明らかにされている。さらに、アトピー性皮膚炎の治療として抗IL-4抗体を投与された患者さんについても解析を行い、IL-4刺激が止まると、IL4/13刺激による上皮分化の抑制がある程度解除されることも示している。これらの結果から、IL4/13刺激により、上皮自体も強く影響を受け、特殊なステージに集約され、一種の記憶状態が成立するというのがメッセージになる。

他にも、この変化がクロマチンの状態に反映された安定的記憶になっていることを調べるために、やはり流行りのAttac-seqを使うなどこれでもかこれでもかと実験が行われており、読む方もなかなか頭がまとまらないのが問題だ。印象としては、データが多すぎて解釈が追いつかないというのが本当のところだろう。言い換えればまだ掘られていない菌が眠っているのと同じだ。このデータにアクセスできれば、誰にでも重要な発見ができるチャンスがあるように思う。
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9月7日:ガンゲノムの変異を解釈するシステム開発の重要性(Nature Cell Biology 8月号掲載論文)

2018年9月7日
ガンがゲノムの病気であることは間違いないが、「ゲノム」あるいは「ゲノムの変異」という背景には複雑な生化学的プロセスがある。これについてはよくわかっているのだが、一つのガンにこれほど多くの突然変異が集まっていることがわかると、「このガンはRAFとp53か」などと、遺伝子名を列挙しただけでわかった気持ちになる。事実、臨床現場にこれ以上の理解を求めるのは難しいが、背景の生化学的過程を勘案した変異の解釈のできるAIを是非開発して臨床現場で利用できるようにして欲しいと思う。

こんなことを考えたのは、今日紹介するRevolution Medicineという大きな名前の企業の研究所からの論文を読んだからだ。タイトルは「RAS nucleotide cycling underlies the SHP2 phosphatase dependence of mutant BRAF-, NF1- and RAS-driven cancers (RAS nucleotideのサイクルが、BRAF, NF1, そしてRASをガンのドライバーとするガン増殖のSHP2依存性の背景にある)」で先月号のNature Cell Biologyに掲載されている。
私のようなアウトサイダーにとっては、RASの変異によるガンと言われると、どうしても周りの分子の制御から独立して活性化されてしまった状態を想像するが、実際には突然変異の種類により、さまざまな分子調節を受けている。この研究では、RASのさらに上流のシグナル経路にあるSHP2と呼ばれる脱リン酸化酵素をノックアウトすると増殖が低下するガンがあることから、SHP2阻害剤でRAS経路のガンを制御する可能性を詳しく調べてい

まずRMC-4550がSHP2の自己抑制機構を安定化させることでSHP2の活性化を阻害する化合物であることを確認した後、BRAF, NF1, RASのさまざまな変異により増殖しているガン細胞への効果を調べ、薬理作用の生化学的基盤を調べている。そして、メラノーマでよく見られるリン酸化活性がオンになりっぱなしのBRAFではなく、RAS-GTP依存性に2量体を形成する過程の変異が原因で増殖している細胞だけに効果があることを発見する。

次に、やはりRAS-GTP の合成を抑えるNF-1の欠損細胞株についてRMC-4550の効果を調べると、期待通り増殖が抑制される。そして本丸RASの変異についても調べ、驚くべきことにKRASの12番目のアミノ酸グリシンが変異したガンだけで強く抑制がかかることがわかった。即ち、このタイプのRAS変異はSHP2依存的に活性化が維持されていることがわかる。

RASはGDP型とGTP型を変換させてその活性が調節されているが、以上の結果から、活性型のRAS-GTPの上昇に依存して増殖するガンでは、SHIP1阻害剤が効果が見られることがわかった。そこでSHP2と、RAS-GTP上昇の関わりについて調べ、増殖因子シグナルによってSOSが活性化されRAS-GTPを合成する過程にSHP2が必要で、この過程の阻害によりRAS-GTP 濃度が減少し、増殖が低下すると結論している。上流のメカニズムはともかく、RAS経路の変異の中には、RAS-GTPの量に依存性のガン細胞が一定程度存在し、SHP2阻害はすぐ使える治療薬になる可能性を示している。

データを詳しく見ると、この薬剤が効いても、さまざまな新たな変異により耐性が簡単に生じるような印象を持つ。また、がん移植モデルで効果を調べてはいるが、人間で使えるのかを確認するには時間がかかるだろう。しかしながら、この研究を読んで、一つ一つのガンが抱える様々なゲノム変異をできるだけ正確に解釈するアプリケーションの開発が必要だとつくづく思った。でないと、ガンゲノムをいくら調べても、それを治療に結びつけることができる患者さんは限られたままになる。ゲノムも重要だが、このようなインフォーマティックス、それもユーザーフレンドリーなインフォーマティックスの開発にも是非重点を置いた支援が必要だと思った。
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9月6日 炭水化物摂取量と死亡率(The Lancetオンライン版掲載論文)

2018年9月6日
私たちの学生時代は、ドンブリ飯といって、何は無くとも米がエネルギーの元だった。今と比べると、タンパク質や脂肪の摂取量はかなり低かったと思う。実際、我が国のコホート研究の多くは、米食中心の炭水化物依存性が早死にの元だとされていた。

その後、我が国も豊かになり、誰もがローカーボなどと炭水化物制限が健康の維持につながると信じるようになった。しかし本当かどうか、実際には20年を超える追跡調査が必要だ。今日紹介するハーバード大学からの論文は15000人に及ぶ45−64歳の人を25年も追求して炭水化物の量と死亡率を調べた研究でThe Lancetオンライン版に掲載された。タイトルは「Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis (食事での炭水化物の摂取量と死亡率:前向きコホート研究とメタアナリシス)」だ。

この調査では、1987年から1989年にかけて、約15000人の45−64歳の人たちをリクルートし、66以上の項目について面接を行い、日常の食事の内容を聞出して、炭水化物のエネルギーに占める割合を計算している。その後25年間、全部で5回にわたって対象を訪問し、生活状態を把握するとともに、毎年電話で生存確認を行っている、かなり念入りなコホート研究だと言える。調べられたのは、25年間でのカロリーのたった20%が炭水化物という人から、8割を超すグループまでハザード比をプロットしてみると、一番死亡率が低かったのが50%を炭水化物でとるグループで、あとは高くても、低くても死亡率が上昇する。とはいえ、最も死亡率が高くなるのは、炭水化物が3割以下のグループで、ハザード比が1.5近くになる。また高くても死亡率は高く、8割を炭水化物でとるグループのハザード比は1.2ほどだ。この結果は、どのような方法でも炭水化物の摂取を抑えすぎると、死亡率を高めるという結果になっている。わかりやすく計算してくれているが、50歳の人の平均余命でいうと、炭水化物の比率が30%の人が29.1歳、50−55%33.1歳、そして65%以上の人が32歳という具合だ。

このコホートから得られた結果を他の様々な国のコホート研究と比べるために、文献を調べるメタアナリシスを行っているが、広い範囲で炭水化物の比率を調べた2つのコホート研究は、このグループの結果と一致しており、低い場合も、高い場合も死亡のハザード比が高い。基本的にはどの研究も、炭水化物はほどほどが良いという結果になっている。

ただ、どんなに結果が美しくても、この結果を炭水化物のせいだけにはできない。管理されたダイエットでなく炭水化物の摂取が少ない人は、動物性の脂肪を多く取る傾向がある。実際詳しく内容をみると、その傾向は強く、また野菜やフルーツ、あるいはホールグレインなどの摂取量も低い。逆に、アジアでの研究では炭水化物の摂取量が多いほど死亡率が高く見えたのも、副食が少ないなどの食事の質を反映するように思う。何れにせよ、所得が上がると炭水化物の摂取量が低下し、これが極端になった人の健康が損なわれるというのがこの論文の結論だろう。 食や栄養についての研究は21世紀の重点課題だが、新しいコホートの仕組みが必要とされる分野だ。今後もウォッチして行きたい。
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9月5日:頭蓋骨髄から直接脳へとつながる血管ルートが存在する(8月27日号Nature Neuroscience掲載論文)

2018年9月5日
医学部の授業の中で、一番苦労したのが骨学、特に頭蓋を観察しながら各部の名前を覚える学習だった。頭蓋から出てくる顔面神経の通る穴を覚えるのが苦手で、自分に構造や立体感覚を捉える才能が皆無であること、また詳細を地道に拾う根気がないことがよくわかった。

今日紹介するハーバード大学医学部からの論文を読んで遠い昔の医学生時代の頃を思い出したのも、この論文が頭蓋から脳内に直接つながる血管を通って白血球が移動することを示した、「え!」と思いたくなる論文だったからだ。タイトルは「Direct vascular channels connect skull bone marrow and the brain surface enabling myeloid cell migration (顆粒球の頭蓋骨髄から脳表面への移動を可能にする直接の血管チャンネル)」だ。

この研究は、頭蓋骨髄と、脛骨骨髄中の血液細胞が同じような動態で炎症局所にリクルートされるのかという素朴な疑問から始まっている。これを明らかにするため、頭蓋と脛骨の骨髄腔に異なる色の蛍光物質を直接注入して色分けし、様々な組織に現れる、脛骨由来および脛骨骨髄由来の顆粒球の割合を調べている。なかなか素朴な方法で、よく思いついたと思う。こうしてラベルした後、末梢血や、脾臓を見てみると、それぞれは混じり合って存在している。

ところが脳卒中を起こさせたマウスの脳組織で調べると、卒中後6時間目の脳組織に浸潤してくる白血球は頭蓋骨由来のものが2倍多い。また、脳に炎症を起こす操作をすると、やはり頭蓋由来の白血球が2倍多いことがわかった。一方、心筋梗塞部位への浸潤でみると、大きな差はない。

この原因の一つが、卒中により誘導される骨髄からの白血球動員が頭蓋からの方が機動的ではないかと考え、骨髄中の顆粒球の数を調べると、卒中後頭蓋骨髄では明らかな好中球の減少が見られており、迅速な動員を可能にする特別なメカニズムが存在するのではと考えられた。

この一つの理由は、頭蓋骨髄では好中球を骨髄内に維持するSDF-1の量が減っているので、卒中により頭蓋だけでSDF-1のレベルを低下させるシグナルが出ているのかも知れない。そして、さらにこの素早い動員の原因を探っていく中で、頭蓋から脳の硬膜外へと続く血管構造が存在し、その中に単球や好中球が存在することを見つける。生きたマウスの頭蓋を共焦点顕微鏡で観察して、この血管内では血流は骨髄腔の方に、好中球は逆に脳の方に移動することを観察している。最後に人間の頭蓋も組織学的に調べ、マウスより少し大きな穴が多数存在し、そこを血管が通っていることを確認している。

以上が結果で、頭蓋だけは脳の炎症に対して迅速に対応する特別な構造を作っていたという話だ。残念ながらこのルートで脳内にリクルートされる細胞の機能については全くわからない。実際、脳は一般的に全身の循環からはかなり独立しているからこそ、ミクログリアなどは発生初期に一回リクルートされるだけだと納得していた。この結果が本当だとすると、白血球系の細胞も脳内に簡単にリクルートされるような気がするが、他の条件で是非調べて欲しい。
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9月4日:急性白血病の特効薬はできるのか(9月20日号Cell掲載論文)

2018年9月4日
大人の急性骨髄性白血病(AML)は社会の高齢化とともに増加しているものの、治療は従来の化学療法と骨髄移植が主体になる。ただ、切り札の骨髄移植はAMLが増加している高齢者には利用できない。従って、新しい治療が急務だが、染色体の構造を変化させるエピジェネティックスに関わる薬剤が最近使用が始まった程度で大きな進展はない。 一方、免疫治療には大きな治療が集まっている。残念ながらチェックポイント治療はあまり効果がないようだが、CD33に対する抗体、T細胞を白血病細胞にリクルートするキメラ抗体、そしてCD33やCD123に対するCAR-Tなど開発が加速している。

しかし開発が免疫療法だけに絞られたわけではなく、ほかの標的を求めて様々なトライアルが行われていることが今日紹介するイスラエルヘブライ大学からの論文を読むとよくわかった。タイトルは「Small Molecules Co-targeting CKIa and the Transcriptional Kinases CDK7/9 Control AML in Preclinical Models (CKIaとCDK7/CDK9キナーゼに効果を持つ阻害剤は前臨床モデルでAMLを制御する)」だ。

これまでの研究で、CKIaを抑えるとp53の発現が活性化して細胞が死ぬことがわかっており、このグループはCasein kinase 1(CKIa)の様々な阻害剤に絞って開発をしていたようだ。特に、CKIaを血液細胞でノックアウトすると幹細胞の増殖が抑えられることから、同じようなメカニズムで増殖するAMLガン細胞もCKIa阻害剤で殺せるのではないかと、直腸癌細胞株を用いてCKIa抑制作用があると思われるピィラゾール・ピリミジン骨格をもつキナーゼ阻害剤の活性を調べ、その中から経口薬として利用でき、副作用の少ない化合物としてA51を選び出している。この化合物は期待通り、p53タンパク質の発現を上昇させ、移植白血病細胞の増殖をほぼ完全に抑えることができる。また正常幹細胞にはほとんど影響がない。

この予想以上の効果の原因を確かめるべく、CKIaが分解される薬剤の効果と、キナーゼ阻害の効果を比べると、MYCやMDMの抑制効果などはキナーゼ阻害剤でしか認められず、全ての効果がCKIaだけで説明できないことがわかった。そこで、MYCなどの転写に関わるキナーゼに対する作用を調べ、A51がCDK7とCDK9の活性も阻害することを発見した。

そしてMYCなど多くの転写因子の発現を抑えることができるのは、CDK7/CDK9が阻害されることで、白血病で特に高まっているスーパーエンハンサー複合体形成が抑制されるためであること、またスーパーエンハンサー複合体の崩壊の誘導は薬剤投与後分単位の短い期間で起こり、その効果が長く持続されることも確認している。

最後に遺伝子改変により発症したAMLに対する抑制実験を行い、5週間は腫瘍の増殖を抑制できることを示している。

結果は以上で、まだ前臨床段階だし、100パーセントに効果があるわけではないので、この薬剤がAMLの特効薬に発展できるかどうかはまだ確実ではないと思う。ただ、白血病のスーパーエンハンサーを、より選択的に崩壊させることができる可能性が示された点で、ようやく転写レベルでガンを抑制する可能性が見えてきたように感じた。
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9月3日:多数の分子の同時投与により脊髄介在神経を活性化させる脊髄損傷治療(8月29日号Nature掲載論文)

2018年9月3日
先日急性の脊髄損傷を介在ニューロンを上手く刺激して切断された場所の神経伝達をリレーさせるという、これまでとは違うだいぶユニークな脊髄神経再生の戦略についての論文を紹介した(http://aasj.jp/news/watch/8734)。結果自体は機能が戻ると言う点でわかりやすいが、Ca/Clポンプを使うという一般の人には少しわかりにくい研究だったと思う。

そして今週UCLAからも脊髄内に存在する介在神経再生に関する論文がNatureに発表された。先週紹介した論文と比べると比較的わかりやすく、要するに再生の条件を全て整えてやれば脊髄内の介在神経を活性化し再生させられるという一見当たり前の話についての報告で、論文のタイトルも「Required growth facilitators propel axon regeneration across complete spinal cord injury(必要な増殖促進因子があれば完全に切断された脊髄神経も再生できる)」と、メッセージをそのまま伝えている。

この研究も急性の脊髄損傷についての話で、これが損傷後時間が経過した慢性の神経損傷にも通用するかどうかは残念ながらわからない。いずれにせよ、著者らの発想は極めて単純で、脊髄介在神経が切断されたギャップを超えて伸びないのは、損傷場所に必要なすべての条件が整っていないからで、それさえ切断場所に提供できれば神経再生が見られるという可能性を調べている。

誤解のないよう繰り返すが、この研究でも脳から伸びてくる神経ではなく、先週紹介した研究と同じように、脊髄固有ニューロンの再生を促し切断場所をリレーさせて機能を回復させることが目的だ。先週紹介した論文では、介在神経をCa/Clトランスポーターの活性を維持してやれば介在神経が活性化され回路形成に動員できるという玄人向きの話で、私でも意外な取り合わせだと思ったが、今回は介在神経細胞の活性化に関わることがこれまで示された全ての条件を脊損部位に投入するという極めて分かりやすい戦略だ。

ただそのために、必要と思われる様々な因子の組み合わせを比べ、最終的にアデノ随伴ウイルスを用いてOsteopontin/IGF1/CNTFを脊髄を切断する2週前に投与した後、損傷後2日目にFGF+EGF+GDNFをつめたハイドロゲルを損傷部位に一回、そして神経を引き寄せるため切断部位より後部に投与したとき多くの介在神経が切断箇所を越えて再生するのを観察している。必要な全部を局所に投入するというのは簡単そうに見えるが、実際にはハイドロゲルや遺伝子治療を組み合わせる大変な方法だ。

ギャップを超えて介在神経が伸びることがわかったので、あとはなぜ再生できたのかラミニンの必要性など詳しく解析しているが、切断箇所をこして伸びているという答えが先にあるため、この解析結果は現象論でしかないように思う。大事なことは、この介在神経が脊髄神経の細胞体の存在する灰白質に入って神経と電気生理学的に機能的なシナプスを形成するところまで確認している点だろう。

残念ながらこの研究ではマウスやラットの運動機能が回復するところまでは見ておらず、これを示すにはリハビリテーションも加えた気長な検討がさらに必要になると思う。また損傷より前にウイルスによる分子の供給を行なっている点でも、まだ基礎研究の段階だ。しかし介在ニューロンを脊髄再生の標的にしようという方向性はトレンドのようで、現実的だ。この研究は、あまり考えずに必要と思われる条件を全て組み合わせて損傷局所に投与するという、極めてナイーブな方法、すなわち力仕事なので、逆に説得力がある。ハイドロゲルを用いる投与法も実践的なので、さらに人に近いモデルで実験を続けて欲しいと思う。
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9月2日:習慣性のない新しい合成麻薬(8月29日号Science Translational Medicine掲載論文)

2018年9月2日
痛みに対する薬剤開発はずっと続けられて来ているが、現在もなモルヒネを超える薬剤はないと言っても過言ではない。その結果、多くの国で医原性の麻薬中毒が国を揺るがす問題になっている。モルヒネはオピオイド受容体に結合して鎮痛作用を発揮するが、鎮痛作用の主役μ オピオイド受容体だけでなく、複数のオピオイド受容体に、様々な強さで結合して多彩な作用を及ぼし、中毒の原因になる。

今日紹介する米国ウェークフォレスト医科大学からの論文はnociceptin/orphanin FQ peptide(NOP)がμオピオイド(MOP)受容体の作用を高め、同じ鎮痛回路に発現していることに注目し、NOP/MOP両方の受容体に結合するリガンドを開発して習慣性や副作用のない鎮痛剤の可能性を示した論文で8月29日号のScience Translational Medicineに掲載された。タイトルは「A bifunctional nociceptin and mu opioid receptor agonist is analgesic without opioid side effects in nonhuman primates(ノシセプチンとμオピオイド受容体の刺激剤は副作用のない鎮痛作用を猿で発揮する)」だ。

研究では最初からNOPとMOPの両方の作用を持つ薬剤開発に焦点を定め、これまでの様にMOPと同じ作用物質からスクリーニングするのではなく、すでに集めているNOP受容体に結合するリガンドの中から、MOP受容体にも低い親和性で結合するリード化合物として選びその改良を始めている。あとは、私が最も苦手な有機化学の独壇場で、受容体の構造からそれぞれの受容体への結合を調節する中でAT-121と名付けた化合物を選び出している。

それぞれの受容体を発現している細胞株で、期待通りの結合活性を持つことを確認し、脳への移行性など生体内での動態を確認した後、50度近いお湯にどれほど耐えられるかを指標に鎮痛作用を調べ、モルヒネと比べて高い鎮痛作用があることを示している。また、この作用がNOP,MOP受容体に結合する結果であることをそれぞれの受容体の阻害剤を加える実験で確かめ、期待通りのメカニズムで鎮痛作用が得られていることを示している。また猿の実験で、薬剤投与を続けた後、急に中断しても呼吸や循環などに特に変化がない。また長期使用でも、麻薬のように痛覚過敏は現れない。

あとは研究の難しい習慣性や副作用の問題だが、自分で麻薬を注射することを覚えさした猿を用いて、合成麻薬オキシコドンと比較している。オキシコドンは習慣性があるため、猿は一旦注射を覚えると自分で注射を繰り返すが、このような作用はAT-121には全く無い。さらに、猿を使って有効濃度の10−30倍のAT-121を投与しても、呼吸抑制などのバイタルにはほとんど影響はない。コントロールとして使ったらヘロインではすぐに呼吸抑制が観察された。また、オキシコドンの習慣性を弱める働きすら観察された。

以上のように猿のレベルでは、夢の麻薬が開発されたことになるが、こと人間となると麻薬製剤を本当に置き換えることができるのか、まだ決定するわけにはいかないだろう。ただ、理論的な可能性から分子の開発まで進んだ点で、期待しているし、これが人間でも確認されれば、ブロックバスターになるだろう。
カテゴリ:論文ウォッチ

9月1日:時間キーパー細胞(Natureオンライン版掲載論文)

2018年9月1日
場所に反応する細胞についての研究でノーベル賞を受賞したのはオキーフとモザー夫妻だが、海馬の多くのニューロンの興奮を行動する動物で記録し、行動と個々の神経活動とを関連づける手法で発見された。このように、行動に対応する神経活動をneural correlatesあるいはneural representationとして、同時に記録した多くの細胞の中から拾い出す研究を見ていると、いま世界中が騒いでいるAIが脳研究で普通に使われてきたことがよくわかる。すなわち行動に対応するneural representationがあれば、記録を続ければ発見できる。

今日紹介するノルウェーのカブリ研究所のモザー夫妻の研究室からの論文は時間の認識に対応するneural representationについての研究でNatureオンライン版に掲載された。タイトルは「Integrating time from experience in the lateral entorhinal cortex (外側嗅内皮質での経験からの時間の統合)」だ。

この研究では壁の色で場所がわかる箱の中で行動するラットの、海馬のさまざまな領域の神経細胞集団の興奮を記録し、この中から様々な行動エピソードと相関して興奮する神経細胞を膨大な反応パターンの中からコンピュータで探し出している。例えば箱の中の場所には内側嗅内皮質(MEC)が、色の変化から判断される場所には海馬のCA3領域に反応する細胞が多い。これらの行動は当然時間で区切ることもできるが、この実験で場所とは全く無関係に10秒単位の時間リズムに美しい規則性で興奮する細胞が外側嗅内皮質 (LEC)に多いことを発見する。また、時間も10−20秒感覚というスケールで興奮を繰り返す神経だけでなく、1秒間隔で反応する神経も存在する。基本的には推計学の嵐といった感じの論文で理解するのは辛いが、LECでの時間リズムが他の場所でのエピソード記憶の基準を与えていることを示している。

これほど美しい時間を刻んで興奮する細胞が集団でしかもLECだけに存在すれば、あとはこの細胞と行動や、他の細胞との関連をAIで調べることになる。この研究で調べられたのは、8の字迷路を繰り返して進むように訓練されたラットを用いて、この時間ニューロンと繰り返し行動との関連を調べ、行動とは無関係に時間ニューロンが興奮するのか、あるいは行動の順番から時間を判断しているのかを調べ、時間ニューロンは行動リズムとは無関係に興奮していることを示している。

とはいえ時間は外界とは無関係に存在する細胞の内的リズムといったものではなく、これまで学習してきた結果が統合され記憶されたリズムであるようで、8の字迷路での訓練に応じてLEC内での時間ニューロンのリズムは正確になっていくことを示している。

すなわち、私たちの脳の時間は、微細な経験の変化や大きな順番などの経験を統合して、それ以前の経験から獲得した時間リズムを変化させていることになり、常に新しい時間を私達は内的に作り出し経験していることになる。そのための時間統合キーパーが多くの神経回路とつながるLECに存在するという、納得の結果だ。そして、この時間がまた、経験を統合する一つの指標として利用される。なるほど、歳を取って時間の経つのが早いはずだ。おそらく、もっと違った経験パターンを続ければ、高齢になっても違う時間を経験できるかもしれない。
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