6月24日:腸内細菌でてんかん発作を抑制する(6月14日号Cell掲載論文)
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6月24日:腸内細菌でてんかん発作を抑制する(6月14日号Cell掲載論文)

2018年6月24日
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てんかんの発作に対しては現在抗けいれん薬が用いられるが、てんかん発作を示す小児のかなりの部分で治療に反応しない、「難治性てんかん」と呼ばれるグループがある。これまでは手術的にてんかんが起こる場所を取り除く以外方法がなかった難治性てんかん治療に、最近になって新しい治療法が開発され期待されている。一つは、大麻の使用で、子供にも使えるよう大麻成分を用いた治験が進んでいる。もう一つの方法が、糖質制限を中心にしたいわゆるケトン食による治療で、様々なタイプのてんかんに効くことがわかってきた。

ただ大麻成分を用いる治療と比較した時、ケトン食によるてんかん治療は効果のメカニズムが明らかでなく、また多くの家庭にとっては導入が難しいため、普及が遅れていた。今日紹介するUCLAからの論文はケトン食により腸内細菌の構成が変わっててんかん発作の閾値がたかまることが効果のメカニズムではないかと着想し、それを確かめた研究で6月14日号のCellに掲載された。タイトルは「The gut microbiota mediates the anti-seizure effects of ketogenic diet(腸内細菌叢がケトン食の抗けいれん作用を媒介する)」だ。

食を通した治療の効果や副作用はまず腸内細菌叢を疑うのが今の常識になっている。この研究ではまず、ケトン食が効果を示すてんかんモデル系を作成した上で、効果が見られたマウスの腸内細菌叢を調べ、アッカーマンシア(AK)とパラバクテロイデス(PB)が著明に上昇していることを発見する。

あとはこの細菌が発作の抑制に関わるか因果性を確かめる必要がある。まず細菌叢がケトン食の効果に関わることを調べるため、無菌マウスや抗生物質で腸内細菌を除去したマウスにケトン食を食べさせる実験を行い、ケトン食の効果には細菌叢が必要であることを確認する。

そしていよいよ、細菌叢を移植する実験を行い、最終的にAKとPB両方の細菌を移植すれば、普通食でも発作の閾値を高めて、発作の回数を減らせることを発見する。すなわち、ケトン食はこれらの細菌の選択的な増殖を促すことで、発作の閾値をたかめていたことになる。

では、なぜこの2種類のバクテリアが多いと、発作の閾値を高めることができるのか?腸内や血清中の代謝物を調べ、ガンマグルタミン酸化されたアミノ酸の低下が激しく、この結果海馬の神経伝達因子でGABAの方がグルタミン酸より高まることを突き止めている。この結果は、アミノ酸のガンマグルタミン酸化を止めることで、発作を防げる可能性を示唆しているので、普通食のマウスにガンマグルタミン酸化を阻害する分子を食べさせると、発作を減らすことができることを示している。

話は以上で、マウスの話とはいえ難治性てんかんを抑える新しい切り口が間違いなく見えたように感じている。例えば、AK+Pbのプロバイオ、さらには腸内最近にのみ効果があるガンマグルタミン酸化阻害剤など、素人が考えてもすぐリストができる。臨床治験が早く行われ、ご両親の負担が少しでも軽くなることを願っている。
カテゴリ:論文ウォッチ