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1月2日 ほどほどの酒は心臓にもいい(12月28日JAMA Network Open掲載論文)

2019年1月2日
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元旦だけは朝から飲む日で、おとそ少々では済まない私のような酒飲みにとってお正月にふさわしい論文はと探して見た。と、いいタイミングで、高齢者の心不全患者さんにとってもほどほどのお酒は飲んでも問題はないことを疫学的に示したワシントン大学からの論文を見つけた。タイトルは「Association of Alcohol Consumption After Development of Heart Failure With Survival Among Older Adults in the Cardiovascular Health Study (心血管健康研究に参加した高齢成人での心不全発症後のアルコール消費と生存率)」だ。

この研究はもともと5888人の65歳以上の高齢者を追跡するコホート研究の一環で、この中で心不全を発症した393人についての詳しい調査だ。この研究では、特にアルコールについては詳しく調べており、全く飲んだことがない、以前飲んでいたが今は飲んでいない、一日一杯程度以下、一日一杯以上と4段階に分けて、ほぼ毎年調査している。 まず、心不全と診断された人のアルコール消費動向だが、少なくとも心不全と診断された高齢者でアルコールを飲んでいなかった人が、264/393(67%)と多い印象だ。米国の人は結構飲むのかと思っていたら、そうではなさそうだ。しかも、飲む人は高学歴、高所得者が多い。個人的には、高学歴、高所得の米国人は、強い意志で節制した生活を送っているのかと思っていたが、逆のようだ。確かに、高学歴の典型といえる国際会議で、お酒を飲まない人をあまり知らない。

しかしアルコール消費と心不全の発症率の相関を調べるのは難しいようだ。実際コホートを始める65歳まであまりにも多様な酒との付き合いがあるだろう。そのため、ほとんどアルコール中毒に近い例を除いては、なかなか相関を調べられないのだろう。

代わりにこの研究では、心不全と診断された後のアルコール消費と、その後の生存年数との相関を調べている。心不全と診断された時の平均年齢は78歳ぐらいで、平均7.5年生存している。心不全と診断されても、結構長生きできることがよくわかる。

さて肝心の結果だが、心不全と診断された後も、一日一杯程度の(だいたいワインで170ml程度)ワインを飲んでいる人の方が、全く飲まない人より生存日数が高い(3045日 vs 2640日)。ただ、この量を超えると、生存日数は下がるが、毎日一杯以上飲んでいる人でも、全く飲まない人より生存日数が長いという結果だ(2806日 vs 2640日)。

酒好きから見た時「心不全と診断されても飲んでいいのか」と嬉しい宣告だが、もちろん数が少ない点や、学歴や収入と、酒の消費量が相関していることから、全てが酒で決まっているわけではないことは心すべきだろう。でもそれを割り引いても、ほどほどなら心臓にまず悪いということはないようだ。

カテゴリ:論文ウォッチ
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