4月22日 初期の心房細動発作は治療が必要か?(4月18日号The New England Journal of Medicine掲載論文)
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4月22日 初期の心房細動発作は治療が必要か?(4月18日号The New England Journal of Medicine掲載論文)

2019年4月22日
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この歳になると、なぜか周りに心房細動でアブレーション治療をしたという人が増えてくる。実際、心房細動の最も重要なリスクファクターは加齢だ。実際には急な生活の変化や疲労の蓄積などで一過性に起こるAFは多くの人が経験しているのではないだろうか。もちろん、弁膜症や心筋梗塞など、血行動態の変化を伴う基礎疾患のある人に心房細動が起こる場合は、すぐ治療が必要だが、初期の一過性の心房細動の治療が必要かどうかは議論が分かれているようだ。

特に基礎疾患がない場合でも、心房細動になると1)胸の不快感が続く、2)当然新機能が低下する、3)血栓の危険性が高まる、ことから、初期であっても積極的に薬剤や、電流によるリズムの調節などで正常化させる方がいいことは間違いない。そこで、最近ではカルディオバージョンと呼ばれるいわゆる電気による除細動が行われる。今日紹介するオランダ・マーストリヒト大学からの論文は、このときも最初からカルディオバージョンを行うべきかどうか調べた研究で4月18日号のThe New England Journal of Medicineに掲載された。タイトルは「Early or delayded cardioversion in recent-onset atrial fibrillation (最近始まった心房細動のカルディオバージョンはすぐにすべきか、待つべきか?)」だ。

一般的に除細動というと、心室細動に対して行ういわゆるカウンターショック治療を思い浮かべるが、心房細動でも心臓の拍動(QRS)に同期させて通電してリズムを元に戻す治療が行われ、これを除細動ではなく、カルディオバージョンと呼んでいる。少しでも早く細動を止めるため、最近では救急でのスタンダードになってきている。

この研究では、最近始まった心房細動の症状で救急にやって来た患者さんの中から、発症後36時間以内で、他の心臓基礎疾患がない患者さんを選んで、カルディオバージョンを行わず、薬剤のみで様子を見、もし次の日に来てもらって治っていない場合はカルディオバージョンを行うグループと、最初からカルディオバージョンによる治療を行う群に分け、4週間後に心房細動が再発しているかどうかを調べている。最初様子を見る群でも、48時間経っても心房細動が止まらないグループは、もちろん薬剤やカルディオバージョン治療を行なっている。したがって、最初の段階で様子を見たか、すぐに介入治療を始めたかどうかだけの差を調べている。

最初、3700人の心房細動患者さんがリクルートされているが、そのうち上に述べた条件に合うのは、1125人で、残りの患者さんは診察前36時間以上細動が続いていたり、これまでも細動の発作が繰り返していたり、基礎疾患を持っていたため対象から除外されている。

結果だが、最初からカルディオバージョンを行わない場合でも、行なった場合もどちらも90%以上の患者さんが、4週目で再発はなく、両群に差はなかった。また、副作用でも特に差はなかったという結果だ。ただ最初薬剤からスタートした様子見群では約3割の人で薬剤のみでは治らず、次の日に結局カルディオバージョンを行う必要があった。

以上が結果で、最近始まった心房細動の場合、まず薬剤を処方して帰らせて、治らない場合次の日カルディオバージョンを行うので十分だという結果になる。もちろん、患者の立場から言えば早く直してもらったほうが安心できる。一方、救急の立場で考えると、カルディオバージョンには鎮静剤の投与など、時間と人手がかかるので、できたら薬剤処方だけでとりあえず帰ってもらって問題なければ、その方がいいことになる。この研究のモチベーションは、おそらく後者だと思う。

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