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7月1日:ガン局所に停留するIL-2/IL-12の絶大な効果(6月26日Science Translational Medicine掲載論文)

2019年7月1日

これまでもガン局所にIL-2やインターフェロンを注射することで、ガン局所での免疫反応を高める可能性が示されてきた。特にPD-1のようなチェックポイント治療が可能になってから、この可能性を追求する研究が多く見られる。ただ、いくらガンの局所に注射したと言っても、サイトカインはすぐ循環により除去される。

今日紹介するマサチューセッツ工科大学からの論文は、サイトカインをガン局所に注射した時、ガン組織内に維持され、循環により除去されない形態のサイトカインを開発し、その効果を動物で調べた論文で6月26日発行のScience Translational Medicineに掲載された。タイトルは「Anchoring of intratumorally administered cytokines to collagen safely potentiates systemic cancer immunotherapy(ガンの中のコラーゲンに結合するサイトカインは全身の免疫治療の効果を高める)」だ。

この研究のハイライトは、サイトカインがガン組織に長期間保持させるためには、コラーゲンIとIVに結合するLumican遺伝子にサイトカイン遺伝子を融合させるのが良いことを発見したことだろう。最初、蛍光ラベルしたアルブミンとの融合タンパク質を腫瘍内に投与して腫瘍組織からの消失を調べると、Lumicanとの融合タンパクは、アルブミンだけを注射した場合と比べ、はるかに長く腫瘍にとどまることを確認している。

腫瘍内に保持させるという目的が達成できると、あとはガン免疫を高めることができるかどうか確かめるだけになる。まず、メラノーマに発現しているTA99抗原に対する抗体治療と組み合わせる実験を行い、抗体だけではほとんど効果がないが、Lumican-IL2を組み合わせると、ほとんどのマウスの腫瘍を抑制できることを明らかにしている。また、この反応に関わる細胞やサイトカインについて阻害抗体を同時投与して調べ、最終的にCD8T細胞が誘導されることが最も重要な要因であることを確認している。さらに、Lumican-IL2の効果は、注射した腫瘍だけでなく、身体の他の場所に移植した腫瘍も同時に消失させることを示しており、効果は全身に及ぶ。

次は、Tヘルパー細胞を誘導するカギになるIL-12を同じようにLumicanと融合させたキメラサイトカインを合成している。IL-12は2種類のタンパク質からできているので、これを一本のアミノ酸として発現させるよう設計している。IL-12の有効性は期待されていたものの、全身的にサイトカインが誘導され極めて副作用が強い。しかし、腫瘍局所に投与することで、この副作用が強く抑えられることを示している。

あとはCAR-TやPD-1阻害と様々な条件で組み合わせる実験を行い、

  • メラノーマのような固形ガンでも、CAR-Tと組み合わせて完治が可能。
  • 乳ガン手術前のネオアジュバント療法としてもガンの再発を完全に抑制できる。
  • 抗原性の低いメラノーマモデルを用いているが、抗PD-1抗体の全身投与とLumican-IL2およびLumican-IL12を組み合わせると、腫瘍を消失させられる。
  • 癌遺伝子の強発現を誘導するメラノーマでも同じように効果があり、Lumican-IL12, Lumican-IL2, TA99、そしてPD-1抗体を組み合わせると、完璧に腫瘍を抑えられる。

以上が結果で、なぜこれまでこのような研究が行われなかったのか不思議なぐらいの結果だ。個人的な勘に過ぎないが、結構有望な治療になる可能性は高いと思う。

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