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新刊書 

2013年9月9日

「コンプライアンスが日本を潰す-新自由主義との攻防-」 扶桑社新書 藤井 聡 著

(http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%92%E6%BD%B0%E3%81%99-%E6%89%B6%E6%A1%91%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E8%97%A4%E4%BA%95-%E8%81%A1/dp/toc/459406616X)

 TPPの交渉参加となった途端に、アメリカから年内妥結を強要されるなど前途多難の中、協議対象には健康保険制度や薬価制度などが含まれると聞きます。難病患者も直接もしくは間接的に大きくこれらの制度に支えられており、成り行きに強い関心を持ちます。

 しかし、現在のところ、政治・経済の評論家諸氏もまだ様子見なのか、TPPに関する書き下ろしの新刊書は店頭では見当たりません。本書は、わが国のTPP協定加盟に反対の立場から書かれていて、戦後の日米の政治・経済史を概観し、コンプライアンス、独占禁止、新自由主義等の美辞の下に信奉者を育てて、米国の国益に合致させるためだけの要求に合わせるために、文化・風習・伝統などで日本人が築き上げてきた商道徳や習慣を抹殺し違法化させてきた戦後の流れを、建設業界の談合、タクシー規制緩和など経済事件を例に理路整然と解き明かした上で、わが国のTPP加盟への警鐘を説いています。なお、筆者は土木工学の出身で、現在も京都大学教授でレジリエント研究ユニット長であり、第二次阿部内閣・内閣官房参与(国土強靭化計画他担当)にあります。

 医療費や薬価などの日米比較からも明らかなように、私達は世界一恵まれた医療や健康保険制度を持っており、特に稀少難病患者もこれら制度の恩恵をフル享受しています。TPP加盟交渉の過程で、外圧によって我々の優れた制度が減損されることのないように、内外の現状を学んで将来を考え、結束し、発言していくことも大切と思います。  (田中邦大)