AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 6月12日 明かりの下で寝ると太る(6月12日JAMA Internal Medicine掲載論文)

6月12日 明かりの下で寝ると太る(6月12日JAMA Internal Medicine掲載論文)

2019年6月12日

最近硬い話題が多かったので、今日はすこし気楽な論文を選ぶことにした。

私たちの生活環境には、夜も光が満ち溢れている。さらに、いつもテレビを見ながら寝たり、あるいは全く暗くして寝るのが嫌な人も多い。これまでの動物実験で、睡眠中も光にさらされていると、肥満が起こることが実験的に確かめられていたが、今日紹介する米国・国立衛生研究所からの論文はこの可能性をヒトで疫学的に確かめて研究で、れっきとした臨床雑誌JAMA Internal Medicineの6月10日号に掲載された。タイトルは「Association of Exposure to Artificial Light at Night While Sleeping With Risk of Obesity in Women(夜間の睡眠中も人工光に晒される女性は肥満リスクが高くなる)だ。

研究は単純だ。最終的に43722人の35歳から75歳の女性を、2003年から平均5.7年追跡し、体重・睡眠・食事などを中心に様々なデータを集めている。最初のインタビューで、夜就寝時の光の状態を、光なし、小さな光、部屋の外に光、部屋の中にテレビか明かり、の中から自己申告させ、この結果と様々な指標とを送還させている。

結果だが、全く光なしで寝ている人は7000人、逆に明かりかテレビをつけて寝ている人が5000人、残りが少し光があるという状態で睡眠している。様々な指標で比べても、全く光なしと、少し光がある場合ではほとんど差はない。しかし、テレビか明かりをつけて寝ている人たちは、BMI、ウエストとヒップ比、ウェストと身長比など全ての面で最初から肥満が見られる。

またその後の追跡で体重やBMIの変化を調べると、体重やBMIがはっきりと増加する人の割合が、光の下で就寝している人では5%近く高い。

この原因を様々な生活習慣と対応させると、たしかに光をつけて寝ている人は、睡眠が少なく、夜食を食べたり、独り住まいが多いなどの生活上の問題が存在する。しかし、これらを全て差し引いても、明かりをつけて寝ている人たちには肥満傾向が見られるという結果だ。

これに基づいて、光がメラトニンの分泌を慢性的に抑制することで、概日周期が壊れ、他の要因がなくとも肥満の危険が増す可能性も挙げているが、個人的には、光をつけて寝る習慣を持っていること自体、まだ気づかれない生活要因があるように思う。

ただこの論文により同じような研究がわが国でも行われていることがわかったので早速読んでみた。被験者が高齢者に限定され、数は537人と少ないものの、かなり丁寧な研究が奈良医大から2013年に発表されている(Obayashi et al, J.Clin.Endocrinol Metab, 98:337, 2013)。

この研究では、各家庭を訪れて体重などの様々な指標を調べるとともに、睡眠時の部屋の明るさを測定している。結果は見事で、就寝中の部屋の明るさが肥満や糖尿病の割合と比例することが示されている。とすると、この話は決して日本人には無関係というわけではない。

結局夜を失うことは、健康も失うことのようだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*