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8月6日朝日(鍛冶):ES細胞から精子の元つくり改良 京大、効率化に成功

2013年8月8日

朝日新聞は元の記事のペーストを許していない。必要な方は以下のURL参照。 http://www.asahi.com/tech_science/update/0804/OSK201308040020.html

京大の斉藤さんの仕事だ。彼のことは学生時代からよく知っているが、挫折のない人だ。すくすくと育って、今や世界の生殖細胞研究をリードする研究者になった。競争に勝ち抜くためになどと各紙は書いているが、まあ当分は安泰だろう。特にES/iPSからの生殖細胞分化については、他を圧倒しているのではないだろうか。今回は、ES細胞から精子まで分化を誘導したという前の仕事の続きに見えるが、実際には生殖細胞分化に関わる遺伝子について、斉藤さんが地道な研究で明らかにしてきた結果の一種集大成だ。すなわち、ES細胞にBlimp; Prdm14, そして Tfap2cの3種類の遺伝子を導入し、好きなときに発現できるようにした。3つの遺伝子のうち2つは斉藤さん達が機能を明らかにしてきたものだ。この好きなときに発現できるようにしたのがみそで、エピブラスト時期に発現させると、後は何もしなくともプログラムが勝手に進むことを示すことが出来ている。転写因子セットで増強可能になったことで、人での研究は間違いなく加速する。特に斉藤さんはエラトーで猿の生殖細胞研究を進めているので、iPS由来の猿の個体が出来るのも近いかもしれない。     NHKも含めて各紙が報道した。だいたい同じであるが、この中では朝日の記事が図も載っており、最もわかりやすかったのでURLとして特に取り上げた。特に間違いもない。例えば効率について、10%から80%へ上昇したとした記事と20%からという記事に分かれたが、論文でははっきりしないし、どうでもいいことのように思える。この辺の数字を求めたがるのは記者の習性かもしれないと興味がある。求められれば数字を入れるのもいいが、実際には何が行われたのかをしっかり把握して貰うことが一番だろう。ES/iPSはそれだけでは利用できない。細胞の分化を誘導して、目的の細胞を得ることで初めて利用可能になる。このコントロールの方法の開発を世界中競っている。生殖細胞が対照となっているため少し違った印象を与えているが、斉藤さんは最も論理的な方法でこの細胞分化誘導方の開発を行っている。これが一番重要なことだ。この辺を協調してもらえれば100点だった。   とは言え、わかりやすい仕事で各紙で適切な記事になっていた。


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