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4月5日:自分の終末の「事前指示書」の効果(4月2日号The Journal of American Geriatrics Society誌掲載)

2014年4月5日
高齢で病院にかかると、日本の病院でも事前指示書の提出を求められるようになって来た。病気が進んで意思表明が困難になった時を想定して、延命のためだけの治療を拒否する意志を前もって表明するためだ。我が国で事前指示書が使われるようになったのはつい最近の事だが、アメリカでは1980年頃から市民活動が始まり、1990年にPatient Self-Determination Actが制定され、2009年にはオバマ大統領も自分が事前指示書を書いている事を宣言し、多くの人に指示書の準備を呼びかけた。この背景には、延命治療は通常高額で医療費を圧迫すると言う国民的認識がある。この様な運動のおかげでアメリカでは急速に事前指示書が普及しだし、その効果を検証しながら事前指示の内容を改訂している。この様な調査の一つが今日紹介するミシガン大学からの論文で4月2日号のThe Journal of American Geriatrics Society誌に掲載された。タイトルは「Advance directive completion by elderly Americans: a decade of change(高齢アメリカ人の事前指示書準備:10年間の変化)」だ。調査では2000年から2010年に死亡した約6000名について、死亡時の状況、事前指示書の準備の有無などを親族等の代理人から聞き取り調査を行っている。政府の梃入れもあって、2000年に事前指示書を用意していた人は47%だったが、2010年には72%に上昇している。確かにアメリカでは事前指示書が急速に普及が進んでいる。そのうち57%がDPAHCと呼ばれる法的永久委任状で、残りがLiving Willと呼ばれる一種の遺言の様な形で書かれている。いずれにせよ、正式な書類を残す事が普通になっている事はよくわかる。ただ指示書によって医療費のかかる入院が減ると期待されたが、実際には指示書に関わらずほとんどの人は死ぬ2年前に一度は入院しており、病院で死ぬ率も指示書の有無とほとんど相関はなかったと言う結果だ。この結果に基づいて、例えば病院で死にたいのかホスピスがいいのかなどより詳細な事前指示書を用意するとともに、事前の希望をより具体的な計画として示す工夫がないと、入院率を下げる事にはならないと結論している。我が国でも事前指示書を普及させるだけでなく、是非この様な調査を行い、誰もが安心できる指示書のために改訂を重ねる事が必要だと思う。

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