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12月8日:多発性硬化症のIndazole-Clによる治療(アメリカアカデミー紀要掲載論文)

2014年12月8日

多発性硬化症に対しては嬉しいことに新しい治療薬が続々開発されている印象がある。このホームページでもすでに利用が進むフィンゴリモド、徐放性インターフェロンβ、抗CD25 抗体、スタチンなどを紹介した。この嬉しい悲鳴はもっぱら多発性硬化症を研究するためにいい動物モデルとしてマウスのEAE(experimental autoimmune encephalomyelitiss:実験的自己免疫性脳脊髄炎)があるおかげだ。このモデルでは、自己免疫によるミエリンの消失と、オリゴデンドロサイトの再生による再ミエリン化のバランスが拮抗しながら病気が進む有様をよく再現でき、薬剤の効果を生きた動物で確かめることができる。このモデルからわかる理想的治療薬は、免疫反応を抑え、オリゴデンドロサイトの再生を促す薬剤だ。これまでの研究からエストロゲン受容体βを刺激することでこれが可能になるのではと期待されてきたが、どうしてもα受容体に対する活性をのぞくことができていなかった。今日紹介するカリフォルニア大学リバーサイド分校からの論文はこの目的で開発されてきたIndazole chrolide(塩化インダゾール)効果をマウスモデルで確かめた前臨床研究で、アメリカアカデミー紀要に発表された。タイトルは「Multiple functional therapeuticc effects of the estrogen receptor β agonist indazole-Cl in a mouse model of multiple scleraosis (エストロゲン受容体βの刺激剤塩化インダゾールはマウス多発性硬化症モデルに対して多様な治療効果を有する)」だ。結果はは明快で、この薬剤は免疫を抑え、ミエリン再生を促進する両方の効果を持つ薬剤として期待できるという結論だ。まずモデルマウスにこの薬剤を投与すると、全般的な臨床症状が全般的に改善するが、女性ホルモンとしての副作用はほとんど無い。この効果のメカニズムを探るために、自己免疫病の主役Tリンパ球を調べると、病変部のリンパ球の浸潤が抑制され、炎症性のサイトカイン分泌を抑制している。したがって、自己免疫病を抑制する効果がある。次はミエリン化だが、脊髄や脳梁の脱ミエリン化が抑制され、再ミエリン化が上昇している。これはオリゴデンドロサイトの生存が特定のシグナル経路(PI3K/Akt/mTOR経路)を介して守られることによることが明らかにされている。結果として、脳梁の神経伝達が生理学的に上昇し、さらにマウスの運動機能低下が抑制できているという結果だ。申し分ない結果だ。私として言うことがあるとすれば「わかった。そこまで言うなら、早く臨床効果を示して患者さんを救ってほしい」だけだ。

 

 


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