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1月14日:進むC型肝炎治療(1月13日号The Lancet掲載論文)

2015年1月14日

研究でも、医療でも急速に進展するときがある。そんな時は、少し目を離すと実験方法や治療方法は大きく変わって、自分を浦島のように感じる。C型肝炎治療はそんな例のようだ。私が現役の頃は肝炎ウィルスに対して直接働く治療法はなかった。それが、インターフェロンを中心にリバビリンなどのRNA ポリメラーゼ阻害剤を併用することでかなりコントロールすることが可能になっていた。しかしインターフェロンが効きにくいウィルスや患者さんが存在し、また副作用も長期の薬剤服用を困難にしていた。昨年になって、創薬ベンチャーであるギリアド社が開発を進めていたソフォブヴィルと呼ばれる新しいRNAポリメラーゼ阻害剤が認可され、副作用がなく効果が高いことがわかってきた。その後同じ会社はウィルス膜の形成に必要な蛋白形成を阻害するレディパシヴィルを組み合わせて、インターフェロンを使うことなくほとんどの患者さんを治療できること示していた。今日紹介するアメリカNIHからの論文は、この2剤にもう一つ新しいメカニズムの薬剤を加えることで、ウィルスをもっと早く体内から除去できないか調べた第2相研究で、The Lancet1月号に掲載された。タイトルは「Virological response after 6 week triple-drug regimens for hepatictis C: a proof of concept phase 2A cohort study (C型肝炎に対する3剤併用の6週治療プロトコルの効果、可能性を探る第2a相コホート研究)」だ。この研究では60人の患者さんが3群に分けられ、ソフォヴィル、レディパシヴィルの2剤併用に、開発中のGS9669,あるいはGS9451が3剤目として加えられ効果を調べている。GS9669はウィルスゲノムと結合するポリメラーゼ機能を抑制し、GS9451はウィルスが持つプロテアーゼの阻害剤だ。結果は期待通りで、どの薬を用いても2剤併用より早期に効果が現れ、4週ではほぼ100%の患者さんから肝炎ウィルスが消失する。薬をやめて再発があったのは1例だけで、また副作用も許容範囲だったという結果だ。仔細に比べると、全く新しいメカニズムの阻害剤GS9451が優れていると結論している。20人という少人数での結果だが、6週の薬剤服用コースで、1ヶ月でほとんど病気が消失するという結果は、C型肝炎がもう普通の風邪と同じ病気になったのと期待させる。しかしこれほど異なるメカニズムの化合物を並行して開発しているギリアド社の開発ポリシーは徹底している。世界には今も1億8千万のC型肝炎感染者がいるようだ。この人たちを全部自分の会社からの薬で治すという意気込みが伝わる論文だった。


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