AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 4月14日:膵臓癌の早期診断は可能か(JAMA Surgery掲載論文)

4月14日:膵臓癌の早期診断は可能か(JAMA Surgery掲載論文)

2015年4月14日

私の年になると、ほとんどの人は知人を膵臓癌で失っているはずだ。また、ガンの中でも膵臓癌は現在も増え続けている。しかし、このガンだけは医者も早期に発見することは諦めてきた。最近になって、遺伝性の高い膵臓癌のグループが見つかり、またゲノム検査からp16,BRCA1,2の遺伝子変異のように、遺伝性の危険因子もわかってきた。もしこのような危険性がある場合、なんとか定期検診で早期発見ができないか?この問題に取り組んだのが今日紹介するカロリンスカ大学からの論文だ。タイトルは「Short-term results of a magnetic resonance imaging-based Swedish screening program for individuals at risk for pancreatic cancer.(膵臓癌の危険性の高い人を対象としたMRI画像診断によるスウェーデン早期発見プログラムの中間報告)」だ。このプログラムでは胆汁や膵液を強調して撮影するMRCPという方法を使っている。CTなどと比べると被曝がなく、また胆管や膵管を詳しく見ることができるため、異常の発見率が高い。40人のリスクの高い人達を集め、2010年から年一回この検査でスクリーニングを続けた、その中間報告だ。40人全員が血縁のある親戚に2人以上の膵臓ガン患者さんがおり、さらに8人に遺伝的変異が特定されている。期待通りというか、なんと16人が3年の間にこの検査で異常と診断されており、そのうち12人は検診開始時に見つかっている。かなり高感度の検査だ。見つかったのはほとんどがいわゆる前癌状態だが、2人は膵臓癌として発見された。この前癌状態の患者さんの一人は、その後ガンを発生し、手術されている。2人の膵癌患者さんのうち一人は完全に早期発見だったが、もう一人は検査を一回パスしてしまったが、その後症状が現れ、すでにリンパ節に転移していると診断された。前癌状態の人のうち2人は手術まで進み、まだ膵癌には至っていないことが確認された、という結果だ。追跡はまだ続いているが、遺伝的リスクがあると、3年に10%近い人が膵癌を発症するのには驚く。この検査が本当に早期発見につながるかどうかだが、玉虫色と判断せざるを得ないだろう。ただ、リンパ節転移のない2例を発見できたこと、またもう一人も定期検診を一回パスしていた結果であることを考えると、1年に1回の検査ながら一定の成果があったと言える。一方、前癌状態で手術をした人が2人いる。ただ、遺伝性のある場合前癌状態からガンへ発展する確率が高いことを考えると、コストや負担から考えてもMRCPは使えそうだという印象を持った。膵臓癌の恐ろしさを考えると、親戚に膵臓癌の多い人には勧めていいのではないだろうか。一方、一般的な検査として考えると、ガンでなくとも手術されていいという覚悟の人なら勧められるように思った。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*