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2月17日:肥満税を考える(Plos Medicineオンライン版掲載論文)

2017年2月17日
   人口の高齢化に伴って医療費の高騰に直面しているのは我が国だけではない。また、いかなる医療制度下でも、この問題の解決には国家的な疾患予防、特に高血圧、糖尿病、高脂血症など生活習慣病を減らすことが鍵になるため、各国様々な取り組みが行われている。しかし運動を心がけ、低カロリー、低脂肪、高繊維食へと食習慣を変えることは容易ではない。だからこそ今年からNIHは行動学、社会学の研究が健康維持に欠かせないことを認識しプロジェクトをスタートさせた。しかし、研究の成果が上がるには時間がかかる。これに対し、幾つかの政府では、砂糖や塩を多く含む食品に税をかけて、その税を医療保険に移すとともに、国民全体の砂糖や食塩の摂取を減らす試みが行われてきた。このさきがけを切ったのがデンマークの脂肪税だが、消費者が周辺の国に簡単に買い物に出かけられる問題を解決できず、中止に追い込まれている。
   今日紹介するオーストラリアメルボルン大学からの論文は、もしオーストラリアで同じような税を導入したらどのような効果があるかシミュレーションで確かめた研究だ。タイトルは「Taxes and subsidies for improving diet and population health in Australia: A cost-effectiveness modeling study(オーストラリアの食生活と健康改善のための税と補助金:費用対効果モデル研究)」で、Plos Medicine オンライン版に掲載された。
   この研究では1)飽和脂肪酸食品税(100グラムあたり1.3ドル)、2)過剰食塩税(1gあたり0.3ドル)、3)砂糖含有飲料(1リットルあたり0.47ドル)、4)砂糖税(100グラムの砂糖あたり0.85ドル)、そして5)果物や野菜消費に対して100グラムあたり0.14ドルの補助金、の5種類の可能性を単独、あるいは組み合わせてシミュレーションし、DALYと呼ばれる病気により失われる年数、医療コストの低下などを計算している。
   シミュレーションの妥当性については私は判断できないが、結果はあらゆる税がDALYと医療に対する国のコストの削減に寄与する一方、野菜や果物の消費をあげる補助金の影響は少ないことを示している。また、税の中では砂糖税が最も大きな効果を上げるだろうと予想している。重要なことは、野菜や果物に対する補助金を他の税、特に砂糖税と組み合わせると、さらに大きな効果が期待できることで、これは、例えば砂糖税で甘いものの食品消費が減る時に野菜の消費も同時に減ったりすることを防ぐ効果があるとしている。
   はっきり言って、この論文の価値は結果の詳細ではなく、このような可能性が検討され、政府に提言されていることだと思う。現在、タバコやアルコールにも課税されており、この税は国民の健康に寄与している。テクニカルには難しいかもしれないが、今オブジーボ一剤で足元がフラフラしている我が国こそ、同じような税を砂糖や脂肪に対して設計して、医療費を減らすことを真剣に考えてみてもいいような気がする。

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