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6月27日パーキンソン病に自己免疫の可能性はあるのか?(Natureオンライン版掲載論文)

2017年6月27日
免疫機序が明確に関わる多発性硬化症を除くと、神経変性疾患の免疫反応を調べる研究はあまり存在しない。ただ私も知らなかったが、パーキンソン病のリスク遺伝子としてこれまでDRB5*01及びDRB1*15:01型MHC-IIが特定されている。連鎖不均衡の結果で免疫とは無関係の可能性もあるが、一般的には免疫反応も関わる可能性を示唆する証拠としてみることができる。また、もともと変性疾患の多くは細胞内での分子処理がうまくいかないことが特徴で、これも免疫反応を誘導する可能性がある。
   今日紹介するコロンビア大学からの論文は、パーキンソン病で沈着することが知られているαシヌクレインに対するT細胞の反応を、患者さんと正常人で比べた研究でNatureオンライン版に掲載された。タイトルは「T cell from patients with Parkinson’s disease recognize α-synuclein peptides(パーキンソン病の患者さんのT細胞はαシヌクレイン由来ペプチドを認識する)」だ。
   この研究では67人のパーキンソン病の患者さんと36人の正常人をリクルートし末梢血のT細胞反応をCD4型の反応としてIL-5分泌、CD8型反応としてIFNγ分泌を測定して検出している。参加者の中でDRB5*01及びDRB1*15:01型は正常では15%程度だが、患者さんでは30%を超え確かに高い。
   まず、αシヌクレインのどの場所が抗原ペプチドとしてT細胞を刺激するかを調べ、酵素切断される部位を含むペプチドと(PI)、レビー小体で特に濃縮が見られる部位を含むペプチド(PII)の2種類を特定している。
   次にこれらのペプチドに対する反応を比べると、どちらにたいしても患者さんの方が反応するケースが多い。リン酸化や処理による変化などペプチドへの反応性について詳しく調べると、ほとんどの形のペプチドにT細胞が反応することが明らかになり、正常シヌクレインが十分抗原として作用することが分かった。
   一方MHC抗原との結合で見ると予想通りDRB5*01及びDRB1*15:01型には強く結合することがわかり、MHCの連鎖が免疫に直接関わる可能性が示唆された。今回の研究では、これ以外に2種類の抗原提示MHCが特定されている。また、クラス I MHCと結合するペプチドとそれに対する反応も示して、パーキンソン病に免疫反応が直接関わる可能性を示している。
   この結果から、今回特定されたMHCとペプチドに反応できるパーキンソン病の患者さんについては免疫反応が病気に関わる可能性があると結論している。
   しかし強い免疫反応が見られれば、気づかれないはずはない。したがって、もし関与があるとしても最初の小さな引き金だけで終わっているのかもしれない。一方、免疫系の関与が長期にわたって存在しているのなら、治療の可能性もあるということで、論文を書いておしまいではなく、しっかり治療標的としての可能性までできるだけ早く調べて欲しいと思う。

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