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11月21日 アジソン病と特定機密保護法案(オリジナル)

2013年11月21日
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今週の新聞紙面はケネディー大使と特定機密保護法案が2本柱だ。
  勿論キャロライン ケネディー大使とは無関係だが、ケネディー大統領が難病指定されているアジソン病であった事はよく知られている。しかしこの事は、1976年彼の伝記でClay Blairが明らかにするまでは、大統領任期中も完全に隠されていた。彼の暗殺後40年を経て、2002年に大統領就任中の医療記録は服用していた薬剤も含め全て開示された。この開示されたデータとその後集めた様々な証言に基づき、2009年、Annals Internal Medicine (vol151, 350-354)に、空母ブッシュの軍医であるMandel医師がケネディー大統領は自己免疫性多腺性内分泌不全症(ASP typeIIが最終診断名)に罹患していた事について詳しい論文を発表している。特定機密保護法案の記事を見ていて、この話を思い出した。軍の頂点にある大統領の健康状態は新しい法案なら特定機密になるのだろうか?多分そうだろう。また、特定機密としておく期限が一つの焦点のようだが、病気などのプライバシーが(本人は亡くなっても家族にも影響があるはずだ)、機密として扱い続ける理由にならないだろうかと考えた。Mandelさんの論文を読むと、合衆国では大統領任期中の全ての医療記録が開示されただけでなく、家族や関係者からの証言も開示され、少年の頃からの様々な症状が明らかになっている。このある意味で残酷とも言えるプライバシー無視は、大統領の決断について、後世様々な角度から検証する事の重要性がしっかり理解されているからだと思う。我が国の現首相も持病がある事は公開されているが、治療も含めた詳しい記録が日本で本当に公開されることはあるのだろうか?日本が本当に世界に影響を持つ一流国家であるなら、首相の全ての記録は後世の評価のために必要なはずだ。是非特定機密保護法で首脳の病気がどう扱われるのか知りたいものだ。いずれにせよ、ドイツ首相の電話すら盗聴される時代に私たちは生きている。

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