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11月4日:ショパンの死因(The American Journal of Medicineオンライン版掲載論文)

2017年11月4日
クラッッシック音楽ファンでなくてもショパンの音楽を聴いたことがないという人はいないと思う。映画でいえば、古いところで溝口健二や木下啓介から黒澤明、そして山田洋次など多くの監督が彼の音楽を使っている。熱情溢れる音楽から、静かな心に染み入る音楽まで様々なバリエーションがありいろんなシーンにフィットするのだろう。

このショパンは1810年ポーランドで生まれ1849年パリで39歳の若さで世を去るが、30歳になる頃から咳、呼吸困難、全身倦怠に悩むようになり、10月17日母国ポーランドから呼び寄せた妹夫妻や友人に見守られ世を去る。この時の死亡診断書には「肺及び喉頭の結核」と記載され、彼が結核にかかっていたことは通説になっている。

この時ショパンの希望で、彼の心臓が取り出されワルシャワの聖十字架教会に祀られるが、この行為が後の科学論争の種になるとは、ショパンも想像できなかっただろう。2008年この通説に対して、ワルシャワの分子細胞生物学研究所のWitt博士らが、ショパンの病気はのう胞性線維症ではないかと疑いを持ち、政府にDNA検査の許可を申請する。理由は彼の姉妹の2人にも同じような症状が見られることがわかったからだが、残念ながらこの時の申請は拒否されるが、その後2014年、ショパンの心臓の保存状態を調べる決定がなされ、この時Witt博士らに組織を調べる許可がついに出され、その結果がThe American Journal of Medicineオンライン版に掲載された。

残念ながらFigureにアクセスできないので、文章だけを紹介するが、結局結核だったと結論づけている。なぜ心臓を見ただけで結核と判断できるのかと疑問に思われるかもしれないが、ブランデーに浸して保存されていたショパンの心臓を包む心膜には多くの結節とヒアリン化が認められ、結核の中では最も深刻な結核性心膜炎にかかっていたことがわかった。さらに、著明な右心室肥大が認められることから、肺に慢性の疾患を抱えていたことがわかり、心膜炎から見ても肺結核と診断して間違いがないという結果だ。

Witt博士らが調べようとしたのう胞性線維症については全く言及がないので、おそらくネガティブだったのだろう。ひょっとしたら、いつか論文として現れるのかもしれない。あるいは全ゲノム解析の論文かもしれないなどと期待してしまう。

この論文を読んで初めて知ったのが、自分の心臓を母国に送りたいというショパンの熱情には感銘を受ける。是非一度聖十字架教会を訪れてみたいと思った。

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