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1月1日 気になる代謝研究2題(12月18日 Cell Metabolism オンライン掲載論文)

2026年1月1日
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読者の皆様、明けましておめでとうございます。5000回を目指して毎日書き続けてきた論文ウォッチも今年ついに5000回を迎える予定です。是非今年も論文ウォッチをよろしくお願いします。

さて、元旦の今日は Cell Metabolism にほぼ同時に発表された健康につながる生活習慣についての論文を2編紹介します。最初はオランダ マーストリヒト大学、スイス ジュネーブ大学、ドイツ リュウマチ研究センターからの共同研究で、仕事場での自然光の重要性を示した研究。タイトルは「Natural daylight during office hours improves glucose control and whole-body substrate metabolism(仕事中に自然光を取り入れるとブドウ糖のコントロールと全身の物質代謝を改善できる)」だ。

10人の2型糖尿病の患者さんに、窓から自然光が入る仕事環境と、全く人工光だけの仕事環境で4.5日づつ仕事をして貰って、持続的なグルコースモニター、血液検査、カロリメトリー検査、そして筋肉バイオプシーによる代謝物や遺伝子発現について、自然光と人工光の差を比べている。どの被検者も、4ヶ月の間隔を経て両方の環境での実験が行われているので、基本的には個人差の問題は解決できているとしている。

多くのデータが示されているが、まず注目されるのは、連続測定からわかる血中グルコースレベルの食事による変化が緩やかになることだ。もちろん4日ぐらいの実験で血中の糖尿病指標が変化することはないが、グルコースの正常域の時間が長くなることは重要だ。これと平行して、脂肪燃焼が終日上昇する事で、これも糖尿病にとっては重要だ。

もう一つの大きな変化は、概日周期に影響がある点で、例えば夜の唾液中のメラトニンの量が上昇することは、概日周期がよりはっきり刻まれることを示している。同じことは筋肉バイオプシーで得た細胞の培養の概日周囲に関わるPer1やCry1の発現で見ると、発現レベルが上昇している。

以上、同じ明るさで仕事をするにしても、窓の大きい環境で仕事をすることが健康に良いことを示している。

次はスペインのPablo de Olavide大学からの論文は、硫化水素を体内で発生する化合物が糖代謝や脂肪代謝を改善し、マウスを11%長生きさせるという研究で、タイトルは「Enhanced non-enzymatic H 2 S generation extends lifespan and healthspan in male mice(酵素非依存的に二硫化水素の合成が促進することで、雄マウスの寿命と健康寿命が延びる)」だ。

タイトルは硫化水素が長生きの元と読めてしまうので「何?」と不思議に思うが、実際にはニンニクなどが含む硫黄化合物が急性的にも慢性的にも健康長寿に重要であることを示した研究になる。ここで調べられたのは硫黄の付き方が異なる、diallyl mono-sulfide (DAM) 、diallyl di-sulfide (DAD) 、そしてdiallyl tri-sulfide (DAT) になる。まず、これらを水に溶かしてグルタチオンを加えたときに発生する硫化水素の量を量り、後者のDADとDATが酵素なしでも分解して硫化水素を発生させることを確認している。この結果は、DADやDATを経口摂取させると、肝臓に移行したときグルタチオンの働きで硫化水素が肝臓で発生することを示している。

後は正常食や高脂肪食を与えたマウスにDADを中心にDAM、DATを加え diallyl sulforated compound (DAS) を投与し、まず3時間後の肝臓の遺伝子発現を調べると、これまで長寿に関係するとして知られている様々な遺伝子の発現パターンが変化することを示している。また、AKTやS6分子のリン酸化を調べると、やはりDAS投与で大きく上昇し、DASが大きな効果を持つことが示された。

次は慢性実験で、雄マウス20週目からDASを与え続ける実験を行い、様々な時期で代謝を調べるとともに寿命を調べると、DAS 投与群では11%も寿命が延びている。しかも、寿命だけでなく、認知や筋力など身体機能の維持も出来ており、いわゆる健康寿命が延びている。

後は詳しく代謝を調べて、インシュリン分泌も含めてグルコース代謝がDAS投与で改善すること、脂肪の燃焼が高まること、高脂肪食摂取時の脂肪肝を抑えることなど、いいことづくめだ。肝臓細胞の遺伝子発現、プロテオームを調べると、代謝から炎症まで全て良い方向に変化することがわかる。

また硫黄が付加されたタンパク質の量が、肝臓だけでなく筋肉でも上昇しており、筋肉の低下を抑えていることを示している。

以上のように、ニンニクに含まれるアリシンが分解した化合物の驚くべき健康長寿延長効果が、その代謝学的エビデンスとともに示されている。ここでDAS150mg/kgがどの程度の量かが問題になる。例えば50kgの人では7.5gを摂取する必要があるが、調べてみると生ニンニクのアリシン含有量は230mgなので、ニンニクからこの量を摂取するのは現実的でなさそうだ。

最後に年賀の挨拶としてChatGPTに作って貰った年賀状を添付します。

Screenshot
  1. okazaki yoshihisa より:

    インシュリン分泌も含めてグルコース代謝がDAS投与で改善すること、脂肪の燃焼が高まること、高脂肪食摂取時の脂肪肝を抑えることなど、いいことづくめだ。
    Imp:
    明けましておめでとうございます。
    今年は、記念すべき5000回記念日も迎えるんですね。
    ニンニクに含まれるアリシンが分解した化合物の驚くべき健康長寿延長効果!
    ニンニクは妙薬だったんですね!

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