5月25日 Cas9 の問題点(5月18日 Nature Genetics オンライン掲載論文)
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5月25日 Cas9 の問題点(5月18日 Nature Genetics オンライン掲載論文)

2020年5月25日

コロナ騒ぎの中でひっそりと報道されていたが、黄斑変性症治療の目的で移植したiPS由来色素上皮細胞は、5年経った今もガン化することなくホストの中で生存しているらしい。今後は機能面の評価など、論文として読めるようになると思うが、最も危惧された長期安全性はクリアできたように思う。

実際iPS由来細胞の移植治療の実用化が視野に入った頃、ガン化など安全性の問題を指摘する論文が数多く出された。雑誌のエディターも、安全性への懸念を強調した論文には甘いのはという印象すら持った。しかし、この学会の態度が、どうしてもアクセルを踏みがちになる研究者に、ブレーキを意識させる効果を生んだ結果、安全な治療が可能になってきたのだと思う。

今日紹介するイスラエルテルアビブ大学からの論文は、すでに臨床応用も始まっているCRISPR/Cas9による遺伝子操作の問題点を調べた論文で5月18日号のNature Geneticsにオンライン掲載された。タイトルは「Cas9 activates the p53 pathway and selects for p53-inactivating mutations (Cas9はp53経路を活性化し、p53機能欠損変異を選択する)」だ。

これまでCas9が標的以外のDNAを切断して細胞に突然変異を誘導する危険性については指摘が続いてきた。結果、Cas9のオフターゲット活性を下げる様々な改良が進んでいるが、現在のところはプラクティカルには問題ないとして、Cas9をそのまま用いているケースが多い。

この研究ではCas9による突然変異導入だけでなく、細胞そのものの増殖容態が変化して、これが異常細胞の選択的増加をきたすのではという懸念を確かめている。

細胞株にCas9だけを導入する実験系で導入による変化を調べると、DNA切断活性の結果と思われるp53経路の活性化が見られる。もしオフターゲット切断があるなら当然の話で、細胞の増殖を抑える方向にp53の出番になるのは正常だ。

ただ問題は、この状況が続くなかで細胞増殖を維持しよと思うと、p53分子の抑制が起こる可能性がある。実際、Cas9を導入された細胞株ではp53分子の機能喪失変異が高まることが観察される。また、細胞同士の増殖競合実験を行うと、p53欠損株の方がより高い増殖を示し、集団内で優勢になることを観察している。

以上の結果から、Cas9を導入することで、p53変異が選択的に増殖する危険性があり、これがガン化など問題を引き起こすことは注意が必要という結論になる。実際の体細胞遺伝子操作では、おそらくp53 のみでは大きな問題にはならないような気はするが、注意は必要だろう。

この研究では、遺伝子操作ではなく、CRISPR/Cas9を用いて網羅的な遺伝子昨日スクリーニングを行う際の問題を実際に検証しており、このような系で特定される遺伝子は、p53経路の異常を反映していることを考慮して解釈すべきだとしている。

特に驚くほどの論文ではなかったが、様々な観点からCRISPR/Cas技術の安全性を検証することは重要だ。

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5月24日 ちょっと意外な太らない遺伝子(6月11日号 Cell 掲載予定論文)

2020年5月24日

Stay Homeの最大の副作用は食べ過ぎ、運動不足による肥満だが、今回は生物学的・身体的要因だけでなく、法的にも世界中で自由が制限されたという精神的ストレスが加わっているため、深刻なデータが出てくるような気がする。

そんな中、別にダイエットをしているわけでないのに太らない人を必ず見かける。おそらく多くの人は、同窓会などにでてこのことを感じておられるだろう。おそらく太らない遺伝的素因があると考えられるが、メラノコルチンなど太る遺伝子多型は多く見つかっているのに、太らない遺伝子多型となると、病気を除くとほとんど見つかっていない。

今日紹介するオーストリア分子生物学研究所と食品メーカー ネッスルの研究所からの論文はなんと発ガン遺伝子として研究が盛んなALKが欠損すると、食べても太らないこという意外な結果を示した研究で6月11日号のCellに掲載予定だ。タイトルは「Identification of ALK in Thinness(ALKが痩せに関係することの発見)」だ。

著者らはこれまで太らないことと関係する遺伝子の発見が難しいのは、生活習慣や年齢の背景を補正して多型を探すことが難しかったことが原因であると反省し、これらの条件を満たしたゲノムコホート研究として、エストニアバイオバンクが使えることを発見する。

年齢や性別などの要因を補正した上で、痩せていることと相関する多型を探し、5つの領域を特定するが、この中に肺の非小細胞性腺ガン、白血病、そして神経芽腫などのガンのドライバーとして知られているALKのイントロンに存在する多型が存在することを発見する。

まずショウジョウバエを用いたRNAiによる昨日検索で、ALKノックダウンにより摂食行動は変化しないにも関わらず、太らないことを突き止め、マウスを用いた研究へ進んでいる。

ガン遺伝子としてのイメージが強いため、個人的にノックアウトマウスを用いるのは難しいだろうと思っていたが、意外なことにノックアウトマウスは正常に生まれ、生殖能も正常らしい。ただ、期待通り正常食でも、高脂肪食でも太ることがなく、常に正常より体重が低い。これは、エネルギー消費が高く、白色脂肪組織で脂肪の分解が高まっていることが原因であることがあきらかになった。 

ただ、脂肪代謝に関わる肝臓や脂肪組織ではALKの発現はほとんど見られないためALKを発現が高く、脂肪代謝と関わる組織を探索し、最終的に視床の室傍核の興奮神経が脂肪代謝に関わっていること、そしてALKイントロンの多型によりこの神経細胞でのALK発現が低下することを確認する。

最後に、室傍核特異的にALKをノックアウトする実験で、この部位のALK発現が減少すると、太らないマウスができることを明らかにしている。

以上が結果で、もしこの多型を持っている人が全く正常な一生を送れることが明らかなら、ALKの発現を標的とした太らないためのお薬ができるかもしれない。

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5月23日 T細胞の細胞障害過程の細胞生物学からウイルスの構造が理解できる(5月22日号 Science 掲載論文)

2020年5月23日

キラーT細胞が細胞を殺すメカニズムとして、当時、順天堂大学医学部の真貝さん(現、理研)がパーフォリン遺伝子を報告したのはずいぶん前だが、この仕事はよく覚えている。その後グランザイム、そして長田さんが明らかにしたFasを刺激するFasLも相手を殺す時のメカニズムとして特定された。パーフォリントグラン財務に関しては、パーフォリンでできた穴を通して、グランザイムが細胞内に侵入し、細胞を殺すと理解している。また、両方の分子は小胞の中に詰め込まれて分泌されることも知られている。

今日紹介するオックスフォード大学からの論文はこの過程を細胞生物学的に詳しく解析し、パーフォリン・グランザイムが一種カプシド型ウイルスの様な構造を形成し相手の細胞へ受け渡されることを示した面白いプロの仕事で、5月22日号のScienceに掲載された。タイトルは「Supramolecular attack particles are autonomous killing entities released from cytotoxic T cells (超分子的攻撃粒子がキラーT細胞から遊離するキラー分子の実体)」だ。

このグループは、キラー分子が集められたカプシド型ウイルスの様な超分子攻撃粒子(SMAP)が細胞を殺すと仮説を立て、パーフォリンやグランザイムを蛍光ラベルするとともに、分子コンプレックスをラベルする目的でレクチンであるWGA分子もラベルし、これらがコンプレックスを作って、殺したい相手の細胞に受け渡されるかまず調べている。

実験は細胞生物学の粋を集めたもので、SMAPに分子が集められ、それが相手の細胞に移行する様子を見せるだけでなく、人工的にスライドグラスの上に形成させた脂肪二重膜の上でT細胞を活性化し、分泌されたSMAPが膜に突き刺さる様子もリアルタイムで捉えている。まさに、ウイルスの侵入を見ているようだ。

このようにパーフォリンや、グランザイムが単純に分泌されるのが細胞障害性でないとすると、SMAPを構成している分子が重要になる。そこでこの構造を集めて分子解析を行うと、様々な分子が集まった構造を取っており、中でも血小板で多く見られるスロンボスポンディン1が最も多く含まれることが明らかになった。そこでスロンボポイエチンをノックアウトしたT細胞を作り、キラー活性を調べると期待通り活性は低下していた。

あとは、クライオ電顕など画像解析を通して、SMAPがグランザイムやパーフォリンを中央に、その周りをスロンボスポンディンがカプシドのように取り囲む構造を持ち、111nmほどの大きさの粒子であることを明らかにしている。

結果は以上で、中に核酸はないが、カプシド型ウイルスの構造と同じだ。さらに考えると、キラーT細胞はFasLを表面に持った小胞体を分泌して、Fasを持った相手を殺すことも知られている。この場合、コロナのような一種のエンベロープ型ウイルスに近い。

勝手な想像だが、このような擬似ウイルス武器をもって、ウイルス感染を防いでくれるのがキラーT細胞であることがよくわかった。うまくいけば、キラーT細胞ではなく、他の方法でこの武器を使える日が来るかもしれない。

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5月22日 武道の極意(米国アカデミー紀要掲載論文)

2020年5月22日

少し難しい論文紹介が続いたので、今日は気楽な論文を選ぶ。

高校時代ラクビー部に属してはいたが、もともと体育は苦手な方で、ましてや武道となると全く縁がない。とはいえ不思議なことに、武道の極意について固定的なイメージを持っている。相手と対した時、相手のどんな小さな動きも見逃さないよう集中し、動きを感知したらすぐに身体の動きに反映させる必要がある。すなわち、自分の身体感覚と、外部刺激に対する感覚を統合し、研ぎ澄ます必要がある。

今日紹介するライプチヒにあるマックスプランク認知・脳科学研究所からの論文をを読んだとき、武道の極意という言葉が頭に浮かんだので紹介することにした。タイトルは「Heart–brain interactions shape somatosensory perception and evoked potentials (心臓と脳の相互作用が体性感覚とそれによる興奮を決めている)」で、米国アカデミー紀要オンライン版に掲載された。

この研究では、心臓の拍動と、指先で感じる微小な刺激にたいする感受性とに関係があるはずだという仮説から研究が行われている。実際には心電図、脳波を記録しながら、指先に微小な刺激を与え、刺激を感じたか?どの指に感じたか?という感覚の申告と、その時の心臓収縮のフェーズ(収縮期、拡張期)、および脳波の変化を記録し、それぞれの相関を詳しく解析している。

この研究のハイライトは、私たちの体性感覚は心臓の拡張期に高まるという発見に尽きる。すなわち脳のどこかで心臓の動きを感じて、指の感覚の閾値を変えていることになる。

あとはこの現象と、脳の活動との相関を調べることになるが、

  • 刺激後、それを認識する脳領域の脳波の振幅が上昇するが、300msから500msの間の振幅は拡張期の方が高まる。心筋の活動は収縮なので、心臓の活動が感覚を鈍らせることを示している。実際、感覚野の活動を調べると、収縮期で感覚野の振幅が抑えられているといった方がいい。
  • もともと脳内には心臓の活動を感じる領域があり、これをheart beat evoked potential(HEP)と呼んでいるが、HEPの上昇は、体性感覚を抑制する。
  • 目を閉じて安静にする時発生するα波も独立に、体性感覚の閾値を下げる。

主な結果は以上で、心臓の鼓動という身体感覚と、微妙な体性感覚が統合されていることはわかった。我々が本来持っている心臓の鼓動を感じる仕組みは、感覚を鈍らせるので、武道の極意はまずこの回路を止める、あるいは逆に収縮期を感じてそこに感覚を集中することが大事かもしれない。一方、武道では邪念を払うことが重要と言われるが、これ自体はα波が代表する安静状態ではないなということもわかる。

などと勝手に解釈したが、面白い研究もあることがよくわかった。

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5月21日 転移のジェノミックス(5月18日 Nature Genetics オンライン掲載論文)

2020年5月21日

ガンのゲノム研究は、次世代シークエンサーとともに始まったゲノムデータバンク構築が完成に近づき成熟期を迎えていると言えるのかもしれない。ただ、データは様々な視点から何度もなんども見直すことが重要で、その意味でインフォーマティックスが臨床のニーズに合わせて、データを掘り下げる作業が大事になる。

今日紹介するスタンフォード大学からの論文はすでに集まっている転移を起こしたガン患者さんの原発巣と転移巣のゲノムデータを、最新の解析手法を用いて調べ、転移がどの様に起こるか調べた研究で、5月18日号のNature Geneticsに掲載された。タイトルは「Multi-cancer analysis of clonality and the timing of systemic spread in paired primary tumors and metastases (複数のガンの原発巣と転移巣の比較からクローン性と拡大時期を解析する)」だ。

同じ様な論文はなんども目にしてきたが、同じデータで何度も見直すことは重要だ。この研究でも世界中のデータベースから、乳ガン、大腸ガン、肺ガンで原発巣と、転移巣のエクソーム解析が行われているデータベースから信頼できるサンプルを抽出し、原発巣と転移巣との関係、治療と転移との関係、そして転移の起こり方などを解析している。基本はゲノム上の変異の蓄積状態を比較することで、系統樹関係、突然変異の起こり方、転移の時期、転移の様式などを解析している。答えは大体予想通りだが、それでも臨床医にとっては示唆に富む解析だと思う。

ただ間違ってはいけないのは、この研究では転移が実際に起こったケースを解析しており、臨床経過で一度も転移が発見されなかったケースとの比較が全くない点で、進行例を調べた研究と言える点だ。

まず、ガンの変異の特徴から以下のことが示されている。

  • 多くの転移ガンは、原発ガンと同じドライバー変異を共有しているが、乳ガンは、転移巣独自のドライバーへシフトしている確率が高く、ネオアジュバント治療の重要性を示す。
  • 乳ガンや大腸ガンではガン化に関わる変異は原発巣と転移巣で共有されているが、肺ガンの場合、ガン化につながる変異がバラけている。おそらく、タバコにより多くの変異が早期に発生した結果と考えられる。
  • 一方、抗ガン治療を受けた人の転移巣では、転移巣だけに見られるドライバー変異増加してくる。治療により、この様なマイナーな変異を持つガンが選択される。

これらの変異から、ポピュレーション動態解析を行うことで、

  • 発ガン早期から転移は起こっており、実際にはガンが診断される2−4年以上前に転移が起こっている。
  • 転移は個々のクローンが独自に起こす現象だが、どのクローンが優勢になるかは治療により大きく影響される。すなわち、治療により選択された転移巣は、抗ガン剤の抵抗性に関わる変異を持つことが多い。この様な転移ガンは進行が早い。

が結論される。

これらの結果は、検出できなくとも、転移がすでに広がっていると考えて治療する、例えばネオアジュバント治療の重要性を示す。さらに、薬剤自体が選択圧としてガンの進化に関わることから、進行していることが予想される場合はネオアジュバントは異なるメカニズムの薬剤を組み合わせた方が理論的には良い。おそらく、これに免疫治療が加わるとさらに効果を高められる可能性がある。

これは論文を読んだ素人の感想だが、この様なデータを臨床的に再検討し直し、新しいガンのプロトコルを進化させていってほしいと思う。

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5月20日 Z―DNAと記憶(5月4日 Nature Neurosience オンライン掲載論文)

2020年5月20日

右巻きのDNAが構成塩基などの条件により左巻き構造をとりうることが発見されたのは、私が臨床をやめて基礎研究に移る前だった様に思うが、当時おおきな話題になったことは確かだ。ただ、時折タイトルは見かけることはあっても、ほとんど忘れていた。

今日紹介するオーストラリア・クイーンズランド大学からの論文はZ-DNAという特殊な構造が脳の高次機能に関わっていることを示した不思議な研究で5月4日号のNature Neuroscienceに掲載された。タイトルは「Dynamic regulation of Z-DNA in the mouse prefrontal cortex by the RNA-editing enzyme Adar1 is required for fear extinction (前頭前皮質でRNA-編集酵素Adar1によるZ-DNAのダイナミックな調節は恐怖の消去に関わる)」だ。

誰でも「Z-DNAと記憶」などというありえない組み合わせのタイトルを見たら読んでみる気になるだろう。ただ、構造が変化したDNAということで、物理的エントロピーが、DNA本来の情報に重なったとき何が起こるか興味を持って研究している人たちがおり、この配列情報+αをfliponという概念で捉えて、転写調節に関わることが提唱されている様だ。言ってみれば、一種のエピジェネティック・メカニズムとしてZ-DNAが使われていることが知られていた。このときZ-DNAと反応する分子の一つがサイレンシングなどRNA editingに関わるAdar1であることもわかっている。

この研究では恐怖に対する光が当たるとショックが来るといった記憶の条件付けを形成させた後、今度は光に慣らせて条件付けを消すという課題をマウスに行わせる実験系で、Adar1の転写を調べると、恐怖記憶の消去過程でAdar1が上昇することに気づく。さらに、Adar1をノックダウンして同じ記憶実験を行うと、不思議なことに恐怖記憶の消去過程だけが抑制され、恐怖記憶が残ることを発見する。

通常なら、グルタミン酸受容体などのRNA editingではないかと思ってしまうところを、Z-DNAの調節とAdar1に気づいた点がこの研究のハイライトで、まず恐怖記憶成立過程でZ-DNA構造がゲノムに蓄積すること、そしてこの構造がAdar1により解消されることが、恐怖記憶の消去に必要であることを明らかにする。またAdar1結合する部位にある転写因子のいくつかについて、Z-DNA構造が転写阻害につながり、Adar1によりこれが解消されることで、転写が高まることを明らかにしている。

おもしろいことに、Z-DNA構造をとってAdar1と結合する部位のかなりの領域が、LINEやSINEと呼ばれる繰り返し配列により遺伝子発現が調節を受けている部位であること発見する。

もう一度まとめると、恐怖発作の記憶が成立する過程で強く刺激を受けた神経細胞のゲノムの一部が、おそらくDNA切断、修復などの過程を通してZ-DNAを形成、この構造が転写を変化させる。ただ、恐怖記憶の維持自体にこの構造は必要ないが、次にこの条件付けを消去しようとするときに必要な分子の転写が低下するため、恐怖記憶を消し去れない、という話になる。

もちろんAdar1本来のRNA editingもこの現象に関わるのだが、Z―DNAが一種の傷として恐怖記憶に関わっているとは意外で面白い。とはいえ、個人的には、強い神経刺激がDNAの構造を変化させる方が記憶に残ってしまった。

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5月19日 身長を決める遺伝子の探索(5月13日 Nature オンライン掲載論文)

2020年5月19日

身長に関わるコモンな遺伝子多型は3000近く知られているのではないだろうか。現在、それぞれの多型について身長の寄与度が計算され、ヨーロッパの民族ではこの計算に基づけばゲノムから身長を予測できる可能性は高まっている。一方、同じコモンバリアントでも、特定の民族には広く分布し、その民族の身長を決めている多型が存在することがわかっている。

今日紹介するハーバード大学からの論文はペルーのアメリカ原住民が背が低いことに注目し、民族の身長を決める遺伝子領域を特定しようとした研究で5月13日Natureオンライン版に掲載された。タイトルは「A positively selected FBN1 missense variant reduces height in Peruvian individuals(FBN1のミスセンス変異が選択されることでペルー人の身長が低くなった)」だ。

混血が進んでいないアンデスの町に行くと、確かに色黒で身長のひくい人が多いことに気づく。この民族の特徴から身長に大きな影響を持つ遺伝子多型を特定できないか、4000人余りのペルー人のSNPをアフィメトリックスのDNAアレーを用いて解析し、ペルー人の低い身長と強く相関するコモンバリアントを探している。

全部で5種類のSNPが発見されたが、そのうちの一つがマルファン症候群の原因遺伝子として知られるfibrilinのアミノ酸変異を伴う多型であることがわかり、この多型に焦点を当てて解析をしている。面白いことに、ヨーロッパ民族の身長の25%を説明できるSNPでは、ペルー人では6%しか説明できない。一つの民族で身長を決めるゲノムがわかった気になっていても、話は簡単でないことはよくわかる。日本人でも、独自に大規模なゲノムテストが必要だろう。

ともあれ、fibrilinの多型があると2cmの身長低下が起こることを確認した上で、ではこの多型がペルー人の進化で選択されたのかどうか知るため、この部位の近くの多型との連鎖状態を調べ、fibrilinの多型が選択的に選択されていることを示し、確かにペルー民族が形成されるとき、この多型がポジティブに選択されたことを明らかにした。面白いことに、この身長が低くなる多型は、海岸に住んでいるペルー人の方に濃縮されている。素人考えでは、アンデスなどの様な高地の方が低い身長を選択するプレッシャーが高い様に思うのだが、なぜこの様な結果になるのかは不思議だ。

これを知るためには、今回特定されたfibrilinの多型の機能的側面を理解する必要がある。おもしろいことに、これまでこの分子の変異として見つかったのは、マルファン症候群に関わる頻度の低い多型で、これらの変異は身長は伸びる方向に働いている。ただ、残念ながら多型と低身長に関してスカッとした説明はまだ難しい様だ。ようやく皮膚バイオプシーで、この変異があるとfibrilinの沈着が低下していることを示せる程度だ。おそらくモデル動物で発生過程をマルファン症候群の変異などとも比べることが重要だろう。

何れにせよこの研究で、マルファン症候群の対極ともいえる変異が同じ分子上に特定されたことから、この分子の研究を通して私たちが体格と定義している性質の分子メカニズムの理解も進むと期待される。

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5月18日 ウイルス感染細胞を single cell transcriptome 解析で調べる(Cell オンライン掲載論文)

2020年5月18日

当然のことながら、最近読もうとダウンロードする論文の三分の一はCovid-19関係になる。医学の専門誌からメディアまで、これほどコロナの話題でいっぱいになると、自らの頭も洗脳されてついつい手を出して読んでしまう。ただ、世界中の人が寄ってたかって一つの病気を研究するなど、そうあるものではない。一観客にとってはエキサイティングな舞台が目の前で進行している。とはいえ、この劇場にはエキストラ、ヘボ役者、そして名優まで、登場人物の数は多い。昨日紹介した論文もそうだが、この様な混沌とした舞台の中で名優に出会えるのは嬉しい。

今日紹介するイスラエルワイズマン研究所、フランスパストゥール研究所、そして深圳肝臓研究所が共同でCellに発表した論文はウイルス感染した細胞のsingle cell trascriptome解析方法を確立し、これをcovid-19に用いた研究で、どれほど緊急事態でも、しっかりとした準備を整えることの重要性がよくわかる論文だ。タイトルは「Host-viral infection maps reveal signatures of severe COVID-19 patients(ホストとウイルスの感染地図は重症Covid-19患者さんの特徴を明らかにする)」だ。

当然といえば当然だが、病気で何が起こっているかの解析にはsingle cell trascriptome解析(scRNA)の威力はすごい。例えば今年1月、薬剤による重症アレルギー局所に現れる細胞のscRNA解析から治療法を発見し、実際に患者さんが治った論文を紹介した(https://aasj.jp/news/watch/12272)。当然、covid-19でもscRNAが使われると思って見てきたが、発表されたほとんどは「なんでもまずやっておこう」というスタンスが目立って、面白くなかった。特に、感染症なのに、解析にはウイルスがほとんど登場できていない。なぜ肝心なことができないのか訝しく思っていたが、この論文を読んで、ウイルス感染した細胞が含まれる集団のscRNA解析データの処理が極めて複雑であることがよくわかった。

ウイルスの転写物は種類が少ないものの、数は多く、しかも異なる細胞にも感染する可能性がある。また、ポリA添加の乏しいウイルスも存在する。さらに、通常のソフトは、よくわからないRNAを全て無視して細胞を同定する様設計しているため、感染細胞とそうでない細胞を見分けて、scRNAデータを処理するためには、全く新しいソフトの開発が必要だった。

詳細は省くがこの研究では、上記の課題を克服するためにまずViral-Trackと名付けたアルゴリズムを開発し、マウスのウイルス感染実験、およびヒトB型肝炎のバイオプシーサンプルなどを用いて、検証したあと、新型コロナの患者さんの解析に利用している。

この研究では軽症者人、重傷者6人のcovid-19の気管洗浄液に含まれる細胞を解析に用いている。自分で採取した経験もあるので、この状況で重傷者からよくサンプルが得られたなと思うが、そのおかげで重要な発見が得られている。

  • これまで示されてきた様に、ほとんどの感染細胞はACE2とTMPRSS2を発現した繊毛細胞と上皮前駆細胞.
  • ただ、オステオポンチンを発現したマクロファージにも感染が認められる。これは、抗体と結合したウイルスを貪食した結果である可能性がある。ただ、もう一つのCovid-19侵入サイトとして疑われているCD147から侵入している可能性もある。この様なマクロファージでは、ケモカインの発現が強い。
  • マクロファージや好中球のタイプで、重傷者、軽症者をはっきり分けることができる。例えば、樹状細胞は重症例ではほとんど認められない。
  • NK細胞が重症例で増えている。
  • CD4T細胞は重症例で多いが、CD8T細胞は重症例ではほとんど認められないが軽症例では全員に認められる。
  • 重症例の一例で、メタニューモウイルスの混合感染が認められるが、1型インターフェロンの賛成派強く押さえられていた。

以上が主な結果だが、まず軽症者のみにキラーT細胞が見られる点が重要だと思う。キラーT細胞が上手く誘導できた人が軽症で終わる可能性が示唆されており、同じ手法でTcRを特定することで、ウイルス免疫成立をモニターできると、理解は格段に進む。

また、気管洗浄液は重症、軽症の見分けに重要な検査になる可能性がある。ボランティアで、症状が出てから時間を追って洗浄液中の細胞変化を追うことで、サイトカインストームの出方、ADEの出方などわかってくるのではと期待できる。

面白い論文だった。

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5月17日 新型コロナウイルス制圧に向けた大きな進歩(CellおよびScienceオンライン掲載論文)

2020年5月17日

北里柴三郎がベルリンに留学していた当時、感染症をめぐってペッテンコッファーとコッホの論争が行われていた。コレラの最終原因が細菌によるとするコッホに対し、ペッテンコッファーは最終的には生活スタイルが重要と、公衆衛生学の重要性を説いた。この時ペッテンコッファーがコレラ菌が最終原因でないことを示すため、コレラ菌を自分で飲んだエピソードは有名だ。ちなみに下痢がでたが、すぐに回復して、それ見たことかと勝鬨をあげた様だ。

今から考えて、公衆衛生か、細菌学かという当時の議論は滑稽にすら見えるが、その後コレラの恐怖から人間を解放したのは抗生物質の登場だ。その意味で新しい生活スタイルなど公衆衛生学的対処では、個人個人の感じる新型コロナウイルスへの恐怖からの解放は困難で、ともかく全力をあげて治療法を開発する以外に方法はない。

この点から考えると、アビガンにしてもレムデシビルにしても、現在使われている治療法は全て、新型コロナウイルスのために開発されたものではなく、その場しのぎに過ぎない。幸い重要なウイルスタンパク質の分子構造が続々明らかになり、既存の薬剤との結合が詳しく解析されつつあり、新型コロナに対する薬剤が開発されてくると期待できる。

ウイルス制圧に重要なもう一つの分野は免疫学だが、我が国メディアを見ていると、ワクチン開発でも、早期開発と競争ばかりに目が向いている様に思うが、実際にはウイルスに対する免疫反応を厳密に理解することが最も重要で、この知識なしにワクチンの評価はあり得ないだろう。実際、ほとんどの人が無症状や軽い症状で終わる新型コロナの場合のワクチンの評価を疫学的方法で進めるとしたら、逆に途方も無い時間がかかる様に思えてしまう。

今日紹介する二編の論文は、コロナに対する免疫反応を理解し、治療や予防を考える上で大きな貢献をした研究だと思う。最初の論文はウイルス遺伝子から合成されるタンパク質から予想できるペプチドに対するT細胞の反応を調べたLa Jolla免疫研究所からの研究でプレプリントがCellにオンライン掲載された。

T細胞の反応は組織適合抗原(MHC)とウイルス由来ペプチドが結合した複合物を認識し、MHCは個人個人それぞれ異なっているので、ウイルスに対するT細胞反応を多数の人について調べるのは難しい。この問題を、ウイルスタンパク質由来のペプチドを200種類以上用意することで、ほとんどの人でT細胞反応を検出できる様にしている。また、反応はペプチドカクテルでT細胞を刺激した後、活性化された時に発現してくる分子を指標に調べることで、多数の人の反応を迅速に調べることができる。

この研究では、ウイルス感染に必須で、ワクチンの標的として使われているスパイク分子から253種類、それ以外の分子について221分子をヘルパーT細胞反応検出のために、またキラーT細胞に対しては628種類のペプチドを合成、プールして刺激に用いている。

詳細は省いて重要なポイントを以下にまとめる。

  • Covid-19から回復した人では発症後1ヶ月で、ほとんどの人で、プールしたウイルスペプチドに対するヘルパーT細胞(CD4T)およびキラーT細胞(CD8T)の反応が見られる。ただキラーT 細胞の活性化については反応の低い人も存在する。
  • ヘルパーT細胞の活性化は抗体産生と相関しており、ヘルパー機能を見ていることがわかる。
  • 各ウイルスタンパク質個別にペプチドを調整しT細胞の反応を見るとスパイクだけでなく、多くの分子に対してヘルパーT、キラーT細胞が誘導されていることがわかる。
  • 新型コロナに感染したことのない人の60%で、新型ウイルスに対するヘルパーT細胞反応が見られる。一方、キラーT細胞が反応する人は3割程度。感染者と、非感染者でT細胞が反応するウイルス分子は異なっており、例えば核内タンパク質については非感染者ではほとんど反応が見られない。

以上が結果だが、いくつかの重要なヒントが得られる。

  • 現在抗体だけのことを考えて、スパイクに対するワクチン開発を進めるグループが多いが、T細胞で見るとこれで誘導できる免疫機能は高々半分にも満たない。したがって、もっと多くの異なるT細胞を誘導するワクチンの方が将来有効になる可能性がある。
  • 少なくともヘルパーT細胞については、他のコロナ感染により既に記憶T細胞を持っている人もいるので、この人たちが既に新型コロナウイルスから守られているのかどうか調べる必要がある。

かなり包括的なT細胞活性の検査法が開発された。望むらくは、感染細胞を用いたキラー活性も症例を選んで調べてもらえるとより理解が進む。またもう少し大規模に検査をし、特に次の感染まで前向きの研究ができると、旧型コロナウイルスによる免疫やMHCの民族差が、感染防御や重症化阻止に関わるかもわかるだろう。そして、T細胞側の受容体の解析が進むと、将来はT細胞を用いたCAR-Tのような治療すら可能になる様に思う。

もう一編は北京の首都大学から論文で、人型モノクローナル中和抗体の開発とスパイク抗原との結合についての構造解析の研究でScienceにオンライン出版された。

なんども述べた様に、エボラウイルスに対する薬剤を比べた治験では、モノクローナル中和抗体が最も効果を示した。この意味で、回復者の血清だけでなく、多くの企業、研究所が中和モノクローナル抗体の開発にしのぎを削っている。

おそらく世界中よく似た手法で抗体開発を進めていると思うが、患者さんの末梢血からB細胞を取り出し、その中からスパイクタンパク質に結合する細胞を精製、こうして得られた一個一個のB細胞から抗体遺伝子をクローニングし、その遺伝子を用いて最終的にIgG1クラスの、ヒトモノクローナル抗体を得ている。

論文では4種類の抗体を得たところから始めているが、このうち2種類の抗体はスパイクと、ACE2の試験管内結合を強く阻害できた。さらにこれらの抗体が、試験管内だけでなく、細胞表面のACE2とスパイクとの結合も阻害することを明らかにしている。最初から4種類の抗体しか取れなかったとしたら、成功確率の高さに驚く。

マウスの感染実験系でこのモノクローナル抗体を投与する実験を行い、最終的に最も病気を抑える効果があったB38抗体を用いて、スパイクタンパク質と抗体の結合に関する構造解析を行い、この抗体がスパイクタンパク質の36アミノ酸残基と相互作用し、そのうち21残基は新型コロナ特異的であること、そして21残基のうち18残基はACE2とも相互作用することを明らかにした。わかりやすく言ってしまうと、スパイクのACE2結合部位にドンピシャで結合できることがわかった。

結果は以上で、少し専門的になったが、治療薬として使えるヒトモノクローナル抗体が開発できたという話だ。今後、どのクラスが抗体による感染増悪が起こらないか、Fcを除去しても使えないかなど、検討が行われるだろう。また、同じ様な抗体が続々開発されることは間違いない。最後は、値段と活性の勝負になるが、この抗体がどの位置にいるのかわかるのもそんなに時間がかからない様な気がする。

ただ、治療用抗体としてだけでなく、ACE2とスパイクとの相互作用がモノクローナル抗体のおかげで詳細に理解できたことで、抗体だけでない阻害剤の開発も進むだろう。

この様に驚くべきスピードで必要な情報が上がってくると、今年中にコロナの恐怖から解放される方法が開発できると確信できる。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月16日 ホモ・サピエンスのヨーロッパへの移動(5月11日 Nature オンライン掲載論文)

2020年5月16日

素人考古学の楽しみは、いろんなストーリーを勝手に想像することだ。JT生命誌研究館の顧問をしていたころ、言語の発達について自分なりに考えブログにまとめたことがある。その内容は今このHPに引っ越してきているが(https://aasj.jp/news/lifescience-current/10954 :JT生命誌研究館サイト https://www.brh.co.jp/salon/shinka/2018/post_000004.php )、この長い考察の中で、なぜ言語の発生時期を5万年と考えるかについての私の勝手な想像を書いた。勝手な想像だが、それまで中東で10万年もの間接して暮らしていたホモ・サピエンスとネアンデルタールの間の均衡が壊れ、ホモ・サピエンスが急速にユーラシアに流れ込んだ時期を4万5000年くらいとすると、この均衡を破ったのがホモ・サピエンスで、いち早く言語が誕生したからではないかと考えた。

いずれにせよ、ホモ・サピエンスがヨーロッパに移動を始めた時期には、明確にホモ・サピエンスとネアンデルタール人の優劣がついた時期なので、それが身体的なものなのか、文化的なものなのか最も興味深い時期なのだが、この時期(後期旧石器時代)のホモ・サピエンスの遺跡は意外と少く、人類学研究の喫緊の対象となっている。

今日紹介するライプチヒのマックスプランク人類進化学研究所を中心とする国際チームからの論文はブルガリアのBacho Kiro Caveで発見された人骨をはじめとする様々な遺物の分析から、この遺跡ががヨーロッパ最古のホモ・サピエンスのものであることを示した研究で5月11日Natureにオンライン掲載された。タイトルは「Initial Upper Palaeolithic Homo sapiens from Bacho Kiro Cave, Bulgaria(ブルガリアBacho Kiro Caveから出土した後期石器時代はじめのホモ・サピエンス)」だ。

この発掘では地層を何層にも分けて発掘と年代測定を行い、またそこから出土した骨の形態、DNA解析、そして石器の分析などを全て行い、まさにこの洞窟がホモ・サピエンスがヨーロッパへ移動してきた4万7000年から4万3000年を代表するヨーロッパ最古のホモ・サピエンス遺跡で、シベリアUst’-Ishimと並んで、ホモ・サピエンスのユーラシア移動を理解するカギになることを示した。

結果だけをまとめると少しそっけないが、広がりのある発見だ。まず、この民族はすでにヨーロッパには存在しないミトコンドリアグループに属し、肉食獣とも戦うだけのスキルを身につけていた。

そして何よりも石器から、旧石器時代後期のオーリニャック文化とは異なり、旧石器時代の初期に移行的に見られる石器に近いが、旧石器時代中期のルヴァロワ石器とも異なることを示している。面白いのは、ネアンデルタール人のシャテルペロニアン石器とも似ている点で、おそらくネアンデルタール人が移動してきたホモ・サピエンスから学習したものではないかと議論している。

この様に、ヨーロッパに移動したばかりのホモ・サピエンスの遺跡から、言語や音楽に関わる遺物が見つからないか、スリリングな研究が続きそうだ。最後の方でオーリニャック文化など専門用語が出てしまったが、このあたりの研究を楽しむには石器についてもある程度学ぶことをお勧めする。私が辞書がわりに使っているのは以下に示すJohn Sheaの本で、キンドル版もある。

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