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ジュラシックパーク、消えた夢(オリジナル記事)

2013年9月15日
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これまでは報道ウォッチを中心にしてこのコラムを書いて来たが、時間があるときは、私も科学報道記事を発信してみる事にした。まず最初はPlosOneの電子版に掲載されたマンチェスター大学Brown博士の研究室の仕事だ(http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0073150)。
  ジュラシックパークは1990年に小説が出版され、1993年には映画化されたフィクションで、世界中が夢中になった。琥珀の中の昆虫の体液から恐竜の血液を取り出し、その遺伝子を使って恐竜を復活させるところは説得力があった。小説に刺激されたからではないと思うが、1992年に幾つかの研究室で琥珀中の昆虫からDNAを分離し配列を解読したと言う話が相次いだ。ただ、示されたデータに疑問が持たれ、その後はまじめにこの可能性を追求する研究は途絶えた。
  今回、Brown博士等のグループは、DNAにバーコードをつける技術と、次世代シークエンサーを使ってこの夢を再検討した。結論は明確で、60年前に出来た新しい琥珀中の昆虫からでさえ、まともなDNAは得られないことが判明した。琥珀に完全な形の昆虫が残っていても、琥珀が出来る過程でDNAの受ける障害は大気中より大きいようだ。残念ながら、ジュラシックパークの夢はあきらめた方が良さそうだ。

  1. 浅川 より:

    こういった話しは、小学生も興味津々だと思います。私が接している研究者の中には、サイエンスフィクションを読んだことがきっかけで理系の研究に漬かっていったとおっしゃる人もおります。

    1. nishikawa より:

      しかしこの小説がでてすぐに研究論文(間違っていましたが)でるのもどうかと思います。

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