今日紹介するデューク大学からの論文は、まさにこんな調査を三十年以上にわたって成し遂げ、知能に恵まれた子供には一般より素晴らしい未来が待っていることを明らかにした研究でPsychological Science7月号(Vol27, p1004)に掲載された。タイトルは「When lightning strikes twice: profoundly gifted, profoundly accomplished(雷が2回も落ちたら:顕著に能力が高いと、顕著な成果をあげる)」だ。
残念ながら、著者がWhen lightning strikes twiceとタイトルに使った比喩を完全に理解しているわけではないが、稀なことが2回も起こることを指しているのだろう。研究はわかりやすく、米国で大学資格試験に使われるSAT-VerbalとSAT-mathematicsを13歳児に行って、高い成績をあげた1万人に一人の能力を持った人たちを259人特定し、40歳時点でその人たちがどうなったか調べている。このコホート研究はDuke University Talent Identification Program(TIP:デューク大学優れた人材発掘プログラム)という枠組みで行われ、おそらく今後も長期にわたって追跡が行われ、今後はゲノム研究も行われるのだろう。
実は同じ様な試みが米国で、Study of Mathematically Precocious Youth(SMPY:早熟な数学能力を持つ若者についての研究)がすでに行われ、トップ0.01%の能力を持つ子供達は、その能力に見合った職業についているという結果が報告されている。ただ、一回きりの調査をそのまま鵜呑みにするのは問題だと、同じ調査を行い、結果を確認したのが今回の論文だ。普通30年以上追跡が必要なコホート調査の追試が行われることは稀だが、それが行われたということは、この問題の重要性が強く認識されているからだろう。論文では、両方の調査結果が比べられている。
まず選ばれた人たちの大学資格試験の結果からみてみよう。このコホートが行われた時点の大学資格試験は、読解力についてのSAT-verbalと数学能力についてのSAT-mathで、この研究ではどちらかのテストで高い点数をとった児童が選ばれている。
点数の分布を見ると、読解力の高い子供の数学力は広くばらつき、同じ様に数学能力が高い子供は読解力で広くばらつく。すなわち明確に異なる能力がテストできているのがわかる。
次に、この子供達の30年後だが、37%が博士号を取得、7.5%が大学で終身保障されたポジションについており、9%は特許を取得している。
面白いのは、読解力試験と、数学能力試験の点数を職業を相関させた図で、読解力が優れた子供たちは、芸術家、小説家、編集者、会社経営者などの文系の職業におついていることが多く、一方数学能力に高い子供は数学、医学を含む理科系の職業についている。両方平均的に点数をとった子供たちには、なんと法律家が多い。
この結果は両方のコホートで一致しており、ほとんどの人が「そうなんだ」と納得する結果と言えるが、一方でドラマを期待する気持ちから見ると少しがっかりだ。
要するに類い稀なる能力があると、それが制約となって、自然に能力を生かす様に生きていくという結果だ。ただ、これは類い稀なる能力の場合で、トップ1%について調べた研究では、ばらつきは大きい様だ。やはり凡人は努力するしかないことも申し添えておく。