地球は45億年前に生まれたとされている。それから10億年、基本的には物理と化学法則で支配される事象しか地球で起こらなかった。しかし生命誕生前後から、物理化学法則はそのままで、新しい法則が付け加わった。その結果、物理化学法則だけでは起こる確率が天文学的に低い、多くの新しい現象が高い確率で生まれた。だからこそこの痕跡を探す事で生命(あるいは生物法則)が存在した事を知ることが出来る。その一つが、炭素同位元素12Cと13Cの比だ。生物は炭素12を使いやすいため、生物の遺物には炭素12が濃縮される。1999年この論文の共著者であるRosingによりグリーンランドIsuaにある地表に現れた37億年前の地層の中のグラファイトに炭素13がほとんどない事が報告された。とすると、37億年前にかなりの規模で生物活性が存在した事になる。ただ、地質学的にこの層に蓄積したグラファイトが地層の年代を反映しているのか、鉱物学的、地質学的な反論があった。この論争を解くために、東北大学の掛川さんグループとデンマークのRosingさん(グリーンランドはデンマーク領を付記しておく)さんは、同じ地層でもあまり地質学的変化を受けていない場所から炭素13が含まれないグラファイトを採取し、ラマン分光やグラファイトの形態を詳しく検討して、これが海中の生物沈殿物に由来すると結論した。夢のある仕事だ。
今日見た所この研究は読売新聞だけが報道しているようだ。内容は詳しく、これまでの論争や、使った方法についても正確に伝えている。申し分ない。ただ著者のなかのデンマーク人はRosingさんただ一人なので、コペンハーゲン大学チームと言うのは違うだろうと思った。
12月12日読売新聞記事:世界最古の生命の痕跡発見「37億年前に生物」
2013年12月12日