2014年7月11日(金)11:25~12:10
難しい科学用語を知り、科学の現状を考えるワークショップ企画、
「Orphan drug」について考えるワークショップを明石北高校にて開催しました。
この企画は、稀少難病治療薬の名称である『Orphan drug』という言葉にスポットをあて、「Orphan」という単語が「孤児」「みなしご」という意味を持っていること、稀少難病治療薬は対象となる患者数が少ないために利益が見込めず製薬会社による開発が進みにくいという現状を受けてつけられた名前であること等を知ってもらうと共に、治療薬の開発を待ち望む患者さんにとって希望の持てる新しい名称を考えようというものです。
昨年は同ワークショップを神戸の葺合高校のボランティア活動クラブにて開催させていただき、「レインボードラッグ(rainbow drug)」「フェニックスドラッグ(phoenix drug)」など数々の希望の持てる名称案が出てきていました。
今回の明石北高校でのワークショップは、2年生理系クラスの生徒さん35人を対象に、英語科の授業時間を使って開催させていただきました。ALTの先生2人もオブザーバーとして同席くださいました。
薬学など薬関係への進路を考えている生徒もいるということで、まず最初に、一般的な新薬の開発の流れについて説明しました。新薬の開発には、研究段階、開発・審査・承認段階があり、長い期間と多くの費用が必要であることがわかってもらえたと思います。
続いて、ALTの先生に「Orphan drug」という言葉を聞いたときに受ける印象を伺いました。「親のいない子どものための薬だと感じる」「親が年を取り、病気になったときに、薬を買うことができず、親が亡くなってしまう。その結果、子どもは孤児になってしまう そんなイメージを受ける言葉」と答えてくださいました。
現実には、「Orphan drug」は稀少難病治療薬を表す言葉であり、「Orphan」には「孤児」「みなしご」という意味があること、なぜこの名称がついたのかを稀少難病治療薬の現状とともに説明しました。
ここで、生徒のみなさんには、5つのグループに分かれて、思いつくままに名称を付箋紙に書き、それを模造紙に貼り付けていきながら、その言葉を考えた理由や、言葉への思いなどを出し合ってもらいました。
意見が出そろったところで、グループごとにおすすめの名称案を発表してもらいました。
「desire drug (強い望みの薬)」
「promising medicine(将来有望な薬)」
「happiness seeds drug(幸せの種の薬)」
「unique drug(唯一の薬)」
「smile drug(笑顔の薬)」
など、求めている人の希望を繋ぐ名前がたくさん出てきました。
「Disney drug」という名前も出ており、柔軟なすばらしい発想力に感心しました。
またDRUGを頭文字にし「Desire Rare Useful Gift」と言う名前を考えてくれたグループもありました。
新しく生み出された数々の希望の名称に、高校生の若さ、力強さ、そして優しさを感じました。
ALTの先生からは、「hopeful drug (希望に満ちた薬)」いう名前が提案されました。 さらにhopefulの各頭文字にhealth option power energy future universal loveという意味を持たせているとの説明があり、生徒からは「さすがネイティブ、レベルが違う」など感嘆の声が上がっていました。
このワークショップを通じて、生徒のみなさんと、稀少難病の現状や課題、薬を待ち望んでいる人の想いを感じることができ、非常に有意義な時間になりました。
また、先生や生徒から、創薬の説明時の、「創薬には多くの人が携わっており、薬学部以外の出身者(工学部、農学部、理学部など)も多い」という話がとても興味深かったとの感想もいただきました。進路選択時のヒントのひとつになれば嬉しいです。 (企画/運営:藤本 記事:麻生)
(掲載許可承認済)