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笹井さんの死

2014年8月5日
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ヨーロッパ旅行中に笹井さんの自死を電話で知った。今回の問題についての様々な意見を聞いていると、笹井さんが活躍していた生命科学領域の科学者コミュニティーは、科学者間の連帯が欠如し、むき出しの競争だけがある格差社会へと変貌していたようだ。勿論笹井さんも、そして私自身もこの様な格差社会成立に手を貸した一人だろう。しかしついにこの格差社会が牙を剥いた。連帯感がある時人は死なない。今この研究者社会を担っている世代に対して言葉はないが、若い世代の研究者は、競争はしても連帯感が損なわれない新しい研究者コミュニティーを目指して欲しい。 (マスメディアの方々へ:いつものことですが、取材には応じることはありません)
  1. 斉藤健二 より:

    >(マスメディアの方々へ:いつものことですが、>取材には応じることはありません)

    「自由に発言したい」という理由から理研の顧問を辞職したのではなかったですか?

    小保方氏の採用には大きく関わっておられますし、説明責任があると思いますが。

    あまりにも他人事のようなコメントに目を疑いました。

    1. nishikawa より:

      自由に発現することと、既存のメディアに答えることとは同じとは思っていません。既に色々な発言チャンネルを用意しておりますので、それを見て下さい。いずれにせよ、休暇中の外国に電話がかかって来て、返事をしないにしても大変です。

  2. 本間 より:

    CDBに在籍しておりました.私自身大変ショックを受けております.とても優秀な方だったが故に孤独であったのではないかと想像しています.西川先生のおっしゃる「連帯」というのは重要な点であるように思いました.アメリカに留学中,日本にはない研究者同士の「連帯感」を感じていました.現在帰国して,やはり研究者,ラボ間の隔たりを感じ,それぞれが孤立しているように思います.このような状況を何とかできないものかと模索しています(せめて所属施設内で).

    1. nishikawa より:

      私のさきがけのK君が笹井さん擁護の発言をしたら、もうK君は阪大で生きて行けないとフェースブックを書いた人がいるようです。ひどい格差社会になっています。

  3. okawasabi より:

    学術研究の世界を弱肉強食の競争原理で追い込む今の時代に,強い危惧を抱いています。貴下の発言を他人事と感じる人には事態の深刻さが見えていないのだと思います。

    1. nishikawa より:

      私は競争原理を否定するわけではありません。大事なのは競争していても連帯感があるかどうかです。他の分野と異なり、科学は他人との連帯なしに成立しないと思っています。

  4. 北畠 康司 より:

    笹井先生を直接知る1人として、また生物学研究者の1人として、たいへんにショックでした。

    他の捏造事件の多くと違う点は、(過失のようなものがあったかもしれないけれども)笹井先生自身になんら意図的な悪意はなかったということ。
    なのにここまで叩かれる必要があるのか、と。そうずっと不満に思っていて、いまもそう思っています。

    報道の方のご意見をうかがいたい。
    科学の分野に、感情、あるいは扇情的なものを混ぜすぎていなかったか。
    ゴシップ記事のような程度の低い記事を、毎回大手紙の一面に出す必要があったのですか。
    もしも「最初の発表方法と科学的成果があまりに影響力が大きかったから、大きな記事にせざるを得なかった」というのならば、報道の力のもつ影響力もまた予想以上に大きく、ときに思わぬ犠牲を引き起こす。
    それを常に意識すべきであったのに忘れていたのではないですか。

    「研究にあまりに成果主義を入れすぎた」という批判を何度も見ました。
    ではあなたたちは、「報道にあまりに商業主義を入れすぎていた」のではないかと問いたい。

    このコメントをご覧になった報道関係の方、STAP関連の記事をご自身でお書きになられた方は、逃げることなくご意見をお聞かせいただきたいです。
    それこそが報道に関わる者の責務と言えるのではないでしょうか。

    1. nishikawa より:

      マスメディアの人が呼びかけに答えるようなら、おそらくほとんどの人はメディアの職を失っているでしょう。NHKまでがパパラッチと変わらなくなりました。ただ笹井さんはマスメディアの報道で死ぬ様なやわな人ではないと思います。私もこれから考えます。

    2. 海外 より:

      >北畠さん
      笹井氏が企画したという最初の会見は、ムーミンだの割烹着だのを持ち出して発見者が若い女性であることを必要以上に強調した扇情的なものでした。もし捏造でなければ、逆に扇情的で商業主義的な報道のおかげで多額の援助を国から引き出すことに成功していたことでしょう。そんな扇情的な会見がすべての引き金だったのを綺麗さっぱり忘れて、「扇情的な報道をしたマスコミが全部悪い」というのはおかしいと思いますよ。

      1. nishikawa より:

        せっかくこのサイトを使って議論してもらえるなら、是非顔を見せて議論しませんか。

  5. hiroyuki より:

    物事をある側面からだけ見るのではなく、別の角度からみるとどうなるのか、裏側から見たらどうなるのか?逆の立場だったらどうなるのかを考えるのが、物事を客観的にとらえる事だと思います。

    今回はあまりにも、(おそらく真相とは遠い)見方だけでストーリーが作られた.だいたいNHKの番組なんて50分程度で
    事件を語ろうというのがなめています。三時間かけて多方面からの分析をすべきだったと思います。
    希代の天才科学者の死はあまりにも悲しすぎる。天才故の早逝だったと考える以外、、、言葉にできないです。

  6. 渡辺也寸志 より:

    死はそんなに遠いところにはないということでしょう。メディアの質の劣化極まれり、です。NHKも毎日も、まさにパパラッチです。ひどいもんだ。
     問題の核心は「若山教授」にあるんじゃないですか? メディアはそれを問おうとはしていない。ピントがずれています。「STAP=ES」問題がどこまでもポイントですよ。一研究員に出来ることかどうか、考えて見ましょうよ。笹井さんは「すべて知っていた」んじゃないですか?

    1. nishikawa より:

      捏造問題は当事者が全て知っていることで、誰かが全てを話せば済むことです。しかし様々な理由でそれをしないのもまた人間です。

  7. 渡辺也寸志 より:

    「連帯感がある時、人は死なない」、けだし至言です。小保方事件、理研CDBの内情を「黙して語らず」、ひとり墓場へもっていったということでしょう。若山教授の「(笹井)死に対するコメントなし」が如実に物語っています。
     小保方さんの弁護士・三木さんが「(若山教授は)小保方さんとは壁を作っています。彼の動きはまったく理解不可能です」と語っていました。一方、若山教授は小保方会見に「ああ、このまま全部自分のせいにされるかもしれない(STAP幹細胞は若山氏がすべて作った発言に対し)。科学者でいられなくなるかもしれない」と言っています(『週刊文春』6・19号)。
    「理研も小保方さんと一緒に私に全責任を押し付けるのではないかと不安でした。現に、笹井先生は会見で私の責任に言及していました」(同上)。
     笹井さんはES細胞の第一人者だったはずです。その意味で「理研ぐるみ」の茶番劇だったとも言えましょう。でも「とかげの尻尾きり」はまずいでしょう。醜悪な、しかし人間ドラマに違いありません。読み解く努力が必要とされています。

    1. nishikawa より:

      人それぞれの置かれた状況があります。ただ全て理解することは難しいと思います。一面だけで物事を決めない、出来るだけその立場を理解する、それからしか何も始まらないと思います。あと、マスコミは笹井君をES細胞の専門家と分類していますが、私から見たら間違いです。彼は、神経発生の専門家で、多能性幹細胞そのものについての研究はSTAPが初めてでしょう。我が国でヒトES細胞と言うと、強大の中辻さん、育成の奥津君だと思います。

  8. 渡辺也寸志 より:

    「 強大の中辻さん、育成の奥津君」とは何を意味するのでしょうか? 意味がわかりません。一面だけで物事を決めない、出来るだけその立場を理解する、それからしか何もはじまらないと思います」とありますが、これも可笑しいです。考え方はその通りですが、今となっては実に曖昧な主張です。私は先生に「極論」は求めませんが、もう少し、判断を鮮明にしてほしいと思います。先生は正確に判断できる立場にいるはずです。
     ことは「詐欺罪」も絡む法的に「刑事事件」の事態になっています(特許法)。「余計なお世話」といわれればその通りですが。と言っても「これしかない」ということであれば仕様がありません。犯罪であれば、そのように扱うしかありません。小保方さんを守るためにも。悪しからず。

    1. nishikawa より:

      誤字脱字の天才です。とは言えもう一度正確に述べておきます。既存のマスメディアの多くは、笹井さんをES細胞専門家と書いていましたが、この分野の研究者は誰もそうは思わないはずです。彼はES細胞から神経系への分化では世界のトップランナーでした。しかし、多能性細胞自体に関わったのは、ヒトES細胞がROCK阻害剤を用いると安定して培養できることを示した研究だけだと思います。勿論この方法は世界中で使われています。我が国でES細胞樹立を行っているのは、京大の中辻さん、国立成育医療研究センターの奥津さんです。既存のマスメディアを信じて踊らないことが重要です。

  9. 小田 より:

    興味深いと思いましたが、この箇所がよくわかりませんでした。
    “笹井さんが活躍していた生命科学領域の科学者コミュニティーは、科学者間の連帯が欠如し、むき出しの競争だけがある格差社会へと変貌していたようだ。”
    科学者間の連帯とは具体的に何でしょうか?今回の件で激しい格差社会が露呈されたと解釈できるものなのでしょうか?
    もしよろしければ詳しいご説明をして頂けると有り難いです。
    よろしくお願いいたします。

    1. nishikawa より:

      競争はしても、何かあったら連帯できるようなコミュニティーです。厳しい時に、その人の気持ちになって考えられると言えばいいのでしょうか。

  10. 小田 より:

    早速のお返事ありがとうございます。
    仰るような連帯は大切だと思います。しかし、競争の激化は避けられない以上、そのような仕事上での連帯は表面的なものになりがちです。これだけでは非現実的ではないかと思いました。
    従って、このような状況で必要なのは、自分自身のホームグラウンド(厳しい時に逃避できるようなコミュニティ等)の形成もしくはサイエンスは世界のほんの一部に過ぎないということの認識が肝要と思いました。

    1. 武田 より:

      小田さんに同意です。
      「自分自身のホームグラウンド(厳しい時に逃避できるようなコミュニティ等)の形成もしくはサイエンスは世界のほんの一部に過ぎないということの認識が肝要と思いました。」
      もういい加減、日本の社会全体が、仕事で失敗または干される=人間失格ではない、という考え方を持つべきだと思います。

  11. 岡崎 より:

    まずは笹井先生のご冥福をお祈りします。
    私は全然畑違いの仕事をしていましたが、今回の問題は日本社会の膿が一度に噴出したように思えてなりません。
    人ごとではないように感じるのです。
    今回のような事は、研究分野以外のどこの分野でも起こりうる事のように思えます。
    競争が激しすぎるため、みんなが成功者を妬み、失敗を望んでいる気がして怖いです。
    よく言われている事ですが、この国は人口が多過ぎますよね。
    結局、海外に出る事ができる人は出た方が、自分の為にもなるし競争率が下がるので国全体としてもいいのでは、と思います。

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