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1月20日:パーキンソン病の遺伝子治療(1月10日発行the Lancet掲載論文)

2014年1月20日
パーキンソン病はドーパミンを造る細胞が失われるため、運動障害を中心に様々な症状を示す進行性の病気だ。症状を改善する薬剤はあるが、薬剤の効果を誘導するために細胞内の代謝経路が必要で、細胞が失われると薬剤の効果は徐々に失われて行く。このため、根本的な治療のためにはドーパミンを造る細胞を移植するか、ドーパミンを生産するための代謝システムを脳内に導入する事が考えられる。我が国では京大の高橋さん達が細胞移植治療に取り組んでおり、期待されている。一方英国では、オックスフォードにあるベンチャー企業が開発した遺伝子治療が既に臨床治験段階に入っており、今日紹介するのはこの遺伝子治療についての論文だ。レンチビールスと言う遺伝子を細胞内へ運ぶベクターを使って3種類の遺伝子を近くの細胞に導入し、他の細胞をドーパミン産生する細胞へと変換して症状が改善するかどうかが確かめられている。論文のタイトルは「Long-term safety and tolerability of ProSavin, a lentiviral vector-based gene therapy for Parkinson’s disease:a dose escalation, open-label,phase 1/2 trial (レンチウィルスをベクターとして利用するパーキンソン病の遺伝子治療剤ProSavinの長期的安全性と認容性評価:非盲険、用量漸増、I相/II相試験)」がタイトルだ。第I相/II相治験は、安全性と至適量を調べる事が主な目的の治験だ。従って、結果では先ず安全性に重きが置かれている。3種類の異なる投与量で治験が行われているが、いずれの量のウィルスを注射しても重大な副作用がなかったと言う点が最も重要なメッセージになる。ただ、この論文では副作用は軽度として判断されているが、不随意運動やお薬の効き方が悪くなるオンオフ現象などを防ぐ事は出来ていない。その上で、量に関わらずウィルス投与を受けた全ての患者さんではっきりと運動症状の改善が見られた事が次に報告されている。成功のうちに臨床治験が終わり、患者さんも期待できると言う結果だ。ただ、ある意味でパイロット研究的な治験の結果をどのように解釈すればいいのか?全面的に期待していいのか?などは、本当の専門家ではない私たちにはわからない。幸い、The Lancetでは同じ号にこの治験についての専門家の評価も掲載しており、大変厳しい意見が出されている。例えば、偽薬効果や脳イメージングのデータに対する批判も医学を通り一遍理解したぐらいでは気がつかない細部にわたっている。厳しい批判で全体としては否定的な調子に聞こえるが、最終的には重要な分野として位置づけているようで、次は統計的にもよくデザインされた大規模治験への期待で終わっている。   いずれにせよ、細胞治療も含めて研究の進展は急に感じる。私たちのNPOでも、パーキンソン病について出来るだけ早くニコニコ動画で取り上げ、最近の研究の動向を伝えて行きたいと思っている。

  1. 秋山元秀 より:

    何かと、思うように出来ない・・・・・・・
    遺伝子治療も早く受けたい。
    早く疲れる、なかなか疲れが抜けない・・・・・・
    頭で考えることが狭い・・・ことばの表現力も落ちる・・・・
    パソコンは、人並みに使えるが・・・・・現実が伴わない・・・・・・・・

    1. nishikawa より:

      6月1日3時からニコニコ動画(AASJチャンネル)で細胞治療の高橋先生、パーキンソンの患者さんの永井さんとこの分野の最新情報を放送しますので是非ご覧下さい。また聞いておく事があれば先に連絡いただければ高橋先生にお聞きします。

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