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3月19日:CRISPR/Cas9を使って特異的mRNAを生きた細胞の中で見る(4月7日Cell掲載予定論文)

2016年3月19日
名称未設定 1 明日14時よりAASJチャンネル(ニコニコ動画)では、大阪医大の学生さんが中心となった、「高い意識を持った生命科学の学生」のための放送を行う。この放送はあくまでも学生が中心で、私はいわばコメンテーターの役割だが、彼らはこの番組を続けていこうと「えぐる」という名前まで考えている。第一回は今話題の「CRISPR/Cas9をえぐる」(図1)だ。 山中iPSと同じで、一般報道はCRISPR/Casを臨床応用との関わりでしか扱わないが、この技術の「びっくり道具箱」としての可能性は計り知れない。おそらく提案した学生たちも、一般報道と同じレベルからスタートしているのだろう。コメンテーターとしては彼らにこの大きな可能性を伝えることができればと思っている。生命科学を目指す学生さんには是非見て欲しいと思う。この第一回の放送にふさわしいCRISPR論文がないかと探していたら、カリフォルニア大学サンディエゴ校から最適の論文が4月7日発行予定のCellに掲載された。タイトルは「Programmable RNA tracking in live cells with CRISPR/Cas9(CRISPR/Cas9を用いて生きた細胞の中でRNAの動きの追跡をプログラムする)」だ。 2016-03-19   普通CRISPR/Casシステムの標的は2重鎖DNAで、Cas9が標的に結合するためには標的内のPAMと呼ばれる短いストレッチと、標的DNAに結合するガイドRNAが必要になる。この研究では、PAMの機能を果たすDNAを外部から提供して、ガイドを1本鎖RNAと結合させることで(図2)Cas9をmRNAに結合させられないか検討している。結果は期待通りで、外から標的RNAと相補的に結合するガイドRNAとやはり標的RNAに結合するPAM—DNAを細胞に導入し、蛍光標識したCas9を発現させると、Cas9は標的mRNAと核内で結合し、核から細胞質、そして必要なくなったRNAが処理されるストレス顆粒に移行する様子を追跡できることを示している。詳しい写真などは明日の放送で紹介するが、特定のRNAの動きを映画で取ることができるようになった。   この論文はおそらく始まりにすぎない。同じテクノロジーは、肝炎やインフルエンザなどRNAウイルスの細胞内での胴体の追跡に大きな力を発揮するだろう。要するにCas9を介して、好きな分子を特定のRNAに結合させることが可能になった。このことは、ゲノム編集どころか、CRISPR/Cas9が生きた細胞の中であらゆる形の核酸や核酸に結合する分子の編集を可能にすることを物語っている。この興奮が明日学生さんにも伝わるのか、楽しみだ。

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