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4月28日:夢を見るメカニズム(Nature Neuroscienceオンライン版掲載論文)

2017年4月28日
    今までの知識が全く間違っていることを知って驚くことは珍しくないが、今日紹介するウィスコンシン大学からの論文を読んだ驚きはなかなかないだろう。この論文のタイトル「The neural correlates of dreaming(夢を見ることに関連する神経活動)」が示すように、夢を見ているときの脳活動についての研究で、Nature Neuroscienceに掲載された。
   このブログで何度も書いてきたように、私たちが夢を見るのは、REM睡眠と呼ばれる目を盛んに動かしているときだと思っていた。ところがこの論文を読むと、すでに夢にREM睡眠が条件ではないことが明らかになっていたようで、ノンレム睡眠(NREM睡眠)時に被験者を覚醒させた場合でも、夢を見ていたというレポートは数多く発表されているようだ。
   ではいつ私たちは夢を見るのか?また夢を見ているときを脳イメージングから予測できるか?この問題に挑戦したのがこの研究だ。研究では被験者に高密度の脳波計を着用して寝てもらい、睡眠中急に覚醒させて夢を見ていたかどうか、またどのような夢か覚えているかを聞くと同時に、覚醒前の各部位の脳波を詳しく調べ、夢を見ることと相関する活動を抽出している。
   結果だが、
1) REM睡眠、NREM睡眠と夢は相関しない。ただ、REM睡眠中の方が夢を見ている確率は高い。
2) REM,NREMを問わず1−4Hzのゆっくりした脳波が頭頂後頭葉皮質で見られるときは、まず夢を見ていない。
3) 一方、同じ頭頂後頭葉皮質周辺に20-50Hzの周波数の高い脳波が見られるときはNREM睡眠中でも夢を見ていることが多い。
4) 夢の内容を覚えている場合は、前頭頭頂部側方に高周波の脳波が見られる。
5) 語った夢の内容(例えば人の顔を覚えていること)と高周波の脳波の出現場所を対比すると、覚醒時の経験と同じ場所の興奮が見られること。
が主なものだ。
   特に、2)、3)の頭頂後頭葉の興奮と夢を見ることが強く相関することに着目し、睡眠中脳波を見ながら夢を見ているかどうか予測できるか試してみると、なんと8割以上の確率で夢を見ていたかどうか予測できることを示している。
   以上の結果は、夢を見るためにはまず頭頂後頭葉にある領域が興奮することで、脳に残っている記憶を集め、覚醒時と同じように体験させるメカニズムが作動することを示している。この夢の中枢ともいうべき頭頂後頭葉に存在する楔前部、帯状束、あるいは脳梁膨大後部皮質を覚醒中に刺激すると自分が異世界、あるいは現実から遊離したような気分になるらしく、夢がまず現実から離れることで刺激される可能性を示唆している。
   意識の問題を考える上で、本当に重要なことを教えてくれる論文だった。

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