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11月19日 ERストレスと膵臓β細胞

2013年11月19日

11月18日、自己免疫性の1型糖尿病モデルマウスのβ細胞の消失の一つの原因が、小胞体の中での蛋白質の折りたたみがうまく行かない事で起こるERストレスである事、及び蛋白質の折りたたみを促進するお薬でβ細胞の消失を抑える事が出来る事を報告した。ERストレスとは何かなどは、是非ニコニコ動画などで患者さん達に詳しく解説したいと考えているが、今日はこのERストレスの重要性を示すもう一つの論文を紹介しよう。ニューヨーク州立大学のグループの研究で、11月13日号のDiabetesに掲載された論文で「Beta cell dysfunction due to increased ER stress in a stem cell model of Wolfram Syndrom (Wolfram症候群患者由来の幹細胞由来β細胞は高いERストレスを示す)」と言うタイトルがついている。
  この仕事では、WFS1と呼ばれる遺伝子の突然変異がなぜβ細胞の消失を引き起こし、1型糖尿病の原因になるのかを調べている。この目的で、患者さんの皮膚細胞からiPSを作成し、この幹細胞から膵β細胞を誘導して研究を行っている。即ち、日本のメディアも盛んに紹介している最先端の患者由来iPSの利用だ。この結果、WSF1遺伝子突然変異により、β細胞の様々な活性がおかしくなっているが、この異常の最も根元での原因になっているのが、ERストレスである事が明らかになった。そしてこの異常が、蛋白質折りたたみを促進する薬剤でかなり正常化できる事も示している。このように、自己免疫型1型糖尿病と異なるメカニズム、即ち遺伝子突然変異によるβ細胞の消失も、ERストレスが関わっており、蛋白質折りたたみを促進する事で細胞を正常化できる事を今回の仕事も示した。この研究もまた、iPSがβ細胞移植だけでなく、1型糖尿病の薬剤の開発に役立つ事が明らかになった。iPS本家の日本でも是非オールジャパンで薬剤を開発して欲しい。


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