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1月21日:なぜ植物繊維は身体にいいのか(1月12日号Cell誌掲載論文)

2014年1月21日
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経験的にわかっていても理屈がわからない事は多い。ギリシャ時代から柳の木の鎮痛作用として知られていたアスピリンの作用機序がわかったのは1971年の事で、英国のベイン博士の貢献だ。植物繊維も肥満を防ぎ糖尿病を予防する事が多くの研究で知られており、植物繊維を含む多くの機能性食品も販売されている。今日紹介する論文は、植物繊維の中の水溶性の成分がなぜ肥満や糖尿病の予防に効くのかについて説明したリヨン健康医学研究所からの論文でCell誌に掲載された。「Microbiota-Generated metabolites promote metabolic benefits via gut-brain neural circuits (腸内細菌叢によって造られる代謝物により腸・脳間の神経回路が活性化し代謝的健康が促進する)」がタイトルだ。 この研究で言う植物繊維とは水に解けないセルロースではなく、ガラクトースや果糖が重合した水溶性の糖の事だ。この糖は腸内細菌によりプロピオン酸と酪酸を含む短鎖脂肪酸へと変換される。この研究では、酪酸は直接腸管細胞に作用するが、プロピオン酸は腸内でのブドウ糖生産の原料になると同時に、FFAR3脂肪酸受容体を持つ末しょう神経から脳へ至る神経回路を刺激し、この情報に応じて脳からの指令により、腸内でブドウ糖の生産が誘導される事が示された。このようにブドウ糖が腸内で食後時間が経ってから体内に放出される事で、血糖やインシュリンの変動は小さな範囲でおさまり、肝臓でのグリコーゲン分解によるブドウ等生産や、食欲を抑えられるなど体全体の代謝を改善すると言う結果だ。もちろんこれだけで全て説明できているとは主はないが、なるほどと納得の研究だ。以前肥満と腸内細菌との関係の論文を紹介したが、いわゆる健康な食事を行う事の理屈がますます明らかにされてくる。同時に、理屈はわからなくとも人間の経験と知恵はなかなかのものだということが最新の研究からわかって来たことも強調したい。

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