乳酸菌と並んでビフィズス菌はプロバイオの2本柱だが、実際にはゲノムがわかっているだけでも100種類以上存在する。また遺伝子の一部を使うゲノム検出方法では、InfantisとLongum が一つに扱われ、ビフィズス菌と我々の身体の相互作用を調べるにはあまりにもデータが乏しい。
今日紹介する英国サンガー研究所からの論文は、世界6大陸48カ国からビフィズス菌を集め、これまで明らかになっているゲノムと会わせて、4098種類のゲノムを解読し、それぞれのビフィズス菌系統の分布やホストとの関係を調べた研究で、2月19日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Genomic atlas of Bifidobacterium infantis and B. longum informs infant probiotic design(Bifidobacterium infantisとlongumのゲノムアトラスは新しいプロバイオのデザインを教えてくれる)」だ。
ビフィズス菌の4098種類のゲノムを再構成したことがまず素晴らしい。ビフィズス菌は我々の生活と直結している細菌なので、集められた情報の価値は計り知れない。論文ではこの素晴らしい価値についてわかるようデータが示されていく。特に、南アジアやアフリカのビフィズス菌はこの研究で解読されるまで全くゲノムがわかっていなかった。
菌自体としてはまず infantis が生まれ、そこから longum が派生し、それぞれ独自に種分化を進めている。この過程で longum は特に多様化を進め、現在3種類の亜種に分化している。それぞれをinfantis(BI)、longum の亜種を longum longum(BL)、longum suis(BS)、longum X(BX) と分けて調べている。
生息域で見ると、BIとBS、BXはほとんどが幼児の腸に棲息する一方、BLは幼児の腸にも存在するがほとんどは大人の腸に見られる。生息域から見るとBIからBS、BXと徐々に大人の腸にも移行するように出来ている。特にBSは人間以外の環境や動物から分離されたビフィズス菌を含んでいる。
面白いのは、BIは最も古いビフィズス菌だが、アフリカやアジアの子供に多い。一方、BLとBXは圧倒的に高所得国で見られる。面白いのは高所得国の中でも英国だけが比較的多様性を保っていることで、生活スタイルの多様性が維持されているのか面白いところだ。いずれにせよ、ビフィズス菌に関してはどれかの亜種に収束していくことで、ジンバブエやバングラデシュのような例外を除くと、異なる亜種が共存することは難しい。
この年齢及び地域での生息の違いの原因を遺伝子発現から探ると、例えばBIはいくつかのビタミンBや尿酸を利用する代謝経路が発達している一方、大人に多いBLは粘液やグリカンを利用する代謝系を持っている。即ち、BIは母乳が含む栄養分と密接に関わる一方、BLは植物成分を利用するための代謝経路と密接に関わる。そして、この中に地域で食されている植物に会わせて進化してきた菌株が存在する。
ビフィズス菌はプロバイオとしての歴史が古いが、現在利用されているビフィズス菌を他のビフィズス菌と比較すると、確かに様々な代謝経路を備えているが、生存という点では比較的ヨーロッパやアメリカのビフィズス菌に近い。即ち、アフリカや南アジアの細菌叢とフィットしているとは言いがたい。
最後にこれらの複雑性を比較的簡単に調べるためのPCRプライマーも作成し、今後ビフィズス菌を世界規模で調べ直すことこそ新しいプロバイオを開くと結論している。大体わかっていることだが、ここまで精密に調べることが重要だと思う。

BIは最も古いビフィズス菌だが、アフリカやアジアの子供に多い。
BLとBXは圧倒的に高所得国で見られる。面白いのは高所得国の中でも英国だけが比較的多様性を保っている.
生活スタイルの多様性が維持されている
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生活スタイルを反映するビフィズス菌