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8月25日 頭蓋骨髄内のリンパ組織(8月19日 Nature オンライン掲載論文)

2026年8月25日
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頭蓋骨骨髄から脳へつながる血管についての論文が発表されたのが2018年(https://aasj.jp/news/watch/8894) だが、8年たった今年には頭蓋に直接ナノ粒子に詰めた薬剤を注射して脳に運ばせるという驚くべき研究まで進んでいる(https://aasj.jp/news/watch/28166)。 即ち、頭蓋骨髄と脳との関係には我々のまだまだ知らない秘密があることを示唆している。

今日紹介するワシントン大学からの論文は、頭蓋骨髄の中には脳由来抗原をサーベーランススルリンパ組織まで存在することを示した研究で、8月19日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Functional role of skull lymphoid structures in CNS immunosurveillance(頭蓋リンパ組織の脳の免疫監視機能)」だ。

何か特別な現象がきっかけになったというより、脳との直接血管ルートがあり、頭蓋骨髄で作られた血液細胞が直接脳に到達しているとしたら、頭蓋内に抗原反応を調節するリンパ組織が形成しているはずだという、まあ当然の成り行きとして研究が始まっている。最初から、リンパ組織に存在するようなリンパ球が頭蓋組織にないか単一細胞レベルの探索を行い、その結果 Tfh と呼ばれる、リンパ濾胞に存在するT細胞の存在を発見している。他の骨髄組織を調べると、Tfh の下図は半分以下で、組織学的にもクラスターを形成しており、リンパ組織が形成されているように見える。

一方、B細胞も、いくつかの活性化マーカーを発現した集団が頭蓋骨髄だけで見られ、IgG を分泌するプラズマブラスト細胞も存在している。さらに、Tfh や B細胞は同じクラスターに集まっており、T と B細胞が直接接して存在する像も、頭蓋骨髄のみで見られることから、他の骨髄とは異なり、頭蓋骨髄ではリンパ組織が形成されていると言って良い。

最後にこのリンパ組織が機能的かどうかを調べるため、卵白アルブミン (OVA) をモデル抗原として脳に発現させ、これに対する反応が頭蓋で起こっているかを調べ、抗原が頭蓋へ移行していること、OVA反応性細胞の T、B細胞が誘導されていることを明らかにしている。

今度は同じようにOVAを発現するグリオーマ細胞を脳に移植し、これに対する抗腫瘍免疫反応を調べている。まず、CD40抗体を頭蓋内に注射して、局所的に抗体反応を抑えると、ガンの増殖が促進する。即ち、グリオーマについてはガン特異的抗体反応も重要な働きをしており、これはもっぱら頭蓋で合成される。逆に、CD40を刺激する抗体とともに IL21とインターフェロンγを投与することで、グリオーマの増殖を一定程度抑えることができる。また、この処理でNK細胞が増え、D8やCD4T細胞も強くはないが上昇する。しかも、CD8細胞のキラー分子の発現は大きく増強される。このような抗ガン作用は、全身に同じ処理をしても得られない。ただ全身のリンパ組織がなくても、頭蓋だけで反応が維持できることも示しており、極めて局所の反応と言える。気になるのは、全身のリンパ組織のないマウスとして、lymphotoxinノックアウトマウスを使っており、これで頭蓋の反応が起こるのは、LTαとは全く異なるメカニズムでリンパ組織を頭蓋では形成できることになる。

以上が結果で、特に驚きはないが、脳と骨髄の関係の研究はますます拡大する気がする。

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