AASJでは患者さん達と一緒に実際の論文を読もうと言う企画をすすめてきました。しかし、小保方さんの論文の反響があまりに大きいので、ニコニコ動画でこの論文を隅から隅まで徹底解説する事にしました。幸い、実際の取材にあたっている毎日新聞の須田記者(科学環境部)も参加いただけるので、須田さんのアドバイスを受けながら、出来るだけわかりやすく解説します。また、もしこの点だけは聞きたいと言う質問があれば、前もってメールを送っていただけば出来るだけ対応します。では2月23日日曜日、是非AASJチャンネルをご覧下さい。
こんばんわ、一つ質問があるのですがよろしいでしょうか?
STAP細胞の追試が世界中で行われていますが、今現在で成功した例はあるのでしょうか?
論文になるまでわかりません。
3点質問させてください。
・現状、PrE、Extra-embryonic endodermに寄与した個体はあるけれども、Trophectodermに寄与したキメラ個体は提示されておらず、論文でも「胎盤に寄与した」と書かれるに留まります。STAPが「受精卵近くまで巻き戻せるか?」は勿論追試待ちですが、可能性は高いと考えられますか? 経緯が全く異なるので、あまり関連付けなくても良いような気もするのですが…
・「脱分化」とSTAPの語句の使い分けはどのようにすればよいでしょうか?
・「幹細胞」は別の概念ですが、報告されている「体性幹細胞」にSTAPが関与することも考えられますか?
ここまで理解されていると安心です。この質問は、全部23日ニコ動で答えたいと思います。見て下さい。
有機化学の研究者です。生物学は専門外。
貼り付けられた電気泳動図(12968 fig1-i lane 3)で、GL (germline)のバンドが欠落していることを問題にしている人がいますが、それについてはどう思われますか?
マウスの胎児の細胞には幹細胞が高い割合で含まれており、酸浴で生き残った幹細胞を培養しただけだ、という指摘があります。それはあり得るのでしょうか?
iPS細胞では山中4因子(6因子)の導入が鍵技術ですが、STAP細胞では酸浴でその発現を促しているように見えます。Oct4以外の遺伝子の発現はSTAPでは確認されているのですか?なぜOct4が重要なのでしょう?
下世話な興味で恐縮ですが、毎日新聞では11jigen氏の正体を把握しているのでしょうか?
バンドの話は今回の論文ではないので当事者から聞くしかないでしょう。ただ、同じゲルスロットを使えば形が一緒になる事はあります。
他の問題は当日取り上げて議論します。
「今回の論文ではない」という意味がちょっとわかりません。
それから、「RNAseqとChiPseqのデータの未登録問題」についてもお願いします。
是非ニコニコ動画を見て下さい。
わかりました。楽しみにしています。
ただ、2時間見続けるのはちょっとしんどいので、後日まとめを作っていただけると嬉しいです。
データは登録されたようですね。
nature論文と博士論文は内容がほぼ同一に見えます。これが当時なぜ無視されたのかについてもお願いします。
博士論文を送って下さい。
理研のプレスリリースで、STAP細胞は様々な細胞から作製できると発表されていて、
論文でもArticleのFigure3にそのデータがあります。
しかし、そこで使われている細胞がどのように調整された細胞なのか、論文中には全く書かれていません。
Oct4-GFPのカセットを持った細胞なので、自分で細胞を調整するしかないと思いますが、
1週齢の新生児のBrain、Lung、Muscle、Liverなどから、ディッシュ上で培養可能な細胞を採ってくることは可能なのでしょうか?
(1週齢かどうかも明記はされていませんが)
細胞を採ってきて実験をしているのに、組織名を書いているのも不思議です。
例えば、hepatocyteを採ってきているのなら、Liverではなくてhepatocyteと表記すべきだと思います。
もし組織を適当にバラバラにしているだけなら、血液細胞がかなり混ざってくると思います。
酸性処理する前に細胞数を数えているので、生きた細胞をバラバラにして採ってこないと実験が成り立ちません。
Fig3bはAdipose-derived mesenchymal cellsをSTAP化した図のようですが、明視野の写真でSTAP化されていない細胞を見ると、
線維芽細胞の形態をしているようには見えません。
少なくても酸処理をしていないコントロールの方は、線維芽細胞の形態をしていないとおかしいと思うのですが。
Fig3fのCardiomyocyteも同様です。
Figure3の実験は再現性を抜きにしても、この実験自体を行うことは可能なのでしょうか?
TCR遺伝子再構成の問題です。ずっと気にかかっています。Fig.1iとExFig2gのデータではday7のSTAP細胞にT細胞由来の細胞が含まれていることはわかりますが、STAP幹細胞やキメラマウスの遺伝子のデータはありません。STAP幹細胞やキメラマウスがコンタミした組織幹細胞でなく”分化したT細胞”由来であることを完璧に証明するために、ぜひこれらのTCRのPCRのデータが欲しいところです。もちろん理研の先生方がこのことの重要性を理解されていないとは考えにくいのですが。当然なので出していない?ぜひ解説お願いします!
これは私が解説できる事ではありません。論文のレフリーが要求しないとそれで通ります。
可能でしたら論文の図からTリンパ球からマウスができたと結論づけられるのか、ぜひ先生のお考えを伺えたらと思います。私の知識ではどうにもこれだけで分化した体細胞(T細胞)がリセットされてマウス個体にまでなった、と結論できないような気がしてならないのです。ただ私の見落としかもしれません。その場合は失礼ご容赦ください。
キメラマウスから採取した細胞でTcRの再構成を調べた図はないと思います。多分やれば再構成バンドが見えると思いますが、データがない以上T細胞からか、他の血液細胞からかはわかりません。ただGFP発現から、STAP由来である事はわかりますが、血液のうちどの細胞からで来たのかは結論できません。多分重要でないと思ってやっていないのだと思います。
Nature article の Figure 1の fに関して質問させて下さい。
この図で、2つの細胞がSTAP化に伴い細胞サイズが減少し、最終的にOct-4GFPが陽性となることが示されています。
この2つの細胞以外の周囲の細胞は d0, d1, d2, d3 と4つのパネルでその数や位置が変動し、培養液中で細胞が浮遊し時間経過に伴い視野状の細胞が動いていることを伺わせます。しかしながらOct-4GFPが陽性となる2つの細胞は、d0, d1, d2, d3とその位置を全く変動せず、あたかも接着剤でシャーレに張られたかのように2つの位置関係を保っています。
STAP化に伴い、細胞の接着能が変化し dish に張り付きやすくなるのでしょうか?STAP化でサイズが小さく丸くなるので逆に細胞の接着能が弱くなると思いますので気になりました。
また d3 の写真でOct-4GFP陽性の2つの細胞の周囲に同程度の大きさの細胞が6個ぐらいと多数ありますが、これらはサイズだけは減少しOct-4GFP 陽性にはならなかった細胞群と理解してよいのでしょうか?
あまり細部にこだわらないで説明します。
もう一つ質問させてください。
増殖能がない STEP細胞を、とある栄養因子を含む環境におくと増殖能がある STEP幹細胞に変化すると記載されています。
細胞分裂が終了した神経細胞や筋細胞も STEP化させれば盛んに増殖する幹細胞に変化させられるのでしょうか?
神経細胞や筋細胞から多分化能と増殖能を持つSTEP幹細胞を作製できることを考えると、神経細胞や筋細胞に山中ファクターを導入すれば幹細胞を作製できると思うのですが先生はどのようにお考えでしょうか?
私に評価できるのは論文のデータだけです。あと、最初の質問の方ですが、NatureにアクセスできるとSTAP化のビデオが見られます。当日はそれも見てもらいます。
STAP細胞の作成過程で、細胞はほとんど増殖していないにも関わらずかなり大きなクラスターを形成していることの合理的な説明が論文に欠けているように思いますが、どのようにお考えでしょうか。
海外在住で生放送は深夜になってしまいますので、後からも見れると嬉しいです。
現象と説明は別です。ほとんどの現象について合理的な説明はまだありません。
広島大名誉教授の難波紘二さんを始め、既に多数の人が捏造を疑っているようです。このタイミングで信憑性の疑われる情報を生放送をしてだいじょうぶなのでしょうか。
公共放送ではありません。自由がニコニコ動画の素晴らしい所です。
はっきり言って捏造を疑っています。
このデータがあるからこの論文は正しいと言えるとうボトルネック的な証拠は論文内のどの部分になるのでしょうか。
それとも、全体的になんとなくただしいっぽいねというお話なんでしょうか?
常識論として、fig1-i lane 3のような画像加工が明らかな画像を論文内に用いるのは許容されるのでしょうか?
捏造かどうかは当事者が示す事です。再現性については議論できます。私は捏造とは起こるとわかった事について人より早く結果を出そうとする時に起こると思っています。誰も考えなかった事(例えば死人がよみがえった)を捏造しても、最後は誰も追試できないと消えて行くでしょう。これが科学の浄化作用です。
小保方さんの論文のグラフについて、質問です。
Nature ProtocolsのFig. 5ab、B cellsとneutrophilsの数の経時変化がほぼぴたりと一致しているんですが、こんなに偶然一致するものなのでしょうか。エラーバーの大きさが違うにもかかわらず、です。
似通ってると思うグラフは、Fig.5aのNumber of B cellsとFig.5bのNumber of neutrophilsです。
http://www.nature.com/nprot/journal/v6/n7/fig_tab/nprot.2011.356_F5.html
素人なので、専門家の方のご意見を聞きたいです。
嘘みたいにうまく結果が出る事もあります。一つ一つのデータではなく、発見全体について議論します。データが雑でも、面白い現象は科学者の期待を生みます。後は追試されなければ消えます。
私が指摘しているのは「結果がうまく出る出ない」の問題ではありません。全く独立した別々の条件で行っている2つの実験結果の数値が、ぴたりと一致していることが偶然仁尾よって起こりうるかを質問しております。
7点での数値がぴたりと一致するのはきわめて稀で、ジャンボ宝くじの一等賞が当たるよりも低いと考えられます。
改めてお尋ねしますが、この事象についていかがお考えでしょうか。
私がレフリーになったとして、一つ一つのデータの真偽を考え始めたら論文の審査は出来ません。私はこれまでデータを疑わずに審査してきました。データの真偽は別問題です。
では、西川さんがcorresponding authorで著者として入っている論文にこのようなデータが入っている場合でも、データを疑わずに投稿すると考えてよろしいでしょうか。
名前だけが載るばあいはデータに責任を持っていないと考えてもらっていいと思います。実際外国の人の仕事の共著者になる場合はレフリー的な感覚で読みます。コレスポンデンスと言うのは責任があると言う事です。当然その場合は論文にする前に疑って検討します。そのためにノートがあります。それでも多分わからない事はあると思います。それでも当然コレスポンデンスである時には論文に対して責任があります。いずれにせよ、データの一つ一つではなく、論文を浴読んでから話をするために明日があります。
それでは、改めてお伺いしますが、西川さんが上のNat. Protocol.の論文のcorresponding authorとして、投稿前に当該のデータを見たら生データを参照すべき怪しいものだと思われますでしょうか。
一つのデータだけで議論する事がないのでわかりません。
了解しました。有り難うございます。
STAP細胞作成に必要なコツを教えて下さい。