一般の人むけに、今日から気になるの治験研究を探して別枠で紹介することにした。第一回目は、自動車を運転するとき音楽をかけた方がいいか実際に調べた結果を報告したブラジルの研究で、Complementary Therapies in Medicine: vol 46 p158に掲載されている。
研究ではたった5人だが、ラッシュアワー時でイライラする時間に、同じコースを同じ車で運転してもらう。さらに運転席に座った後10分間気持ちをしずめてゆっくり呼吸をしてもらい20分同じコースを運転してもらう。この20分の間、音楽を聞いたときと、聞かなかった状態で、連続的に心拍数の変動を調べている。それぞれの被験者は音楽あり、音楽なしで1回づつ同じコースを運転するが、いつどの順番でテストするかは無作為化してテストしている。
結果だが、心拍数の平均で見ると音楽を聞いていても、聞いていなくてもそれほど変わらない。しかし、フラクタル次元解析と呼ばれる方法で時間・時間の変化を解析すると、やはり音楽を聴いた方が心臓にはいいという計算結果だ。
はっきりいって、単純な方法で見られなかった差も、複雑な解析方法で見れば差が出てくるという結果だが、なににせよ5人だし、音楽の種類や民族性で結果も異なることは間違い無いので、信じるかどうかは皆さんにお任せする。
このような変わり種の治験は問題も多いが、しかし何事も思いつきで決めないで、統計学的に調べてみようという考えは重要だ。その意味で、ドライブ中に音楽を聴く方がいいかどうかすら治験対象になる。ただ、統計学だからそのまま信用できるかどうかについての個人的感想は、今後積極的に述べていく。
変わり種治験レポ
世界中の医療関係者が、何を考えているのかも見えてきそうです。