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電子タバコによる肺損傷の原因がビタミンEアセテートに絞られてきた。

2020年1月5日

Nature Medicineが昨年の医学トピックスとして真っ先に挙げたのが、電子タバコによる肺の損傷が英国や米国で報告されたことだ(図下)。

米国ではなんと2400人の患者さんが病院に緊急入院し、そのうち半数が集中治療室での治療が必要で、すでに52人が死亡し、大変な問題になった。

この原因が電子タバコによることは聞き取り調査などからわかっていたが、最終的な原因物質については特定に至っていなかった。

これに対し米国CDCが全力をあげて調査した結果が1月3日号のThe New England Journal of Medicineに発表された。

研究では患者さんの肺の洗浄液を集め、電子タバコに含まれており、しかも肺損傷を起こした患者さんだけに存在している化合物を探索し、51例中48人でビタミンEアセテートが含まれていることが明らかになった。

聞き取り調査などから、このビタミンEアセテートはテトラヒドロカンナビノールと呼ばれる大麻成分を溶かすために使われており、8割の人がこの大麻成分を蒸気化して吸っていたことを告白している(Wikipediaに典型的製品が公表されている)。

以上のことから今回の肺損傷の原因は、電子タバコというより、大麻成分を溶かしていたビタミンEアセテートが限りなく黒に近く、ビタミンEアセテートが含まれない電子タバコは他の害はともかく、肺障害については問題ないと結論されたと思う。いずれにせよ、ビタミンEアセテートが含まれているかどうか、各社早急に声明を出したほうがいいと思う。

ビタミンEアセテートはもちろんサプリメントとしても使用され、皮膚のクリームにも使われている。なのにどうして肺でこのような激烈な症状が出るのか不思議だ。現在のところ、長い脂肪鎖を持っており、これが肺を膨らませるのに必要なサーファクタントに潜り込んで機能を障害するのではと考えられている。

他にも、蒸気化するための高温に晒されて、肺障害性の化学物質に変化する可能性も示唆される。

いずれにせよ、ここまでくればあとは動物実験ではっきりと真偽が確かめられるだろう。論文が発表され次第報告する。


  1. okazaki yoshihisa より:

    ビタミンEアセテート:
    こんな大変なことを引き起こしていたとは。
    今後の展開に注目。

  2. 橋爪良信 より:

    吸収性、安定性を上げるための化学修飾と目的の作用が相反するものになるという。。。ただ、体内で加水分解を受けて活性体が生じても良いのではないかとも思います。代謝を受けにくい部位に集積されてしまっているのでしょうか。この辺り今後の情報を待ちたいと思います。

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