考えてみると、私たちの子供時代は「食べること=善」で、裕福な家庭は別にして、おそらく不健康な食というと、好き嫌いなどの、食べないことだったと思う。しかし現在、子供の周りの食環境は大きく変わって、食べることによる肥満などの様々な問題が発生し、「健康な食」を自分で選ぶことの重要性が認識されている。
この問題を学校教育として解決できないか調べた治験研究がJ.Nutr Educ Behav 11月号に掲載されたので紹介する。
この治験では、子供に公共テレビとして制作された、健康な食を用意するクッキング番組を学校で見ることが、その後の子供の食べ物の選択に好影響を及ぼすかを調べている。
実際には、異なる5カ所の小学校の中から8クラス、10〜12歳の学童を選んでいる。この8クラスを無作為的に、健康な食を用意するクッキング番組を見せるクラスと、食とは関係のないクイズ番組を見せるクラスに分け、それぞれの番組を見た後4種類の食べ物のうちどれを選ぶか調べている。結果は期待通りで、健康な食に関するビデオ番組見たクラスの子どもが健康な食を選ぶ確率がずっと高まる。
おそらく、一人でビデオを見て学習するより、仲間と一緒に正しい食について習うことの方が影響が大きいのだろう。教育の場の重要性を示す、子供の感受性をよく理解した面白い治験研究だと思う。