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1月25日:学習の「後」のコーヒーは記憶の固定に効果がある。(Nature neuroscienceオンライン版掲載)

2014年1月25日
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コーヒーは世界中で楽しまれる最もポピュラーな嗜好品だ。このため、カフェインが記憶にいいか悪いか古くから議論されて来た。今日紹介する論文はこのカフェインの記憶に対する効果を、ボランティアーを集めて調べている。研究は薬剤の効果を調べる臨床研究と全く同じで、集めた被験者を無作為化し、カフェインと偽薬を与える無作為化2重盲検試験を行っている。Nature Neuroscience誌オンライン版に先週掲載された。ボルチモアにあるJohn Hopkins大学の仕事で「Post-study caffeine administration enhances memory consolidation in human(勉強後のカフェイン投与は人間の記憶の固定化を促進する)」というタイトルがついている。この研究では、被検者に、家の内外にある物の絵を見せながら内か外かのどちらかを判断させ、見た物を記憶させる。その後カフェインか偽薬を投与して自宅に帰らせる。次の日今度は1日目何を見たのかを判断する課題を行う。この課題では、最初に見せなかった絵や紛らわしい絵も混じっており、記憶の確かさをテストする。24時間後に施行するこのテストの結果は、記憶が固定されたかどうかに関わっている。答えは、カフェインを投与したグループは検査の成績が良いと言う結果で、記憶学習後カフェインは記憶の固定を促進する効果があると結論している。不思議な事に、この研究以前は、カフェインを記憶学習より前に投与する実験しか行われていなかったそうだ。この研究でも学習前にカフェインを投与する実験も行っており、促進効果は見られなかったと結論している。学習した後でのカフェインが記憶促進に役立つなら、コーヒー愛好家にとっては朗報だ。ただ水をさすようで申し訳ないが、幾つか問題もある。先ずコーヒー一杯に含まれるカフェインは大体100mgぐらいだが、この量では効果がない。すぐに2杯は飲まなければならない。もう一つは、「統計的な優位差」が実際に日常の記憶の差に反映されているのかはわからない事だ。いずれにせよ、学習の後に飲むのが大事なようだ。

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