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8月6日朝日:記憶、脳か役割分担

2013年8月8日
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朝日新聞は元の記事のペーストを許していません。必要な方は以下のURL参照。 http://www.asahi.com/tech_science/articles/TKY201308040081.html

この分野は私も素人で、この論文の多くの細部を理解していない(多分理解できるだろうが時間がかかる)。ただ、脳の中で神経細胞のサーキットの活動を計測していること、そして特定の画像が組み合わさったとき、組み合わさったことに反応して画像を総合できる能力について調べた研究であることはわかる。これまで画像の研究が個別のニューロンの反応として記録されてきたことを考えると(例えば三角に反応するニューロンなど)、サーキットとして記録できるところまで研究が進んでいるのは驚きだ。その上で、個々の画像を表象するサーキットが形成され、それが時間をかけて異なる領域でのサーキットとして成立することで、統合イメージを作り上げるという。これこそ認知科学の核心だという結果だ。また、宮下さんも意識しているように、新しい画像処理のロジックになるかもしれない。実際、今のPCで画像同士を比べる事は出来ても、論理的に分析することが困難であることを考えると、期待できる。   さて記事であるが、朝日は記名記事と、無記名記事があるようだがその基準はどこにあるのか疑問に思う。これは無記名記事で、そのためかあまりまじめに書かれていない。多分記者が宮下さんの話に何とかついて行ってまとめたのだろう。もちろんすばらしい仕事だから報道してあげてほしいと思う。しかし、仲立ちをする以上、やはりある程度の理解が出来る事が最低限ではないだろうか。「宮下さんのグループが、猿を使って、記憶の場所を探して、幾つかに分かれていることがわかった。多分コンピューターの設計に役に立つ」以上のことが全く書かれていない記事をのせるとは、記者の見識が問われる。この話は、今日報道する必要はない。時間をかけて理解をした後報道すべきだろう。   前にも述べたが、脳研究で問われる問いは一般の人ももっともと共有できる内容が多い。一方いったん実験になると、専門家以外はほとんどわからないというレベルにまで来てしまう。このような状況を考えると、科学報道記者も合宿ぐらいして、準備をするぐらいの気構えがほしい。

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