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4月1日:抗がん剤のさじ加減(Natureオンライン版記事)

2014年4月1日
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昨日は抗がん剤耐性の乳がんについての研究を紹介し、標的は同じでも異なる薬剤を使うと耐性を克服できる可能性があると期待を述べた。今日は同じ薬でも使い方で耐性を克服できるかもしれないと言う可能性を示す論文を紹介する。オランダがん研究所の研究で、論文はNatureオンライン版に掲載されている。「Reversible and adaptive resistance to BRAF(V600E) inhibition in melanoma(BRAF経路を抑制した時の悪性黒色種の耐性は可逆的で適応的だ)」がタイトルだ。研究はわかりやすい。このページでこれまで何回か紹介して来たように、悪性黒色腫の約半分がBRAF遺伝子の特定の突然変異が原因で発生する。従ってBRAFやそのシグナル経路に対する薬剤がよく効く。しかし薬剤を続けていると他のシグナル経路が活性化され薬剤が効かなくなる。悪性黒色種の場合細胞表面にEGFRやPDGFRなどの増殖因子受容体が出てくる場合が耐性獲得の最も多い原因である事が知られている。なぜ抗がん剤治療でこのような別のシグナル経路が現れてくるのかを明らかにするのがこの研究の目的だ。この反応に働く遺伝子をしらみつぶしにあたり、遺伝子の発現を誘導するSox10分子が抗がん剤治療により活性化され、これがもう一つのTGF-βシグナル経路を介して薬剤耐性の原因となる増殖因子受容体の出現を促している事を突き止めた。ただこのEGFR分子の発現は新しい遺伝的変化が起こる結果ではなく、がん細胞の薬剤に対する反応で、薬剤を中止するとEGFR やSox10の発現はがんから消えると言う事が明らかになった事が重要だ。この結果に基づきこのグループは、がんの標的治療を少し休む「休日」をもうければがんの薬剤耐性を克服して同じ薬をより長く使えるのではと提案している。がん治療にさじ加減大事だと教えてくれる面白い研究だ。

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