4月18日ダイエットの心理学(The Journal of Consumer Research オンライン版掲載論文)
2014年4月18日
コンビニで弁当を買う時私はカロリーを気にする。ただ、小さなカロリー表示がどこに書いてあるかを探しだすには時間がかかる。次にカロリーを優先するか、食品の内容を優先するか考えながら、忙しく棚の弁当を物色し最終決定に至る。しかしよく考えてみると、時間がなく急いでいるときなど最後に何を決め手にしているのか結局良くわからない。今日紹介する論文はレストランのメニューを選ぶと言うセッティングを選んでこんな心理を分析した研究だ。私が普通は読む事のない経済関係の雑誌The Journal of Consumer Research オンライン版(8月に出るらしい)に掲載された論文で、「How and when grouping low-calorie options reduces the benefits of providing dish specific calorie information (食品毎のカロリー情報の便宜がメニューをグループ化する事でどのように損なわれるか)」がタイトルだ。経済関係の論文はほとんど読む事がないが、仮説を最初から提示するなど書き様がずいぶん違う。正直少しだらだらしすぎていて読みにくい。医学や生物学とはずいぶん文化が違うなと言う印象を持った。ただ研究は明快だ。大きなファミリーレストランの仮想メニューを3種類用意する。一つはカロリー表示のないメニュー、もう一つはそこにカロリー表示を加えたメニュー、そして最後に例えば700Kcal以下の特別低カロリー食品だけを別に提示したメニューだ。軽めのランチをとると言う想定で被験者にそれぞれのメニューを見て昼食を選ばせ、選んだ食品のカロリーを計算する。結果が面白い。全ての食品にカロリーが書いてあると確かに選んだ昼食の総カロリーは低くなる。ところが低カロリー食品だけ特に選んでメニューの端に提示しているメニューを示されると、何故かカロリー表示のないメニューで選んだのと同じカロリーの昼食になる。色々仮説を検討して、最後に選ぶのに時間をかける場合とかけない場合にわけて選ばせると、時間をかける事でどちらのメニューを使っても同じようにカロリーの低い昼食を選ぶようになる。要するに、低カロリーメニューだけを別に表示すると、低カロリーへの選択に悪い影響があるが、この効果はゆっくり時間をかけて選べば消えると言う結果だ。使われたメニューを見てみると、特に低カロリー食グループとして示されているのはほとんどチキンかターキーで、普通のアメリカ人には選ばれない様な食品が示されている。その結果、カロリー問題を忘れて好きなハンバーガーが1200でも1000でもどうでも良くなり、結局好き嫌いだけに任せて選んでしまう。しかし、時間を与えるとカロリー問題を思い出し、冷静な選択ができる。納得の結果だ。この研究から得られる教訓は、「食べ物を選ぶときは時間を惜しむな」だ。私も急がずコンビニの棚をゆっくり物色する事にする。