睡眠中に目だけがキョロキョロ動くRapid eye movement sleep(REM睡眠)は、発見の当初から夢を見ていることと関係があるのではないかと考えられ、REM睡眠中に覚醒させると見ていた夢を語れるチャンスが高いという発見につながった。ただ、注意深く実験を行えばREMと夢とは関係がないという結果も発表され、議論が続いていた。
今日紹介するカリフォルニア大学サンフランシスコ校からの論文は、REMが少なくとも覚醒時の行動を反映しているという仮説を、REMから行動をデコードできるかという野心的な課題に置き換え、覚醒中の頭の動きをREMが反映していることを示した研究で、8月27日号 Science に掲載された。タイトルは「A cognitive process occurring during sleep is revealed by rapid eye movements(睡眠中の認知過程はrapid eye movementに表象されている)」だ。
少し大げさに言うと、このような研究は脳や身体の研究から夢は再現できるかという試みの一つだ。これまで、脳自体の興奮を夢と関連付ける研究は行われてきているが、REMからどこまで夢をデコードできるかという研究はめずらしい。
この研究では、覚醒時のマウスの頭の動きと目の動きを詳細に記録し、さらに頭の動きを視床のADN核の神経の興奮と相関させることで、頭が動かない睡眠状態でも、目の動きからAND核の活動、そしてその背景にある頭の動きを推定できるかについて実験している。
もう少しわかりやすく言うと、右に首を向けたとき、当然それに合わせて目も動き、強い運動ではサッカードと呼ばれる振り子運動を起こす。この時、ADNの神経活動は首の動きと相関する。寝ているときは、首は動かないが、夢で首を動かすと、ADNが同じパターンで興奮すると考えられるが、そのときそれに会わせた目の動きが観察できるはずで、これが正しければ、目の動きを追えば、夢の中での首の動きが追えるというわけだ。
結果は予想通りで、睡眠中も左右の目は協調して動き、目が大きく動くと、それに相関して頭の動きに対応するADNの興奮パターンが観察できることから、頭を動かす夢を見たとき、目もそれに合わせて動いていることを示している。
面白いのは、夢の場合、外界からの刺激がないので、大きく動いた目でサッカードは観察されず、400msの間に中央に戻る。
結果は以上で、脳の活動に合わせて、目が動くことからREMの少なくとも一部は夢での行動を反映していることを示している。
現在、脳内電極を設置した患者さんで夢の研究が行われているようになっており、一度ジャーナルクラブでまとめてみたいと思っている。
脳の活動に合わせて、目が動くことからREMの少なくとも一部は夢での行動を反映している。
Imp:
夢をデコードする。
夢とは、意識が無意識にアクセスする一手法なのでしょうか?
予知夢現象など不思議もあります。
9月のジャーナルクラブは“夢”ですかね!
フロイト・ユングの“夢分析”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A2%E5%88%86%E6%9E%90
夢でまとめましょう。