今、街を歩くと、子供から老人までスマートフォンが広く普及していることを実感する。もちろん使い方に差はあると思うが、ハードレベルではもはやデジタルギャップは解消している様に思う。それだけ我々はスマートフォンからくる情報に依存していることになる。実際、仕事だけでなく毎日の生活で、自分が何回検索をかけているか考えてみると、これが今の自分を作っているのだと思い知る。
そして検索を考えると、便利さで完全にgoogle 支配を受けている。たとえば、バードウォッチングで撮影した鳥の名前はすぐにgoogle で検索できる。また外国の美術館に行っても、原語の説明に困ることはない。google カメラで説明を撮影して、それを翻訳機能で再生(私の場合は補聴器に送って)しながら、展示品を見ることで、展示品に集中できる。仕事から趣味まで、まさに自分がgoogle manになっているのがわかる。
程度は異なっても、世界中の人間が同じ便利さを共有しているとすると、googleの検索アルゴリズム、すなわちどのURLを優先的に提示するかを決めるアルゴリズムが、人間の判断に大きな影響を与える心配がある。
今日紹介するスタンフォード大学のインターネット観測所(こんな施設があることを知って大学の見識に驚く)からの論文は、2018年トランプ政権での中間選挙、そして2020年の大統領選挙の機会を利用して、検索アルゴリズムが検索している人間の好みに偏っていないか調べた研究で、5月24日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Users choose to engage with more partisan news than they are exposed to on Google Search(Google検索での党派的なニュースの偏りは検索エンジンの偏りではなくユーザーの選択の問題)」だ。
トランプ前大統領が絡んだ選挙は、米国が2分され、党派性が前面に出た選挙として有名だが、2018年中間選挙と、2020年大統領選挙時に、参加者の政治的な立場を7段階(熱狂的共和or民主、普通の共和or民主、共和寄りor民主寄り、中立)に自己申告で表明してもらい、また選挙中のgoogle検索について、政治に関する検索のみ分析させてもらっている。
どのURLが最初に提示され、どのURLを閲覧したかなど詳しく調べる必要があるため、規模としては300人規模の調査になっている。この研究の特徴は、表示されたURLに政治的偏りがないかを検討したことで、好みに合わせて検索結果を変える場合は、調査前の検索行動から、最初から好みに合わせた結果になる可能性がある。
結果だが、
- 最初の検索で提示されるURLに関して、google検索では偏りはなく、熱狂的共和or民主ともに同じ様な検索結果が提示される。すなわち、個人の好みが増幅される様には設計されていない。
- ところが、どのURLを閲覧したかを見ると、それぞれの政治的立場に合わせた選択が行われる。
- この研究では、ニュース提供URLを公的な発表データに基づき、信頼性が高い、あるいは低いURLに分類している。そして信頼性の低いと分類されたニュースURLを見る傾向を探ると、共和党支持者ほど、信頼性の低いURLを閲覧している。
- 自分の好みのURLを閲覧する人ほど、信頼性のないURLを選びがち。
などが明らかになった。
議会襲撃などからも想像できるが、同じ様な研究をぜひ日本でもやってほしいと思う。
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1:google検索では偏りはなく、熱狂的共和or民主ともに同じ様な検索結果が提示され2:個人の好みが増幅される様には設計されていない。
Imp:
検索アルゴリズムが中立的で一安心です。
今のところ。
今後は、どうなのでしょうか??