今日は少し息抜きと言った感じで、こんなことまで調べられているのかと感心した調査研究を2編紹介したい。
まず最初はケンブリッジ大学教育学部からの論文で、世界137カ国のデータを集め、制服着用が児童の運動量に影響しないか調べた研究で、Journal of Sport and Health Science にオンライン掲載されている。タイトルは「Are school uniforms associated with gender inequalities in physical activity? A pooled analysis of population-level data from 135 countries/regions(学校の制服は運動量の男女差の原因にならないか?135カ国からの人口レベルのプール研究)」だ。
制服を着用すると運動量が減るかも知れないと言われてみると、確かに可能性はあると思う。この研究ではオンラインで学校の制服着用につて調査を行った後、各国の児童の運動量や運動力の統計データを集め、全部プールして比較している。データが全く別々にとられているので、統計学的正確性はかなり割り引いて考える必要がある。
堅苦しいことは抜きにして結果をまとめると、
- 児童の運動目標を定めたガイドラインがあるが、どの地域でも男児の方が女児より目標達成率が高い。
- 制服着用の地域では、制服がない地域と比べて目標に達していない率が高い。
- 特に小学校での制服着用は、女児の運動を制限する傾向にある。また所得の高い先進国で、制服による運動量の男女差が生まれやすい。
以上が結果で、制服が規律のシンボルになる一方で、これが運動量の男女差を生むという結論になる。
次は我が国、国立感染症研究所からの論文で、病院での出産がいつ行われたのかを1979年から2018年までの40年間調べた研究で PlosOne にオンライン掲載された。タイトルは「Holiday effect on childbirth: A populationbased analysis of 21,869,652 birth records, 1979–2018(出産の休日効果:21869652人の出産記録の集団ベース解析)」だ。
基本的に出産という生物活動は日を選ぶわけではないが、病院出産だと休日は避けたい。そこで、出産時期を調整することになり、当然休日の出産は減ると予想できる。
これを30年にわたって調べたのがこの研究で、土曜日や日曜祝日の出産は極端に低下する。
この統計を見て驚くのは、我が国で低体重児や早産などのリスクが高い出産が着実に増えていることだ。これは私がまだ臨床医として働いていた1979年と現在を比べると明確だ。
その結果、リスクの高い出産は特に休日を避ける配慮が行われていることがわかる。
結果は以上で、安全な出産を行うために行う調整のおかげで、我が国の出産リスクは世界トップの低いレベルに抑えられているのだろう。ただ、休日は低いとは言え、減少率は3割程度なので、出産施設が24時間機能するよう維持されていることもよくわかった。
以上、両方とも面白く読むことが出来た。
この統計を見て驚くのは、我が国で低体重児や早産などのリスクが高い出産が着実に増えていることだ。これは私がまだ臨床医として働いていた1979年と現在を比べると明確だ。
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