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1月26日:知り合いの声:直感を検証する(1月23日号Neurorehabilitation and neural repair誌掲載論文)

2015年1月26日
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交通事故で意識を失った子供に毎日お母さんが話しかけているうちに、ある時意識を取り戻すというのはドラマの定番だ。直感的には話しかけると脳が刺激されて、意識の回復が早まりそうなきがする。しかし、本当に話しかけることの効果があるのかを調べるためには、科学的検証が必要だ。今日紹介するノースウェスタン大学からの論文は、これに挑んだ研究で1月23日号のNeuro-rehabilitation and neural repair誌に掲載された。タイトルは「Placebo-controlled trial of familiar auditory sensory training for acute severe traumatic brain injury:A preliminary report(知り合いの声によるトレーニングの脳外傷への影響をプラシーボ群と比較する:予備的研究)」だ。研究では、脳外傷で回復見込みがあるが、植物状態、あるいは意識障害の患者さんを無作為に2群に分け、片方にはヘッドフォンで知り合いの声、コントロールには何も聞かさないで、意識の回復を見ている。もちろん耳が聞こえているなど基本的な検査をしているので、最初50人からスタートして、最後までフォローできた人は実験群4名、コントロール5名に減っている。そのため、統計的に有意差かどうかが明確でないため、予備的研究とタイトルに明記している。さて、聞かせた声だが、患者さんのよく知っている人に、患者さんとの共通の経験を10分程度話してもらい、それを録音する。そのテープを1日4回、ノイズキャンセリングがついたヘッドフォンで6週間続けて聞かせた後、意識状態検査、および機能的MRIによる様々な音刺激に対する反応を検査し、回復状態を調べている。まず驚くのは、知り合いの声を聞かせた患者さんは全て意識が回復したが、コントロールでは5名中1名だけしか回復していない。次に、CNCと呼ばれる意識レベルのテストでも治療開始後2週ぐらいから意識レベルが回復する。最後に機能的MRI検査でも聴覚を通した認知機能が回復している。残念ながら、患者さんの数から考えると統計的には何も言えないようだが、私たちの直感に即した治療で、副作用もあるとは思えない。ぜひどんどん試したらと思う、清々しい研究だ。ただ一つ気になったのは、コントロール群の患者さんの家族もまた、普通の時間にはいろんな語りかけをしたのではないかと想像する。こういう研究は、最終的には統計的有意差を追求するより、結果を積み重ねるほうが理にかなっているような気がする。今後何を聞かせるか、誰の声で聞かせるかなど、調べたいことは多い。

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