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6月19日 血液のクローン性増殖の一部は睡眠や運動で抑えられる(6月10日 Nature オンライン掲載論文)

2026年6月19日
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年齢とともに血液幹細胞の遺伝子変異によって、細胞の増殖や分化の効率が少し上がった細胞が生まれると、通常は多くのクローンが働いて維持されている血液細胞の中に、特定のクローンの割合が増加することがある。これがクローン性造血で、ほとんどの場合そのまま白血病になるわけではないが、動脈硬化など自然炎症の関わる病気を悪化させる要因になるのではと注目され、このブログでも何度も紹介してきた。

今日紹介する Ichan Medical School of Mount Sinai からの論文は、通常あまり考えない、エクササイズや睡眠の血液クローン性増殖への影響を調べた研究で、6月10日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Mutation-dependent responses to sleep and exercise in clonal haematopoiesis(クローン性造血を誘導する突然変異の中には睡眠やエクササイズに影響されるものがある)」だ。

この研究は最初からエクササイズや睡眠がクローン性造血に影響があると決めてスタートしている。UKバイオバンクや米国の All of Us コホートで、睡眠や活動性の記録が調べられている1000人単位の対象を選び、クローン性造血の頻度を活動性や睡眠で調べている。

このデータだけが人間のデータで、研究のハイライトだと思うが、DNMT3a 変異によるクローン造血とそれ以外に分けると、それ以外のクローン造血だけが身体的活動性と反比例する。即ち活動性が高い人は、クローン造血が抑えられる。

後は、クローン造血を誘導するとされている様々な遺伝変異を持つ骨髄細胞を移植したマウスで、睡眠やエクササイズレベルを変化させ、Tet2 や Jak2 により誘導されるクローン性造血は、睡眠を十分とり運動することで抑えられる事を明らかにする。一方、p53 や DNMT3a変異により誘導されるクローン増殖には影響がない。何故どちらもDNAメチル化に関わるTer2変異が影響され、DNMT3a 変異は影響されないのか等、興味が尽きないが、このグループは例えばエピジェネティックスを調べてメカニズムを探ることは一切していない。

代わりに Jak2 変異で起こるクローン造血を十分な睡眠や運動で低下させると、マクロファージの活性化が抑えられることで動脈硬化の進行を抑えられることを示した後、マクロファージの活性化抑制に焦点を当てて、睡眠と運動が異なるメカニズムでマクロファージの活性化を抑制していることを示している。

具体的には、睡眠が抑制されると、レクチン受容体の CLEC4e の発現が上昇し、この結果マクロファージの自然炎症システムが増強され IL-1 分泌などによる炎症で動脈硬化が悪化する。

一方、運動はマクロファージの自然炎症システムを抑えるが、まず脳神経系に刺激を与え、神経から分泌されるノルアドレナリンが受容体を発現するマクロファージに働いて炎症を抑えていることを示している。

結果は以上で、最初クローン性造血への影響から始まったのに、途中でマクロファージの自然炎症と動脈硬化にすり替わってしまっており、結局わかりにくい論文になっていると思う。しかし、コホートで運動や睡眠のクローン性造血への影響が疫学的に調べられると言うだけで、感心する。

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