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8月17日 ポリアミンとフェロトーシス(8月14日Cellオンライン掲載論文)

2026年8月17日
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ポリアミンは複数のアミノ基が炭化水素により結合した化合物の総称で、我々の身体にはアミノ基の数により、プロテシン、スペルミジン、スペルミンが存在する。代謝システムもよく解析されており、様々な腫瘍の増殖抑制を目的としたポリアミン代謝阻害剤の治験が進んでいる。一方で、老化とともにポリアミンの合成が低下することが知られており、老化炎症を抑える目的でサプリまで売られている。しかしポリアミンの生化学的な機能については、マイナスチャージ分子に結合する以上にはっきりしたことがわかっていない。

今日紹介する米国MITからの論文は、ポリアミンの細胞機能について徹底的解析を行い、ポリアミンが酸化還元活性鉄をキレートして、フェロトーシスが起こるのをそがしていることを示した研究で8月14日Cellにオンライン掲載された。タイトルは「Polyamines buffer labile iron to suppress ferroptosis(ポリアミンは不安定な鉄を干渉してフェロトーシスを阻害する)だ。

フェロトーシスは細胞死の一つで、酸化還元活性鉄依存的に膜脂質が酸化され、細胞膜が破れて起こる過程で、これを標的にした臨床応用研究が加速しており、論文もよく目にする。この研究ではポリアミン合成を阻害したとき細胞を守る分子を好くリーニングし、フェロトーシスに関わる脂質を守る遺伝子GPX4がポリアミン合成阻害による細胞傷害を抑えることを明らかにする。

これをきっかけに、ポリアミンがフェロトーシスを介して細胞に必要であることを確認した後、そのメカニズムについて、これまでフェロトーシス調節に関わるとして知られている経路を一つ一つ当たり、最終的に酸化還元活性鉄の量がポリアミンにより著しく上昇し、この結果脂質の酸化が進み、フェロトーシスガ起こることを発見する。

この研究のハイライトの一つは、細胞レベルで酸化還元活性鉄が変化することを示すために、RNAの持つ鉄センサーIREを利用したレポーター系を構築し、ポリアミン合成が抑えられると、酸化還元活性鉄が上昇する事を見事に示したことだろう。そして、最終的にポリアミンが金属イオンと結合するキレート剤として細胞内で働くことが、ポリアミンの最も重要な作用であると結論している。

これらのメカニズムを考えると、元々鉄代謝の活性が高いガン細胞をポリアミン阻害剤で叩くという発想は納得でき、現在治験中の腫瘍のみならず、さらに多くのガンに対する治療薬として拡大する可能性はあると思う。

現在どのぐらい利用されているのかは全く知らないが、我々の世代はポリアミンの代表スペルミンを、DNAやRNAの構造を維持する目的で、反応系に加えることがしばしばだった。そのため、ポリアミンの必要性は核酸保護と勝手に考えてきたが、この論文はこの思い込みを正してくれた。勉強になった。

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