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8月24日 心臓を守ってくれる細菌叢(8月19日 Cell オンライン掲載論文)

2026年8月24日
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血管内皮でアルギニンから NO を合成して血管を拡張させる eNOS については一般の方にも広く知られているのではないだろうか。特に有名なのは、ペニスの血管での NO の働きを強め勃起を維持するバイアグラについては多くの紹介記事があふれている。また、NO の産生は私たちの身体だけでなく、細菌叢でも起こっており、以前運動後に起こる血管拡張が口内細菌叢をマウスを種で殺してしまうだけで打ち消されるという驚くべき論文を読んだことがある。即ち運動後の血流上昇に口内細菌が寄与しているという話だ。しかし、NO が本当に吸収されて全身の血管を広げているのかかなり疑問に感じていた。

今日紹介するスウェーデン・カロリンスカ研究所からの論文は、細菌叢からの NO 効果は、実際には NO ではなく、バクテリアにより NO から合成された dinitrosyl iron complex (DNICs) である事を示した、個人的には納得の研究で、8月19日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Gut microbiota generate dinitrosyl iron complexes with cardiometabolic benefits(腸内細菌叢は dinitrosyl iron complexes を合成して心臓や代謝に良い影響を与える)」だ。

研究は最初から、消化管で NO はバクテリアにより DMIC へと変換され、これがNOの受容体システム」 sGC-cGMP を活性化させると仮説を立て、この可能性を検証している。まず、普通に飼育されたマウスと、無菌マウスの血液を分析すると、DNIC が細菌叢があるときだけ検出される。また、マウスに硝酸塩と鉄を摂取させると、DNIC が上昇するが、細菌叢がないと全く変化がないことから、組織で作られた NO や食物由来の硝酸塩はバクテリアの硝酸還元酵素を持ったバクテリアによって NDIC に変換され、これが血中に移行する事がわかった。

重要なのは、NOS 機能を阻害してホストの NO 産生を止めると、DNIC の量が大きく減ることから、バクテリアが合成する DNIC のほとんどはホストの NO 由来という点だ。最初述べたマウスウォッシュの話に戻ると、結局口内細菌は運動で合成が上がった NO を DNIC に変えていたのかもしれない。

次は、DNIC が NO と同じ sGC-cGMP 経路を介して作用することを確認した後、NO と比べて血中で安定で、NO の代わりに安定的に全身に回って血管拡張などの効果を発揮する、重要な分子であることを示している。

その上で、高脂肪食を摂取させたマウスに、硝酸化合物と鉄を同時に摂取させると、血圧の上昇が抑えられ、心臓の機能を正常化できることを示している。もちろん DNIC 事態を投与しても同じ効果がある。また、DNIC は代謝にも効果があり、高脂肪食による脂肪蓄積を抑え、空腹時血糖の上昇を抑える。その結果、脂肪肝の発生を抑える。

脂肪肝の発生を抑えることは単純に血管への効果だけでなく、DNIC は同じ sGC-cGMP 経路を介してロイシンの細胞内取りこみ抑えることで、mTOR のリン酸化を抑制することで、脂肪肝の発生を抑えていることを示している。

結果は以上で、バクテリアが不安定な NO を安定な DNIC に変えて循環や代謝を正常に保っているという話で、個人的にはマウスウォッシュ論文で感じていた疑問が解けたおもしろい研究だった。

  1. okazaki yoshihisa より:

    消化管でNOはバクテリアによりDMICへと変換され、これがNOの受容体システム、」sGC-cGMPを活性化させる。
    imp。
    食事も血圧調節の要の要素だった。

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