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3月26日:肺ガン早期発見のための低線量CT検査の頻度(3月18日Lancet Oncology掲載論文)

2016年3月26日
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   私が受けている定期検診のX線検査が低線量CTに変わってからもう5年以上になる。幸い何事もないが、お盆前後にかみさんと検診を受けるのが年中行事になっている。私も肺の医者をしていたことがあるので、やはりCT画像は鮮明で、あらゆるものが隠れることなく現れるという印象は強い。またこんな検査が、当たり前の定期検診に加えられていることは心強い。もちろんこれまでの研究で、喫煙経験のあるハイリスクグループの肺ガン早期診断に役立つことは証明されている。
  今日紹介するデューク大学・放射線部門からの論文は低線量CTを毎年受ける必要があるのか、あるいはどの程度の頻度で受ければいいのかを調べた論文で3月18日号のLancet Oncologyに掲載された。タイトルは「Lung cancer incidence and mortality in national lung screening trial participants who underwent low-dose CT prevalence screening: a retrospective cohort analysis of a randomized, multicenter, diagnostic screening trial (低線量CT検査スクリーニングを受けた全国肺検診の参加者の肺ガンの頻度と死亡率:無作為化他施設診断スクリーニング治験コホートの後ろ向き解析)」だ。
  正直なところ、これだけ優れた検査なら別に毎年受けて問題ないのではと思う。また、肺ガンも分子標的薬を用いる治療が進んでいるが、手術不能例を薬剤だけで完治させることは難しい。すなわち、早期発見は完治の鍵を担っている。だとすると、定期検診は欠かせないと思うのが普通だ。しかし、被曝やコストの問題から徹底的に調べ直すという気概には感心する。研究では低線量CT検査を1年ごとに3回受けてもらい、それぞれの検査を受けたことによる肺ガンの発見率の上昇、その結果としての生存率を算出し、3回続けて検査を受けることの効果を評価している。まず、これまでの研究結果と同じで、低線量CT検査自体の効果は高い。最初の検査が陰性だった集団でのその後3年の肺ガン発症率は、通常の頻度の半分に減る。しかし、最初の検査で陰性と判断された人が、次の年の検査で新たに肺ガンを見つけられるのは1万9千人中たった28人で、毎年検査する必要はないのではという結果だ。28人を多いと見るか、少ないと見るかは難しいところだが、データを詳しく見ると、2回目の検査で970人が新たに陽性と診断されて精密検査を受けている。このように偽陽性が多いと、社会的コストが上がることは問題かもしれない。
  いずれにせよ、このような詳しい調査を重ねた上で、リスクとベネフィットをバランスさせた早期発見プログラムが出来上がっていくのだろう。しかし、2年に1回という話になったりすると混乱しないだろうかとも思う。惰性で毎年受けると決めている今のままが私には向いているようだ。
  1. 中原 武志 より:

    肺がんの定期検査が低線量CTで受けられることによって、X線被ばくが少なくなり、早期発見に役立っていることは、素晴らしいですね。
    しかし、50歳前後の人が、毎年検査を受けた場合を考えると、微妙な問題も残るのではないでしょうか。

    1. nishikawa より:

      50代でも、ハイリスクの人にはベネフィットが多いと思います。

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