今日紹介するスウェーデン ルンドにあるスコーネ大学からの論文は、逆にアレルギーが虫垂炎を防ぐかを調べた研究でJAMA Pediatrics オンライン版に掲載された。タイトルは「Association of IgE-Mediated Allergy With Risk of Complicated Appendicitis in a Pediatric Population(IgEによるアレルギーは小児の虫垂炎のリスクと相関している)」だ。
この研究は605例の虫垂炎の手術による治療を受けた子供達が、抗原に対するIgE反応によるアレルギーを持っていたかどうかをカルテから調べただけの研究だが、結果は面白い。
虫垂炎手術を受けた子供をIgE型アレルギーを持っていた群(16.9%が)と、アレルギーのない群(83.1%)に分けることができるが、この中で腹膜炎を伴うような重症化した虫垂炎に発展したケースはアレルギー群で19.6%と、明らかにアレルギーのない群46.9%より低い。これに相応して、アレルギーがあると、虫垂炎にかかる年齢は高く、症状は軽く、虫垂結石を併発するが低い。
面白いことに、この虫垂炎を防いでいるように見えるアレルギーは、ダニ、花粉、動物の毛に対する、皮膚からの暴露によるアレルギーで、玉子やミルクのような食餌性のアレルギーとは相関がない。
結果は以上で、全て現象論だが、リンパ組織と思える虫垂炎が、皮膚から暴露されたアレルギーで抑えられ、食餌性の曝露によるアレルギーでは抑えられないのは何かありそうだと直感的に思う。研究自体は、ただカルテを見直したという調査研究だが、今後虫垂とは何かを考える上で面白いヒントになるように思う。是非皆さんも、このナゾナゾに対する自分の仮説を立てて見てほしい。
いつも拝見しております。制御性の虫垂T細胞が皮膚で誘導されるのか気になりました。
私もわかりません。なぞなぞは、現役の人に解決してもらいましょう、。