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7月10日朝日(辻):血液がん悪化原因の遺伝子発見、治療へ道 京大なと

2013年8月8日
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朝日新聞は元の記事をペーストするのを許していない。元の記事については以下のURL参照。 http://www.asahi.com/tech_science/update/0709/TKY201307090004.html

いわゆる次世代シークエンサーをガンのゲノム解析に使う研究については、日本は遅れていると言わざるを得ない。しかし、その中で現京大の小川さん、現東大の真野さんなどは臨床家としっかり連携し、重要な仕事を発表し続けている。これもそのうちの一つで、小川さんがゲノム解析に関わっている。この研究では、エクソーム解析と呼ばれる、ペプチドへと翻訳される遺伝子の配列を、血液のがんで調べている。この雑誌にはなんと小川さんからの報告が3報もあり、そのうちの2報が白血病についての研究で、扱っている遺伝子も共通している。まず、小児の白血病細胞についての研究だが、そもそもこのタイプの白血病では、他の多くのがんと同じでRASと呼ばれる遺伝子に関わる一連の遺伝子突然変異ががん細胞で高率に見付かることが知られている。今回は、この突然変異に加えて、SETBP1、Jak3の2種類の遺伝子に付加的な突然変異が一部の白血病細胞で見られることが示された。重要なことは、この患者さん達はRAS系の分子の突然変異だけを持つ患者さんより明らかに治癒率が悪いことで、遺伝子診断により2次的変異を早く見つけて対処できると、治療の改善が期待できる。もう一つの論文はアメリカとの共同研究で、700例近くの骨髄性の白血病を調べ、 約7%の患者さんでSETBP1の遺伝子突然変異が見つかった事が報告されている。大人の患者さんでも、この突然変異があると生存率が大きく低下する事から、この分子の機能から新しい治療が開発できる期待が持てる。小川さんは最近大変活発に仕事を発表しており、この方向の仕事がますます盛んになることを願っている。 さて、記事であるが、内容に間違いはない。ただ注文を付けるとすると、同じ分子についての小川さんの論文が2報、同じ雑誌に同じ時に掲載された事を是非はっきり書いてほしかった。記事に名古屋の小嶋さんのコメントが出ていたので、てっきりこの記事が小川さんと小嶋さんのグループの共同研究のほうかと勘違いした。実際には、記事の前半部分が成人の白血病について、コメントの前後が小児についての記事になっている。多分読む方も混乱するのではないだろうか。一般の人が原著論文を読む事はほとんどないだろう。だからこそ、どのように仕事が発表されたのかなどを手短に伝えておかないと、せっかくの記事も間違った印象を与えて終わる気がした。

  1. Okazaki Yoshihisa より:

    次世代シークエンサーをガンのゲノム解析に使う。

    →お恥ずかしいことに、NGSは2016年頃、近畿大学にいた時に初めて知りました。Microbiomeに関連したことを調べてました。NGSを知った時、ゲノム医療の発展を確信しました。遺伝子治療発展の確信は、2017年頃、CAR-T療法を知った時です。
    ゲノム周辺;暫くにぎやかになりそうです。

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