米国で暮らしたことがないので、個人的印象になるが、最初に旅行した頃レストランの食事はまずくて量が多いという印象しかなかった。ただ、最近はお金の余裕もあり、また行く街も大都会に限られているためか、この印象は大きく変化している。しかも、街でジョギングしている人を見ると、米国でも多くの人が健康に気をつけて生活するようになったのかという印象を持っていた。
もともと個人の印象など全く当てにならないのだが、私の印象とは全く逆の結果、すなわち米国のファストフード店で提供される食品がこの30年間、ずっと不健康な食品になり続けてきたことを示す論文がシンシナティ大学からJournal of the Academy of Nutrition and Dieteticsオンライン版に発表された。タイトルは「Fast-Food Offerings in the United States in 1986, 1991, and 2016 Show Large Increases in Food Variety, Portion Size, Dietary Energy, and Selected Micronutrients(1986,1991,2016年に米国のファストフード店で提供された食品は、種類、量、カロリー、そして一部の栄養素で大きく上昇している)」だ。
研究方法は単純だ。1986年、1991年についてはThe Fast Food Guide、2016年についてはウェブに公表されているファストフード食品の成分表から、栄養学的な様々なデータを取得している。これを米国の人が最もよく使っているファストフードサービス10社について調べ、それぞれの年で提供されている食品を、主食、サイド、デザートに分類し、一品あたりのカロリーや食塩やミネラルの含有量などを調べグラフにしている。
驚くことに、少なくとも2016年まではファストフードは栄養学的に不健康になり続けているというもので、以下のようにまとめられる。
- 提供される食品の種類が急速に増えており、主食では1986年に167種類だったのが、2016年にはなんと557種類に増えている。同じように、サイドやデザートの種類も増え、デザートに至っては5倍に増えている。
- 一品あたりのカロリーも上昇を続けており、主食で1986年430Kcalが、2016年では480Kcal。特に問題はデザートで、1986年217Kcalが2016年298Kcalに上昇している。
- 次に、食塩などのミネラルだが、なんと食塩で1986年から2016年で35.9から47.2と大幅に増加している一方、妊婦さんで不足が指摘されている鉄分では18.0から15.6へと大幅に低下している。
以上が重要な結果で、結局身体に必要な成分は低下し、肥満や高血圧の原因になる成分は上昇しているという結果だ。現役を退いてからアメリカには毎年行っているが、ニューヨークだけで他の街は知らない。しかし、NYの中心で感じることとはまるで逆の食生活が米国を今も蝕んでいることを知って驚いてしまった。
アメリカ、イギリスの食事は好きになれません。
朝食が砂糖、チョコたっぷりのマフィンだったり、マクドのコーラが劇甘+大サイズだったりetcと日本人向けではないです。
食事と温泉のクオリティーの高さは日本の誇りの一つだと思います。